著者 : 花房観音
恩師の葬式で再会した五人の女。近況を報告しあううちに、教室で見たビデオの記憶が蘇りー。先生と濃厚なセックスをしていた、あの女は誰だったのか。互いに互いを疑いながら、女たちは今日も淫らな秘め事を繰り返す。不倫、密会、出会い系…。秘密を抱える腹黒い女たちと、それを監視する街、京都。重ねた嘘が崩壊する時、女の本性が放たれる。
婚活連続殺人事件で死刑判決を受けた「さくら」という名の醜女と、その周辺取材を始めた42歳の女流官能作家。さくらはなぜ男たちに「女神」と崇められ、求められたのか?その男たちを殺めた真相はー。女の嫉妬と渇望を描く名手、作家・花房観音の入魂作!
自分の中には凶暴な性欲をもつ鬼がいるー鬼を追い出すため、吉田神社の節分祭「鬼やらい」へ行く女。しかし女は妖艶な着物を纏った美女にたやすく誘惑される。行為の最中、相手の着物の裾の間には、逞しく屹立するものがあった。女装男との倒錯性を描く「おばけ」ほか、女の欲望が昇華する官能短編集。
男が教師になって二年目の夏、女子生徒の母親が首吊り自殺をする。この瞬間から、男の人生は軋みながら、音を立てずに崩れていくー男は、女に喰われるために生きているのか?三年坂、鳥辺野ー古都の曰く因縁が、男と女の業をあぶり出す。
貞淑な妻、包容力ある母、愛情深い恋人、献身的な娘として、役割を演じながら葛藤しつづける女性たちの仮面の下の素顔。苦しみ、憎しみ、渇望ー女の内面に巣くう花と蛇をあぶりだす、団鬼六賞受賞作家、入魂の衝撃作!
良妻賢母がモットーの「お嬢様」女子大の入学式、桜並木の坂道で転んだ水絵に手を差し伸べたのは、妖艶な魅力の上級生・日菜子だった。京都の名家・嵯峨家出身の日菜子は父親の母親への無慈悲な仕打ちから男を忌み嫌い、田舎から上洛した奥手の水絵を女子寮で寵愛する。団鬼六賞受賞作家による文庫書下ろし。