著者 : 芦辺拓
「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく…。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!
京都にあるD**大学文芸サークルの一員となった十沼京一は、元医院を改装した古い洋館「泥濘荘」で、仲間とともに気ままに暮らしていた。だが、ある日メンバーの一人が館の望楼で縊死体となって発見される。それをきっかけに、次々と死に見舞われるサークル員たち。犯人はメンバーの一員か、それとも…?本格ミステリファン必読、大幅改稿で贈る第1回鮎川哲也賞受賞作。
ニューギニアから復員してきた金田一耕助の探偵事務所に、没落の一途を辿る名門・柳條家の息子月光が相談にやってきた。金田一は柳條家の没落を願う者が集うと言われ銀座のレストランに招待されたが、何事も起こらない。だが、月光は何者かに殺害され、金田一は等々力警部により現場に連行されてしまう。巧妙に仕組まれた罠と幾重にもはりめぐらされた謎。金田一耕助と明智小五郎、日本を代表する二大名探偵が、難事件に迫る。
反骨の検事・名城政人が殺人容疑で逮捕された。検察内部の不正を告発しようとしていた彼の罪状には、冤罪の疑いが色濃い。後輩検事の菊園綾子は、好敵手で弁護士の森江春策に協力を仰ぎ、証拠品の放射光による鑑定と、関係者が集った洋館ホテル“悠聖館”での事情聴取に乗り出す。しかし、放射光鑑定をするはずの研究機関で暴走事故が起こり、“悠聖館”では新たな殺人事件が発生する。それは、菊園検事を謎と推理の迷宮へといざなう招待状だったーパラレルワールドと化した事件現場。真相を見抜かないと、元の世界にはもどれない。知恵と推理と正義感を武器に、迷い込んだ異次元で、孤独な闘いがはじまる。奇想爆発。作家が、持てる技と力のすべてを結晶化させた、渾身の本格ミステリ長編!
億万長者の老人が森江法律事務所へ遺言書作成の相談に訪れた帰途、密室状態の袋小路で殺害された。遺されたのは世界に一冊の奇書と莫大な遺産。森江春策がその本をひもとくと、多彩な物語が記されていた。東方綺譚、海洋活劇、革命秘話、秘境探検、ウェスタン、航空推理ーそして、数々の殺人事件。物語が世界を縦横無尽に飛びまわり、重大な秘密へと誘う。全てのピースが嵌まる快感がたまらない博覧強記の本格ミステリ。
昭和12年、大阪。老舗薬種商の鴇屋蛟龍堂は、元祖と本家に分かれ睨み合うように建っていた。エスカレートする本家・元祖争いで起きた惨事が大事件に発展するなか、若き名探偵・金田一耕助は、トレードマークの雀の巣頭をかきむしりながら真相究明に挑む。もう一人の名探偵・明智小五郎も同地に到着してー!?豪華二大名探偵の共演作に、本文庫のための書き下ろし「金田一耕助対明智小五郎」を加えた、目眩くパスティーシュワールド。
4人の小説家による鉄人28号トリビュート SF作家で日本SF作家クラブ会長でもある瀬名秀明による『プロメテウスの悪夢』はものを考えるロボット・ロビーと、敷島博士の夫人・美也子との不思議な心の交流を描く美しいSF。『特急あさかぜ鉄人事件』は、鮎川哲也賞受賞のミステリ作家・芦辺拓が鉄道ミステリのおもしろさをPX団、ニコポンスキーが登場するバギューム事件に盛り込んだ本格ミステリ。アニメ、ミステリ、SF界の重鎮・辻真先の『殺人28号研究オヨヒ開発完成ニ至ル経過報告書』は太平洋戦争中の鉄人開発計画をめぐる軍事科学小説。さらに、日本推理作家協会賞短編部門も受賞したSF作家・田中啓文による神戸を舞台にした書下ろし『夢の巨人』を加えて単行本化します。
ある日、あなたのもとに届いた一通の呼出状。それはあなたが裁判員候補者として選ばれたという通知だった。もちろん裁判など初めての体験。芒洋とした弁護士、森江春策と女性敏腕検事、菊園綾子が火花を散らす法廷で、あなたは無事評決を下すことができるのか。本邦初の“裁判員”ミステリー、ここに開廷。
『探偵Xからの挑戦状!』とは二〇〇九年四月一日より、NHK総合テレビ『EYES』(水曜深夜)枠で八回にわたって放送された番組。一話完結。放送日の一週間前から登録者の携帯電話に「問題編」のミステリー小説を配信、登録者は犯人を推理して携帯サイトに投票、「解答編」は放送日に番組内で紹介される。本書は同番組のために執筆された小説八作品を文庫化したものである。
数理情報工学の天才、久珠場博士が死去。遺産は百億円にも上るという。遺産は子供三人が相続し、最新の研究成果を収めたディスクが、博士の恩人の子孫に遺されることに。遺書開示の立会弁護士・森江春策の助手・新島ともかは、ある奇縁から、遺族への潜入捜査を開始する。そこには連続殺人の惨劇が待ち受けていた…。凝りに凝ったプロットが光る、本格推理の傑作。
有罪、それとも無罪?被告人の運命は、あなたたち六人に委ねられた。いわくありげな裁判員たち、二転三転する評議、そして炸裂する究極のどんでん返し!裁判員制度のすべてがわかる、傑作リーガルサスペンス。
ところは中国、栄華を極めた大貴族の邸内に築かれた人工庭園「大観園」。類稀なる貴公子と美しき少女たちが遊ぶ理想郷で、奇々怪々な連続殺人が勃発します。衆人環視の中で消え失せる犯人。空を飛ぶ被害者…。中国最大の奇書『紅楼夢』を舞台にした絢爛たる犯罪絵巻は、中国古典ファンも必読の傑作ミステリー。
そこにあるのは胸躍る冒険物語、それとも恐怖に彩られた悪夢か。めくるめく夢と幻想の迷宮へようこそ…本格ミステリの俊英の初期から現在に至る傑作十編を精選!特別エッセイも併録したファン待望の非ミステリ・ノンシリーズの幻想怪奇作品集。
キャリアでもノンキャリアでもない“準キャリア”という立場で、大阪府警新犯罪対策班に所属する梧桐渉警部は、道頓堀川を流れていた女性の胴体だけの死体遺棄事件に関わる。被害者は演劇プロデューサーで、地元演劇祭に絡んだトラブルを抱えていた。続いて発生する死体遺棄事件の現場は、全て大阪という“都市の愚行”に関連する場所だった。捜査本部や世論の驚愕を狙って、犯行動機の詳細を語るホームページまでが登場。大阪全てが劇場型犯罪の舞台と化していく中で、梧桐は意表をついた方法で犯人に迫る-。
閑静な地方都市、Q市。だが大それた犯罪が、市民を街を司法当局を未曾有の大混乱に陥れていた。そこに燦然と現れた乙名探偵、人呼んで“名探偵Z”が人の迷惑省みず、卓越した推理で快刀乱麻と事件を解決する!そんな大活躍をあざ笑うかのように、敢然と闇夜を闊歩し挑戦状を叩きつける名探偵Z最大の強敵“少女怪盗Ψ”!両者の対決は果たして如何ばかりなものであろうか!!不幸にも彼等の巻き起こす大事件担当にされてしまったQ市きっての名捜査官、仙波警部らの心労や如何に。
時計台の磔刑、気球の絞首刑、監禁した美女への拷問-異形の無差別復讐鬼“殺人喜劇王”の凶行はどこまでエスカレートするのか。奇想に富んだ手口のすべてを記した謎の小説。黄昏の街を奔走する名探偵と少年助手。そして大団円で森江春策が明かす驚愕の真相。江戸川乱歩へ捧げる最高の本格推理。
かの名探偵と怪盗紳士の“ほんとうの出会い”を、1900年パリ万博を舞台に描いた書き下ろし中編「真説ルパン対ホームズ」、アメリカ黄金時代の探偵たちが不可解な殺人事件をめぐって推理を繰り広げる「大君殺人事件またはポーランド鉛硝子の謎」をはじめとして、古今東西さまざまな探偵たちが紙面狭しと大活躍する“芦辺ワールド”の大博覧会!粋なトリックと洒落たギミックで読者をいざなう8編を収録。
伊勢から神戸にかけての約三百キロにわたる「歴史街道」は“日本版ロマンチック街道”ともいわれている。この街道にある日、点々と女性の死体がバラまかれた。一方、中年女性に失踪した娘の行方を探してほしいと頼まれた弁護士探偵・森江春策は青山高原と飛鳥にめまぐるしく続発した殺人に遭遇し、バラバラ死体事件にも取り組むことになる。やがて浮かび上がってきた前代未聞のおぞましいトリックとは。