著者 : 稲村文吾
ネットへの視覚的なアクセスを遮断する規制が敷かれた香川県からやってきた女子高生の大阪観光サイバーパンクの表題作、百合SFアンソロジーや『異常論文』へ書き下ろしとして発表された短篇群など、『元年春之祭』著者による知性と感情を揺さぶる小説全8篇
突然の事故をきっかけに、俺は人生のあらゆる瞬間に意識を移すことができるようになった。俺が叶えたいことはたったひとつ、子供のころに病院で出会った運命の少女のことだけだ…。自在に時を飛ぶ“時間の王”となった主人公の冒険と苦難を描く表題作、古代の蜀の都市・成都で、謎の女により不老不死にされた王が悠久の時をめぐる「成都往事」、店の名誉を守るため、三国時代の魏の曹操にラーメンを食べさせようとタイムトラベルした一行の奮闘を描く「三国献麺記」など、時間SFテーマの全七篇を収録。中国SFの超新星にして時間SFの名手が贈る、新時代の超絶エンタテインメント短篇集。
予告殺人鬼“エウメニデス”VS中国警察の死闘が始まるー本国でシリーズ累計120万部突破、ドラマ版24億回再生、英『サンデー・タイムズ』による戦後ミステリ100選選出。
冬の朝、1人の少女が死体で発見された。雪に覆われた地面に犯人の足跡は残っておらず、警察は自殺として捜査を終える。それから5年後、学生寮長の顾千千は、生徒会長の馮露葵とともに、密かにこの事件のことを調べ始めるが……新たなる青春ミステリの傑作!
中国の孤児院で育ち、富裕なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年、阿大ことベンヤミン。中国で六歳の少年が木の枝で両目をくり抜かれる凄惨な“男児眼球摘出事件”が発生。ベンヤミンは被害者の少年を力づけ、同時に事件の真相を暴くべく、お目付け役のインターポール捜査員・温幼蝶とともに中華文明発祥の地・黄土高原へと旅立ったー。第4回〓瑪蘭(カバラン)島田荘司推理小説賞受賞。
今、新たな潮流として注目を浴びている華文(中国語)ミステリ。その第一人者・陳浩基が持てる才能を遺憾なく発揮したのが、この自選短篇集である。大学生たちが講義室にまぎれこんだ謎の人物「X」の正体を暴くために推理を競い合う本格ミステリ「見えないX」、台湾推理作家協会賞最終候補作となった衝撃のサスペンス「藍を見つめる藍」、密室殺人を扱った「作家デビュー殺人事件」、時間を売買できる世界を描いた異色作「時は金なり」など、奇想と仕掛けに満ちた驚愕の17篇を収録。著者デビュー10周年記念作品。
二千年以上前の前漢時代の中国。山中の名家を訪ねてきた少女は、かつてこの地で奇妙な殺人事件が起きたことを聞き、その推理を試みる。そこに新たな事件が! 不可能状況の殺人、二度にわたる「読者への挑戦」。気鋭の中国人作家による本格推理小説の新たな傑作
国際投資銀行A&Bから機密データが“誘拐”された。データが公開されれば新たな金融危機が起こりかねない。データにアクセスできたのは、大手ソフトウエア開発会社クインタス担当のアナリストたちのみ。とばっちりでアナリストたちと一緒に軟禁状態にされた情報システム部の植嶝仁は、一歩間違えば父親が率いる財閥までが巻き添えを食うと知り、“誘拐犯”の正体を暴こうとするが…。
いま台湾ミステリーが面白い。第3回島田荘司推理小説賞受賞。夢中で漫画をむさぼり読んだすべての元少年少女に贈る、企みに満ちた本格ミステリー。ミステリーは第十二章から始まる。家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子の健ちゃんは密室に閉じ込められていた…。物語は第一章に戻り、奇数章はライバル“太っ許”と漫画大王の座を争う小学生・健ちゃん、偶数章は少年時代の事件のトラウマで鬱々とした人生を送っている妻子持ちの方志宏という男が主人公。父親と息子、二つの視点から語られるストーリーの結末と殺人事件の真犯人は?