著者 : 片山真紀
人でごった返すスペイン、マドリードの空港。搭乗便を待つメーガンは思いがけない人物にでくわした。エミリオ・リオスーずっと憧れていた兄の友人。冷酷な経営手腕と派手な女性関係で知られる裕福な実業家だ。2年前に冷たくあしらわれて以来、距離を置いてきたけれど…。すると彼は挨拶もないまま、メーガンを引き寄せてキスした。呆然とするメーガンに、彼は謎めいた視線を送ってたたみかける。「今夜、僕と一緒に過ごさないか?」「100万ドル出せるならね」動揺のあまりメーガンは軽口で返した。それが、めくるめく嵐のような1日の始まりだったー
父の死後、叔父夫婦のもとで家政婦扱いされてきたリナは、17歳で放蕩王への貢ぎ物として王宮に差し出されてしまった。だが王が急逝し、若き新国王サイードに帰宅を命ぜられる。「私にはもう帰る家はありません…」おずおずと告げたリナが文字も読めないと知ると、王は学ぶ機会を与えると宣言した。4年後、リナはスイスで必死に学び、希望に燃えて帰ってきた。サイードへの恩返しに、母国で教育の普及に尽くすつもりで。ところが、彼はすっかり大人に成長したリナを見て言った。「恩義に報いたければ、1週間私の愛人として過ごせ」
さる公国の大公に給仕することになったウエイトレスのホリー。でも、彼女はうわの空だった。結婚まではと貞操を守ってきたのに、それが原因で婚約者から別れを告げられ、絶望のどん底にいたのだ。懸命に仕事をこなすものの、思わず涙がこぼれてくる。するとなんと、世界中の女性を魅了するカスペル大公が人払いをし、ホリーを慰めただけでなく、甘い誘惑の言葉をかけてきた。そして夢うつつの中、彼女はあれほど守ってきた純潔を奪われてしまう。ところが、麗しの大公は急に手のひらを返したように冷たい態度をとり、傷ついたホリーは特別室を飛び出したーのちに発覚する妊娠が、非情な大公と彼女を鎖でつなぐことになるとは思いもせず。
第6代ラングストン伯爵ランダルの秘書であるポピーは、結婚式の祭壇の前で呆然と立ち尽くす彼を見て、胸が痛んだ。たった今、花嫁を見知らぬ男に奪い去られてしまったのだ。でも、愛のない便宜結婚をするよりはずっとよかったはずよ。じつはランダルは亡父の遺言により、35歳までに結婚しないと伯爵の称号も財産も失うことになっていた。もう猶予はない。突如強引に彼の自家用ジェットに押しこまれたポピーは、手渡された花嫁候補リストに自分の名前を見つけて仰天した。私を花嫁の身代わりに…?甘美な誘惑の旅が幕を開けた。
姉の遺児である双子の赤ん坊を育てているギャビーは、ある日、ギリシア有数の大富豪、アンドレアスに面会を申し込んだ。アンドレアスこそが、この赤ん坊たちの父親。亡き姉は彼と一夜の関係を持って身ごもり、ひそかに出産したのだった。現れた逞しい肉体と美貌を持つ、ギリシア神さながらの彼を一目見て、ギャビーはたちまち心奪われてしまう。しかし彼は、ギャビーを手切れ金目当てと決めつけ、冷たくあしらった。落胆した彼女は一人で子供たちを育てる決心をするが、ホテルに戻ると、アンドレアスからメッセージが。命じられるまま迎えのリムジンに乗り、港からクルーザーに乗り込むと…。
父が亡くなった今、もう一度レイフに会いたいー。5年前、娘の政略結婚をもくろむシャーロットの父親によって、彼との仲を強引に引き裂かれた。その後彼女は家を出て、魔の手を逃れながら、身をひそめて生きてきたのだった。だが再会した彼は、巨万の富と引き替えに人らしい感情を失い、さらに視力まで失っていた。ショックで呆然とする彼女に、レイフは冷たく言い放った。「あの夜にやりかけたことを終わらせよう。意味はわかるな?」1カ月後、シャーロットはレイフの子を身ごもったことを知った。『闇の王子と清らな愛人』『さらわれた純潔の花嫁』に続く、渾身の感動作!かつての恋人の、まるで別人のように変わり果てた姿を目の当たりにしたシャーロット。ベールをはぐように、知られざる真実が次々と明かされて…。
4歳のときに養父母に預けられ、純真な娘に育ったブライア。ある日彼女は街で、一人のハンサムな男性に目を奪われた。だが近づいてきた彼に話しかけられてパニックを起こし、車道に飛びだしてはねられ、気を失ってしまう。キスをされてブライアが目覚めると、そこは病院のベッド。傍らには彼がいて、サンタミラグロ国の皇太子フェリペだと名乗り、驚くべき真実を告げた。ブライアの実父は隣国の王だというのだ。「君は生まれたときから僕の許婚と定められていたんだ」笑みを浮かべた彼は、抗うブライアを強引に祖国へと連れ去った。
アビーは、整形外科医イーサンのクリニックで受付の仕事をしている。恋人の裏切りで男性不信に陥っていたが、イーサンのほうも、なぜか女性に嫌悪を抱いているようだった。そんなある日、彼が出張に同行してほしいと頼んできたー恋人として、多額の報酬つきで。いつもハイド氏のように冷酷な彼を見ているアビーは、即座に断った。だがその翌日、予期せぬ事件が起こる。アビーが母と慕う恩師の家で大金が盗まれたのだ。嘆き悲しむ恩師を前に彼女は心を決めた。イーサンの頼みを受け入れよう。アビーは不安を胸に旅立った。まさか彼に心奪われるとは夢にも思わず。
スキは人生最高の25歳の誕生日を迎えた。密かに片思いをしてきた、親友の兄ラモンとついに結ばれたのだ。だが、実業家と芸術家という二つの顔を持つ魅惑的な彼にとって、身分違いのスキとの一夜はほんの気まぐれだったのだろう、翌朝ラモンの姿は消えていた。10カ月後、親友が事故で急死し、思いがけず再会したラモンは、怒りもあらわにスキに詰めよった。なぜ妊娠したことを僕に知らせず、勝手に中絶したんだと。違う、誤解よ!赤ちゃんは…ショックで取り乱すスキの耳に冷酷な命令が響いた。「君には後継ぎを産んでもらう。償いとして」
アンジーは大富豪ロレンツォと2年前に離婚した。薔薇色の新婚生活は彼女の流産を機に一変してしまった。まるで火が消えたように夫の興味は仕事に移り、傷ついたアンジーは耐えきれずに家を出たのだった。ところが、彼女がようやく新たな一歩を踏みだそうとした矢先、ロレンツォが突然現れ、離婚は成立していないと断言すると、彼女の父親の会社への援助と引き替えに復縁を迫った。いやよ、もうあんな悲しい思いはしたくないわ。抗うアンジーをかき抱くと、ロレンツォは熱いキスで黙らせ…。
ダリオ・ディ・シオーネは自他ともに認める仕事人間だ。その彼が仕事を離れてマウイ島を訪れたのは、祖父のためだった。家宝のイヤリングを取り戻せば、病床の祖父も安堵するはず。ところが交渉相手として現れたのは、あろうことか別居中の妻、アナイスだった。一方、アナイスも動揺を隠しきれなかった。6年前、ダリオは彼女の浮気を疑い、家を出ていった。濡れ衣を着せられても、いまだ彼への想いは変わらない。ダリオは驚くかしら?あなたには息子がいるのよと告げたら…。
「あの夜のことをまだ根に持っているのか?」思いがけないダンテの言葉に、カリーナはたじろいだ。彼は私の18歳の誕生日の夜を覚えていたんだわ…。10年前、カリーナはダンテに純潔を捧げた。彼は私のものーそう信じたのに、彼女は冷たく部屋から追い出されてしまった。もう二度と会うこともないと思っていたのに、ダンテは今、厚かましくも平然と、カリーナにある仕事を頼みたいと言ってきた。彼は私が失ったものについて、何か知っているのだろうか?カリーナは妊娠して流産し、独りで耐えた年月を思い出していた。
ロンドンの病院で病棟看護師長を務めるジョゼフィンは、ある雨の日、田舎道を散歩中に危うく車に轢かれそうになった。彼女の目と鼻の先で急停止したその高級車には、気位の高そうな年上の男性が乗っていた。ジョゼフィンが思わず非難すると、相手はあろうことか、突っ立っていた彼女に非があると言い、冷たい一瞥をくれて走り去った。憤りを覚えながらも、彼の美しい顔がジョゼフィンの脳裏に焼きついた。2日後、出張する医師の代理の人物ユリアスが勤務先に現れたとき、ジョゼフィンは心臓が止まりそうなほど驚いたー彼こそ、先日彼女を轢きそうになったあの男性だったのだ!
光溢れるギリシアのサントリーニ島で休暇を過ごしたセリーナは、イギリスに帰って間もなく、妊娠に気づいた。子供の父親は、島で出会ってすぐに恋に落ちた漁師のニコスだ。ところが、彼に真実を告げようとふたたび島を訪れたとき、セリーナは驚くべき事実を知るー嘘でしょう?彼がギリシア屈指の海運王だったなんて!しかも再会したニコスはまるで別人のように冷たく、自分の後継者を婚外子にはさせないと厳しく言い放つ。まるで取引のように結婚を提案する彼に、セリーナは凍りついた。