著者 : 王谷晶
急死した伯父の部屋には人懐っこい隣人たちと「幽霊」が付いてきた! 長い内廊下でつながるアパートメゾン・ド・ミルでは、「ふつう」を外れた人が寄り添い生きる。文芸界最注目の著者・王谷晶が描く現代版長屋噺!
三十年前に別れたままのきみが凍死体となって発見され、わたしの中であの町での思い出が甦るーー文芸界最注目の新鋭が、前代未聞の手法で叙情的に紡ぐ、切ない恋情。貧困・警備員腐女子生活を半私小説的に描く「ベイビー、イッツ・お東京さま」を併録。「君の六月は凍る」--30年前に別れた君が凍死体で発見されたと聞き、わたしはあの町での君との記憶を呼び覚ます。鶏小屋の前で、私たちは会っていた。お互い孤独だったわたしたち、初めて訪ねた君の家にはZがいた。学校の鶏小屋で生まれたばかりの鶏の子供を、君はある日連れて帰った。「鶏に名前はいらない」しかしある日、養鶏場で鶏の病気が発生するーーわたしは忘れない、別れの時に、君があげた叫び声をーー。名前につきまとう性別のニュアンスをあえて削ぎ落とすという試みを、叙情豊かに描いて絶賛を浴びた傑作。
あなたの心が滅んでしまわぬように。再生の予感に満ちた、失われゆくものの小説群。十人の人気作家による絶滅モチーフの新作短編集。
自分を呼ぶのに「私」も「あたし」もしっくりこない妙子が出会ったのは、一人称からフリーな夏実(「小桜妙子をどう呼べばいい」)。ほか、恋愛、友情、くされ縁…名前をつけるのは難しい、でもとても大切な、女同士の関係を描く23篇。読後に世界の景色が変わる1冊。
鳴子佳生は祖父の探偵事務所を継ぐも、依頼もなくブラブラしているヘタレ探偵。しかし、偽孫詐欺事件で“伊東絽爛”という謎の男に関わって以来、隠された大事件を解決する羽目になってしまい…!?
雲や妖怪が見えてしまう霊感体質の鈴は、生霊にされてしまった叔父の斎が開いたあやかし向けレストランを手伝うことに。そればかりか、おせっかいな斎にたきつけられ、あやかしと人間のお困りごとに手を貸す羽目になり…!?今宵、あなたのお悩みを、おいしい料理で優しくほぐします…不器用な人間達とおかしなあやかし達が織りなす、ハートフル妖怪コメディ!