著者 : 片岡義男
夏と少年の短篇夏と少年の短篇
17歳から18歳の少年と少女にとって夏は特別の季節だ。夏の間に、少年と少女は大人への第一歩を踏み出す。初めて自らの意思で理想の異性を意識することによって。-梅雨のあいま、本格的な夏、そして晩夏。それら夏の独特の時間の中で、ほとばしる少年と少女の繊細な官能性のすべてを、さわやかに、端正に表出した片岡義男の青春小説集。「私とキャッチ・ボールをしてください」「永遠に失われた」など清冽な7篇を収録。
香水と誕生日香水と誕生日
真紀子ー5月17日。恵子ー18日。小百合ー21日。3人の女性たちの誕生日は5月の第3週に集まっていた。月曜日、3人の女性たちに渡すべきプレゼントに関して、アイディアがひらめいた。彼の決定的な思いつきとは…?都会に住む男と女の光と影を、透明なタッチで描く独特の恋愛小説集。
あの影を愛したあの影を愛した
25歳の誕生日に春霞に沈んだプールでひとり泳ぐ美佐子。全身の感覚で水と光と風を楽しむ彼女の、プールの底に映る影は、いつもの冷静そうな影。心の動揺などまるで感じさせず、彼女の動きをそのとおりに映していた。周りのだれもが揺れ動いている時にも、あくまでもクールな美佐子。春から夏へと移る季節のなかで、いま静かに始まる彼女の、そしてあなたのためのラヴ・ストーリー。
頬よせてホノルル頬よせてホノルル
お祖父さんの家の庭に咲いていた小さな赤い薔薇の花。高く、空にむけてのびた梛子の樹の上を吹きぬけていく貿易風。日本からの移民が作ったアロハ・シャツ。星の形をしたジンジャ・ブレッドのお菓子。8倍の双眼鏡の彼方に見える彼女の姿。誰もが頬よせあう島、そこがぼくの故郷。訪れるたびにぼくを様々な表情で迎えてくれる…。ハワイを舞台にした5つのラブ・ストーリー。