著者 : 渡辺淳一
桐に赤い花が咲く桐に赤い花が咲く
新宿のマンションで発見された若い女性・小室聖子の絞殺体は局所が無惨に切り刻まれていた。桑島刑事はその恋人を容疑者と断定し、顔も名前も割り出しながら、行方は全くつかめなかった。その一年数カ月後、今度は同じ手口で局所を傷つけられた男の絞殺体が見つかった…。男と女の性の妖しい深淵と、それにもてあそばれた者の悲劇を、本格ミステリーの手法でえぐり出した異色作。
乃木希典夫妻の生涯 静寂の声 上乃木希典夫妻の生涯 静寂の声 上
一見身勝手で不器用な明治の武人とそれに殉じた妻。「軍神」「烈婦」とたたえられた一組の夫婦の間に交錯した夫婦の愛憎を描き、秘められた真実の声を探る。巷間伝えられるように、妻静子は従容として死に就いたのか。膨大な資料をもとに、鋭い観察眼で新たな乃木夫妻像を作り上げた渡辺伝記文学の傑作。文芸春秋読者賞受賞作。
乃木希典夫妻の生涯 静寂の声 下乃木希典夫妻の生涯 静寂の声 下
傲慢だが照れ屋で、冷淡そうだがその実優しい、沢山の秀れたところと困ったところをもった、それ故に雅気愛すべき一人の人間を感じていたのである。改めて希典に関する資料を読むうちに、その思いはいっそう深まったが、同時に希典のうしろで見え隠れする夫人の存在が気がかりになってきた。妻も夫とともに死を願ったのか?現在へ続く日本人の夫婦の姿を描く伝記文学。文芸春秋読者賞受賞。