著者 : 真保裕一
病院長の孫娘が誘拐された。犯人からは、人質の黒髪と、前代未聞の要求が突きつけられる。身代金代わりに、入院中の患者を殺せ、というのだ。しかもその人物は、病院のスポンサーでもあり、政財界を巻き込んだ疑獄事件で裁判を待つ被告人だった。悩む家族、後手に回る警察。人質救出の極秘作戦が病院内で幕を開ける。そこに第二の事件がー。
身代金の代わりに「殺人」を求める異常な事件に続いて起こった第二の誘拐。今度の人質は19歳の大学生だった。犯人の周到な計画に翻弄される警察。試練を受け、新たな歩みを始める家族。謎は深まり、やがて恐るべき秘密が浮かびあがる…。スリリングな展開、迫真の描写。そして感動のラストへ!最後に誘拐の果実を手にする者は誰なのか。
十二歳の夏に父を殺されてから、怒りと苛立ちを胸に一人で生きてきた。親を殺された者を見る、好奇の視線に抗うように。あの夏に何があったのか。なぜ父は友人に殺されたのか。二十一歳の今、敦也はなくした九年を埋めるために再び故郷を訪れる。胸に迫る衝撃の真相。著者の心情が強く投影された、魂の軌跡。
発端は航空機の墜落事故だった。その直後に、胸を刺し抜かれた首なし死体がチャイナタウンで発見される。アニマル・セラピーの研究者である晃子は、墜落現場から奇跡の生還を遂げ、自ら事件の渦中に突き進んでいく。そこで目にしたものは…新たなる神話の序曲にすぎなかった!今なお残る吸血鬼の伝説…神話の封印を解く旅が始まる。神秘の歌声を持つ少女を救え。愛と再生のスペクタクル巨編。
この男は人殺しです-。仮釈放となった中道隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ。いったい誰が何の目的で?孤独な犯人探しを始めた隆太の前に立ちはだかる“障壁”とは?“罪と罰”を問うサスペンス巨編。
走った。ひたすらに走りつづけた。いつしか写真家としてのキャリアと名声を手にしていた。情熱あふれた時代が過ぎ去った今、喜多川は記憶のフィルムを、ゆっくり巻き戻す。愛しあった女性カメラマンを失った40代。先輩たちと腕を競っていた30代。病床の少女の撮影で成長を遂げた20代。そして、学生時代と決別したあの日。夢を追いかけた季節が、胸を焦がす思いとともに、甦る。
病院長の孫娘が誘拐された。“身代金”は入院患者の命だ!標的は病院に身を隠していた被告人。挑戦か陰謀か。悪魔のゲームの幕開けか!?そして、もう一つの誘拐が…。逆転に次ぐ逆転!衝撃と興奮の傑作巨編。
12歳の夏ー。浜に倒れていたあの人。母のため息。家に寄りつかない父。-そして事件は起こった。21歳の今、あの夏の日々を振り返る。刑期を終えたあの人が帰ってくる…。罪と罰の深淵を見つめる魂の軌跡。
ロサンゼルスの日系企業で働く探偵のサム永岡は、一人の若者を探すように命じられた。国境に近い町で見つけた彼は、天使のような笑顔を見せながらいきなり発砲してきたー。人としての境界を越えた者と、そんな息子の罪を贖おうとする父親。ふたりにかかわった永岡もまた、内なるボーダーラインを見つめる…。重層的なテーマが響く傑作長篇。
川崎中央署生活安全総務係の萱野は、ある日、上司の矢木沢に面罵された。競技射撃で五輪出場権を懸けて争った選手時代の確執から、矢木沢の接待疑惑を密告したと思われたのだ。自らの汚名を晴らすため、萱野は真の密告者を捜す!巨大な日本の警察組織内部に潜む闇を、深く綿密に描き切った迫真のサスペンス。
自由と、豊かな暮らしにあこがれるベトナムの若いシクロ乗りたちの前に、組織に追いつめられた日本人ヤクザ・タチバナが現れた。波濤の先にあるのは、禍いか希望か?夢を追って命を賭けるか、愛を求めて身を捨てるか!2年ぶりの長編、圧倒的迫力のアジアン・ノワール巨編、ついに刊行。
父を知らず、調教師の祖父に育てられ、新人騎手として修業を積む高志。馬の故障を次々と癒し、周囲を驚かせる正体不明の厩務員の過去に、彼は疑惑を抱くが…。競馬、競輪、競艇、オートレース。ファンの夢と期待を背に一瞬の勝負に挑むプロフェッショナルたち。彼らの潔くも厳しい世界を圧倒的な迫力で描く物語。
警視庁警護課員として佐崎が警護する政府要人が襲撃された。凶弾に倒れたのは同僚のSP、義兄でもある大橋だった。狙撃犯は誰か。佐崎の脳裏に浮かんだ予想外の人物とは!?圧倒的なディテイルとリアリティで描く日本の要人警護の実態。生命の危険を顧みず、自らの誇りを懸けて任務に就く男たちの物語。
キャリアも積んだ。名声も得た。だが、俺に何が残されたというのか-。過ぎ去った時、遠い出会い、苦い別れ。女流写真家と暗室で愛を交わした40代、先輩を凌駕しつつも、若手の台頭に焦りを抱いた30代、病床の少女を撮って飛躍した20代、そして学生時代を卒業した、あの日。時間のフィルムを巻き戻し、人生の光と影をあぶりだす名編。50歳のカメラマン喜多川の脳裏によみがえる熱き日々。閃光が灼きつけたせつない記憶いまも疼く5つのシーン。
31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとりとめ、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家にひとり帰った克己は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。
握手をするように人を殺す男。一歩踏み出したらもう戻れない。欲望の街・ロサンゼルスを彷徨する探偵・永岡修。地獄を見た親子を追い、人の心の砂漠を目撃する。世紀末を斬るハードボイルド巨編。
一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。
ヤクザの追跡を辛うじて逃れた道郎は、名前を変え復讎に挑む。だがその矛先は、さらなる強大な敵へと向かい、より完璧な一万円札に執念の炎を燃やす。コンピュータ社会の裏をつき、偽札造りに立ち向かう男たちの友情と闘いを、ユーモアあふれる筆緻で描いた傑作長編。予想もできない結果に思わず息をのむ。日本推理作家協会賞・山本周五郎賞W受賞。
妻を事故で失い札幌を離れ森林作業員となった男が、自衛隊演習場と隣接する夜明け前の森で救出した女性は、謎を残し病院から逃亡する。女性を捜し真実を突き止めることに己れの再起をかけ調査を始めた直後、落とし穴などの罠が仲間を襲う…。北海道を舞台に独り闘う男の葛藤と勇姿を描くサスペンス大作。