著者 : 町田康
六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。大暑や立秋、大寒といった気候の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。十二人の作家の想像力で、「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集 佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集 江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」 岩瀬成子「竹」 くどうなおこ「インタビューあんたねこ」 井上荒野「ある古本屋の妻の話」 角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」 町田康「百万円もらった男」 今江祥智「三月十三日の夜」 唯野未歩子「あにいもうと」 山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」 綿矢りさ「黒ねこ」 川上弘美「幕間」 広瀬弦「博士とねこ」 谷川俊太郎「虎白カップル譚」
「それでは第十二号議案、『猫君の暴虐に関しての対策案について』ですが、この件についてご意見のある方はおられますか」-諧話会議。はやく魔法がとけるといいですね。いつとけるかはわかりませんけれども。-猫とねずみのともぐらし。こんな眼で私を見るものはこの世にひとりしかいなかった。私方に二十二年間住まった錆猫、ココアである。-ココア。でもそれでいいのだいったん死んでこの世に帰還したエルは生きてるだけで儲けだからー猫のエルは。「私はできれば犬になりたい。犬になって元の家に戻りたいんです。可能でしょうか」-とりあえずこのままいこう。猫の眼で、世界はこんなふうに見えている。文章と絵で贈る、5つの猫の物語。
はは、生まれた瞬間からの逃亡、流浪。千年の時を超え、私は、私の物語を、語ろうと思うー私の名は源義経。打倒平家を胸に、都会的なファッションに身を包み、早業を駆使。鞍馬での幼年期から奥州への旅、メンヘラ気味な最強の家臣弁慶との出会い、そして兄頼朝への思い…。古典『義経記』が超絶文体で現代に甦る!激烈に滑稽で悲痛な、超娯楽大作小説、ここに開幕。
ようこそ、九界湖ホテルへ。龍神が棲むという湖のほとりには、今日も一面、霧が立ちこめて。創業100年を迎えた老舗ホテルの雇われ支配人の新町、フロントの美女あっちゃん、雑用係スカ爺のもとにやってくるのはー。しかし、誰が知ろう、神の心を。鏡のような湖面の奥底でどれほど奇怪な神秘が渦巻いているかを。天変地異を呼びおこす笑劇恋愛小説。
先生は人間からすればゴミクズですがミミズやミジンコからすれば神さまのような存在ですーひとりの小癪な若者の挑発が、絶海の孤島で死すら乗りこえ、超然の高みに達したはずの「余」を破滅の旅へと誘う。辿り着いた沖縄の荒野で再び死に直面し、いつしかボーカルとしてバンドに参加。これは神/悪魔の意志なのか?人間存在そのものと世界の深淵に迫る、『どつぼ超然』に続く傑作長篇。
天草生まれの著者が、十数年かけた徹底した取材調査ののち完成させた、天草・島原の乱を描いた最高傑作「春の城」。取材紀行文「草の道」、多彩な執筆陣による解説、地図、年表、登場人物紹介、系図、関係図を附した完全版!
愛犬家が集うバーベキューパーティーが、全ての始まりだった。私と私の犬は、いつしか不条理な世界に巻き込まれていく。栄光と救済。呪詛と祈り。迷える民にもたらされた現代の超約聖書。私たちを救ってください。人間の根源を問う傑作大長編小説。
故郷喪失の悲しみから、上方のソウルフード、うどん、ホルモン、お好き焼、土手焼、イカ焼を拵え、これを食すことで見えた宇宙。革命ではない。維新でもない。もちろん自由や平等でもない。愛などという眠たいものでもないー大坂の魂を取り戻す、ビルドゥングスロマン。
帆村荘六、半七、フェリシティ、明智小五郎、鬼平、三毛猫ホームズ、金田一耕助、ミス・マープル…。誰もが大好きな名探偵たちが、現代文学の名手13名の筆によって新たな息を吹き込まれた。古今東西の難事件が解決されるばかりではなく、ミステリーのあらゆる楽しみ方を存分に堪能できるアンソロジー。
生の瀬戸際の子猫が目前にいるという現実「生きる歓び」。三人で砂の城を築いたこの浜辺で「砂売りが通る」。ナルとマサコ夫婦が煩う親からの出産要請「われら猫の子」。死んだ妻の身体と深夜向かい合う「半所有者」。登校拒否の朝子と小学生男子の秘密バイト「インストール」。貞享三年、諸国をお忍び中の光圀一行は「逆水戸」。病身の愛人宅から息子の中学校に赴く朝「入学式」。舌ピアスと刺青、痛みと快感「蛇にピアス」(芥川賞)。新世紀を迎えた現代文学の相貌、シリーズ第六巻。
小角が書き送った短歌を自分の文章に無断で引用した作家・糺田両奴。国民の無意識に影響を及ぼして駄目にする奴の文学を根底から破壊する!こちらの世界に拉致してきた糺田に課した難題は、「一、短歌を作る。二、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする。三、暗殺」。それは魂のテロルの始まりだった。劣化する感性を粉砕する、破壊力抜群の傑作長編!