著者 : 石井啓子
三つの物語三つの物語
ナポレオンとの政治的対立から追放されながら、個人の自由と寛容を重んじ、政治的リベラリズムを貫き通したスタール夫人ー奴隷制度廃止宣言の翌年に刊行された、三角貿易の拠点セネガル、アンティル諸島、ル・アーヴルを舞台にした3人のヒロインたちによる「愛と死」の理想を描く中編小説集。本邦初訳。
恋人たち、幸せな恋人たち恋人たち、幸せな恋人たち
陽光に耀く地中海の浜辺のホテル、まどろむ二人の恋人を眺めながら青年は、遠い北欧の街での幸福な時間に思いを馳せる…ジョイスの手法をとりいれて描く表題作に、コロンビアからパリにやってきた美少女の出現が、コレージュの男子生徒たちに引き起こす惑わしに満ちた動揺を、神秘的な感動にみちたエピソードとともに描く青春小説『フェルミナ・マルケス』を併せ収める。魅惑の作家の淡く美しい名作二篇の新訳。
眠りの帝国眠りの帝国
持っているスーツは1着、パジャマは40着。現実から逃れ「眠り」の世界を追求する不眠治療医ジョゼフは、謎の中国人骨董商から買った古いジャズレコードにヒントを得、「眠りの装置」を発明する。毎夜パジャマに身を包み、真の眠りを目指した彼が彷徨った夢と現実の世界とは?古今の文学的伝統と教養から広く着想を得、幅広い知識を作品にちりばめて、エスプリとウィットに富んだ独自の文学世界を築いている著者の鮮烈のデビュー作。
エレベ-タ-エレベ-タ-
広告業界で成功し、言葉だけで他人を思い通りに動かせると自信に満ちていたシャルル。が、「部屋貸します」の看板に誘われ入った古いアパルトマンで、突然エレベーターの中に閉じ込められてしまってからは、目の前を通り過ぎる未亡人、家政婦、郵便配達夫等、助けを求めた人々との会話はすべて擦れ違って…。エレベーターで飼われた男の物語。フランス小説ならではの小粋で皮肉な会話で綴る奇妙な三週間の体験。
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