著者 : 立原透耶
豪華絢爛、大唐帝国を魔改造せよーーラッパー李白が、怪獣パンダが、キチン質の李世民が、空海が、三蔵法師が大暴れ! 日本と中国の8作家が織り成す、国境を越えた奇跡のアンソロジー 「本書の目玉はもう一つ。中国と日本のSF作家による競作にチャレンジしたことである。本格的な日中競作のSFアンソロジーが日本で出版されるのは今回が初めてと思われる。日本の作家に唐代SFが書けるのか。そんな心配は無用だ。(中略)この先には激動の歴史と数多の物語、そして現在と未来を燃料に、新しい世界に到達した珠玉の唐代SFが待っている。ぜひページをめくって、編者が自信を持ってお勧めする八作を堪能してほしい。」(「序」より) 【目次】 序 大恵和実 「西域神怪録異聞」灰都とおり 「腐草為蛍」円城塔 「大空の鷹ーー貞観航空隊の栄光」祝佳音(林久之 訳) 「長安ラッパー李白」李夏(大久保洋子 訳) 「破竹」梁清散(大恵和実 訳) 「仮名の児」十三不塔 「楽游原」羽南音(大恵和実 訳) 「シン・魚玄機」立原透耶 編者解説「八岐の園そぞろ歩き」 大恵和実
孔子は時空を越え、諸葛亮孔明はコーヒーの栽培に成功し、マカートニー伯爵は乾隆帝の迷宮に閉じ込められ、魯迅は故郷でH・G・ウェルズのタイムマシンに出くわすーー悠久の中国史を舞台に、今もっとも勢いのある中国の作家7人が想像力の限りを尽くした超豪華短篇集 孔子、泰山に登る(飛ダオ 著/上原かおり 訳) 南方に嘉蘇あり(馬伯庸 著/大恵和実 訳) 陥落の前に(程ジン波 著/林 久之 訳) 移動迷宮 The Maze Runner(飛ダオ 著/上原かおり 訳) 広寒生のあるいは短き一生(梁清散 著/大恵和実 訳) 時の祝福(宝樹 著/大久保洋子 訳) 一九三八年上海の記憶(韓松 著/林 久之 訳) 永夏の夢(夏笳 著/立原透耶 訳)
本邦における中華SF紹介の第一人者たる立原透耶氏が、数多ある短編作品から十七篇の傑作を厳選。 劉慈欣と並び「中国SF四天王」と称される王晋康、韓松、何夕の三大家をはじめ、台湾SF界の長老・黄海から、ハードSFの江波、詩情に満ちた作風の潘海天、清朝スチームパンクの梁清散ら中堅・ベテラン作家、日本でもおなじみの陸秋槎、さらには糖匪、昼温ら、若手・女性作家の作品までを収録。全編本邦初訳。 表題作「時のきざはし」は、ここ数年次々と大きな賞を獲得している期待の新鋭、滕野の代表作のひとつ。 個性豊かな物語の紡ぎ手十七名による、多彩な現代中華SFを、存分にお楽しみください。 【収録作品】 「太陽に別れを告げる日」 江波 大久保洋子 訳 「異域」 何夕 及川茜 訳 「鯨座を見た人」 糖匪 根岸美聡 訳 「沈黙の音節」 昼温 浅田雅美 訳 「ハインリヒ・バナールの文学的肖像」 陸秋槎 大久保洋子 訳 「勝利のV」 陳楸帆 根岸美聡 訳 「七重のSHELL」 王晋康 上原徳子 訳 「宇宙八景瘋者戯」 黄海 林久之 訳 「済南の大凧」 梁清散 大恵和実 訳 「プラチナの結婚指輪」 凌晨 立原透耶 訳 「超過出産ゲリラ」 双翅目 浅田雅美 訳 「地下鉄の驚くべき変容」 韓松 上原かおり 訳 「人骨笛」 吴霜 大恵和実 訳 「餓塔」 潘海天 梁淑ミン 訳 「ものがたるロボット」 飛氘 立原透耶 訳 「落言」 靚霊 阿井幸作 訳 「時のきざはし」 滕野 林久之 訳
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?本書に始まる“三体”三部作は、本国版が合計2100万部、英訳版が100万部以上の売上を記録。翻訳書として、またアジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。
「-の音を聞くと、何かがおこるんだって」恋人もいなければ、親友と呼べる人間もいない“私”の耳に偶然届いた言葉。たわいのない噂話を耳にしたその日、私は“彼”の声を聴いた。私が待ち望んでいた“彼”。誰にも聞こえない、私だけに聴こえる“彼”の声。彼の声だけを聴きたい、その一心から、私はあらゆる音を排除していくー(「ベルの音が」)。新鋭女流作家が綴る、切なく心を凍らす書き下ろし連作ホラー。