著者 : 石田善彦
米国のハイテク企業に勤務するアダムは、いわゆるダメ社員。待遇の低さにも嫌気が差し、遅く出社、早く帰宅がモットー。ある日、友人の退職パーティを企画するが、経費は会社のコンピューターを不正に操作し捻出する。しかし、それがバレて上司から厳しい選択を迫られる。横領罪で55年の服役か、ライバル会社にスパイとして入社するか。アダムはこの窮地を切り抜けられるのか。
企業スパイとなるべく、アダムの特訓が始まった。よれよれのジャケットを捨て、一流ブランドのスーツを着こなす。上司から経営学、ハイテク知識、盗聴などのスパイ技術を叩き込まれる。そんな努力が実り、アダムは見事にライバル会社への再就職に成功。そこで意外な才能を発揮し、出世街道を爆走する。そして夢のような生活を手に入れたと思ったのだが。新感覚の企業スパイ小説。
第二次世界大戦下、イタリアの第一二七捕虜収容所でもくろまれた大脱走劇。ところが、密かに掘り進められていたトンネル内で、スパイ疑惑の渦中にあった捕虜が落命、紆余曲折をへて、英国陸軍大尉による時ならぬ殺害犯捜しが始まる。新たな密告者の存在までが浮上するなか、果して脱走は成功するのか?英国ミステリの雄が絶妙の趣向で贈る、スリル横溢の独創的な謎解き小説!
通り過ぎるはずだった遠い「異国」の風景-ある日、僕はめまいをおぼえた。文化・社会・人種・世代・家族…これは三世だけが抱える問題だろうか?祖国を初めて訪れた著者は、改めてこれらのテーマを問い直した。
本書の幕開きは1912年11月、バルカン半島では長く続いたトルコの支配が崩れるきっかけとなる第1次バルカン戦争が勃発し、その結果トルコはヨーロッパの領土の大半を放棄する。イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなどの列強は、その空白をにらんで水面下での駆け引きを繰り返していた-巨匠ライアルの久久の新作。激動の歴史を動かした男たちの、謀略と闘いの日々。冒険小説の巨匠が描く、英国情報部草創期の活躍。渾身の新シリーズ開幕。
麻薬取締局(DEA)のメンバーの家族に起きる相次ぐ事故、そして死。過去四年間のうちに八人の子供と妻たちが殺されていた。DEAにはめられたと狂信し、復讐の鬼と化した元情報部員マーティン・フレッチャーの仕業だった。最強のテロリストが狙う最後の標的とは。
「おれたちの家族は全員虐殺された。まだ一組家族が残っている。あんたの家族だ」妻子とわかれ、山奥で隠遁生活を送るDEAの元幹部ポールの心はおののいた。彼が知る限り最も危険な男マーティン・フレッチャーとの追いつ追われつの壮絶な闘いが始まる。
南アフリカの刑務所からテロリストが脱獄した。比類なき有能ぶりから「コードネーム・ゼロ」と呼ばれるこの男は、大富豪ダイスンと共謀し、世界経済を崩壊させる空前の爆弾テロ計画を企てる。一方、離婚後ひとり息子を育てながらFBIの仕事を続ける女性捜査官セーラは、とある娼婦殺害事件をきっかけに彼らの計画を知る。迫り来る爆発時刻ー。ハイテク技術満載の問題作に全米驚愕。
南米のボリビアはアメリカにコカインを売りさばく麻薬組織に蝕まれていた。潔癖な性格で、一部の兵士の熱い支持を受ける海軍中佐ゲレロは、米国公使フェザーストーンと共に密造業者を取り締まる。ある日、ゲレロの部下がマフィアに殺された。不正な裁判で犯人は無罪となり、言葉に出来ぬ怒りを抱いたゲレロは遂にクーデターを計画する。わずか数百名の兵士達は為政者を葬れるか。
ぼくにとってミステリは愛であり信仰の対象だった。シルヴィアにとっての詩人エミリー・ディキンスンのように…18歳のぼくが43歳の人妻シルヴィアと出会ったのは、砂漠の真ん中だった。ぼくは新興宗教の教祖である母親から逃げだし、シルヴィアはディキンスンの生家を見るため、夫と息子を家に残してドライブの途中だった。気意投合したぼくたちは、ニュー・メキシコ、テキサス、シカゴへと旅をつづけ、ぼくはシルヴィアのエキセントリックな魅力のとりこになっていく。しかし、ある日突然、彼女はぼくを置いて夫のもとへ帰ってしまった。ディキンスンの詩集と別れのキスだけを残して。いったいなぜ、彼女はディキンスンへの情熱を失ったのか?ぼくは謎めいたシルヴィアの真の姿を追い求め、独りで旅をつづけるが…1970年代のアメリカを舞台に、作家志望のミステリ・ファンの少年と詩を愛する人妻が織りなす、不思議でほのかにエロティックな関係。ミステリ、恋愛小説、ロード・ノヴェルなどさまざまな要素が自由奔放にとけあう、新しいかたちの青春小説。
プア・ホワイトで薬物中毒、狂信的な白人至上主義者ソニー・ウォーカーにとって、唯一の福音はメキシコ国境を越えて流れてくる極右団体のラジオ放送だった。そんな失意と惰性の日々をおくるソニーの不満が殺意に変質するのにはほんの些細なきっかけがあれば十分だった。別れた妻が裕福なユダヤ人実業家と再婚することを知った時、ソニーの脳裏にある計画が浮かんだ…。
殺人現場に描かれる二つの十字架と罵倒の言葉。ソニーは連続殺人鬼“クロスキラー”に変身したのだ。ロサンジェルス市警が威信を賭けて事件の捜査に起用したジャック・ゴールド。腕利きだが、何かと噂の絶えない男でもある。独特の嗅覚で強引な捜査を進めるゴールドは“クロスキラー”を挙げられるのか。ダウンタウンに繰り広げられる心理異常者とはみ出し刑事の壮絶な戦い。
テレビ・コマーシャルは、たしかに効き目があった。暇をもてあましていた私立探偵アルバート・サムスンのもとに、依頼の電話が急にひっきりなしにかかってくるようになったのだ。しかし、そういいことばかりはつづかなかった。警察が血眼で追っているテロリスト・グループからも、仕事を依頼されたのである。環境保護を訴えるこのグループは、爆発しないようにセットした爆弾を公共の場に仕掛け、それを自ら警察に通報するという手口で、マスコミの注目をあつめていた。ところが、仕掛けた爆弾のひとつが何者かに盗まれてしまったという。死傷者がでるまえに爆弾を回収してほしいと依頼されたサムスンは、警察に届けるよう勧めるわけにもいかず、仕方なく調査をひきうけた。やがて警察の追及の手はサムスンにまで…。追いつめられたサムスンが男の意地をみせる話題作。
ニューオルリンズの街角で明日のスターを夢見ながらも、ギャングの金に手を付け、逃亡の身となったサル・ダモーレ。幼いころからビリー・ホリデイを子守歌代わりに育った皮革王の愛娘イザベル。2人が出会ったのは北地中海、リオに向かう客船の上だったー。ピアノ弾きとして雇われたサルと客として乗船していたイザベル。この偶然の邂逅から紡がれる華麗なる運命のタペストリー。
サル・ダモーレと出会い、みるみる才能を開花させたイザベルは瞬く間にスターダムを駆け登る。デビュー・アルバムは世界的なヒットを記録し、グラミー賞の7部門にノミネートされた。しかし授賞式のためL.A.を訪れた2人を待ち受けていたのはサルを追うギャングたちだった。イザベルを守るため単身、死闘の場に向かうサルだったがー。音楽を縦糸に暴力を横糸に描くハード・ロマン。
百万長者の将軍ガイ・スターンウッドの死後、長女のヴィヴィアンは精神を病んだ妹カーメンをサナトリウムに送り込んだ。ところが、ある日突然カーメンは失踪し、追い込まれたヴィヴィアンは、自分に恋をするやくざなクラブ経営者エディ・マースに妹を探し出すように依頼する。一方、スターンウッド家に起こるすべてのことは他人事ではいられない執事のノリスは、過去のいきさつから私立探偵フィリップ・マーロウに何としてもカーメンを探しだしてほしいと依頼してくる。はたして失踪事件の背後にあるものは?調査をすすめるうちに、バラバラ殺人と巨額の詐欺事件が絡み、事件は夢にも思わぬ展開をみせるのだった…。当代随一の人気ハードボイルド作家ロバート・B・パーカーが50年の歳月を経て贈る、師レイモンド・チャンドラーの処女作『大いなる眠り』の続篇。未完の遺作『プードル・スプリングス物語』の完成版につづく「パーカー版フィリップ・マーロウ」第2弾。
お願い、わたしの生物学上の父を探してー。閑散としたオフィスに突然飛び込んできた少女にサムスンは面食らった。大富豪クリスタル家の一人娘が、血液型から自分は実の子ではないことが判明したと涙ながらに訴えるのだ。さっそくクリスタル家の系譜を探り始めたサムスンは、こころならずも名家の巨富をめぐる醜悪な争いに巻き込まれてゆく。暴力を憎む心優しき知性派探偵アルバート・サムスン、文庫初登場。改訳決定版。
海上保険業者のボディガードを依頼されたカードは取引場所のフランスの田舎町に乗り込んだ。ところが一発の銃声が黄昏の静寂を引き裂き、カードの眼前で依頼人は事切れた。取引の目的は何だったのか?このまま引き下がってはプロとしての意地が許さない。次次と襲いかかる死の罠をくぐり抜け、謎の狙撃者を追う彼が暴き出した真相とは?パリ、ロンドンそして北欧の大自然を舞台に繰り広げられる巨匠会心の冒険小説。