著者 : 花房観音
「私が、おかしいんやろうね、異常なんやろうねー」セックスに凄まじい執着を見せる亜子、性に拒絶と関心のジレンマを覚えたるり花、他人の性欲の犠牲となり、ただただ嫌悪感を募らせる由真…。「生きづらさ」を抱える女たちの叫びの果てに、答えはあるのか?全人類必読の長編スペクタクル・ロマン活劇!!
「埼玉県内で会社を経営する男性の遺体を発見。警察は、事情を知ると見て、内縁関係にあった女の行方を追っていますー」顔を変え、新しい名前を手に入れた女は、日本海沿岸の温泉地で働き始める。誰も知る者のいない新天地で、別人としての人生を生きるはずだったが…。人間の欲望と業をみつめるスリリングな長篇小説。
すべての欲望は、京都の秘密の館で花開くー市長選挙間近の京都。美人ジャーナリスト・東院純子は、保守派のスキャンダルを探るため怪僧・秀建に接近するが、政財界の大物が集う秘密の館で身も心も裸にされてしまう。快楽、復讐、裏切り、支配ー人間のあらゆる欲と業を巻き込みながら、選挙戦は大波乱の結末に!読み出したら止められない“魔物”のような痛快エンターテインメント!
十年ぶりに再会した昔の男。年下の彼が、年を重ねた私を「変わらない」と抱き寄せる。久々の体の重みと秘部を這う舌の感触に、疼きも潤みも蘇りー(「枯れ菊」)。「ネクタイ目隠し」「ストッキングで両手拘束」親友チルがSNSに綴る“運命の彼氏”との情事にカオルは驚く。それはカオルが彼に教えた前戯であり、まだ彼との関係も続いていた(「オンナの友情」)。艶やかに溢れ出す極上欲情短編集。
京都の洛外を循環する二つの物語が交錯する。マップや写真を頼りに、“書を持って街にでよう。”
作家の桜川詩子は、醜い容姿がコンプレックス。それなのに、デブスな春海さくらは男達を手玉に取って、女神扱い。さくらを題材に小説を書くため詩子は、彼女の友人、母親など四人の女を取材するがー。“どうしてあんな女に私が負けるのか”。一人の醜女に人生を狂わされた女達の怒りと焦りが決壊する時、この世で最も醜い女の戦いが始まる。
届けられた死者のメモ。主婦、託児所のオーナー、一流企業のOL、女優。彼女たちの共通点はたったひとつ。「売春島」で体を売っていたことだけ。ばれるかもしれないー。娼婦だった母への憎悪で、胸が張り裂けそうな男もまた、母を棄てた罪悪感と愛する者との未来への希望、ふたつの感情のあいだで、ゆれるー。最もむきだしに、最も正直に、性と欲望を、禁忌を、恍惚を、人間の尊さと愚かさを謳いあげた忘却不可能エンタメ小説。
風俗嬢に堕ちた教え子と潔癖な教師が逢瀬を重ね、京都の“魔所”といわれる古寺を訪れる「鳴神」、再会した幼馴染みとのセックスに籠絡され、夫殺しに荷担する不倫男の末路を描く「恋塚」。性と愛の地獄に嵌まり、時には生死を顧みぬ男女の業を、団鬼六賞作家が生々しくも艶やかに描く傑作六編。
「女の匂いをさせては、獣が来ます」山奥の宿坊。妖艶な僧が、手で舌で、私の体を清めていくー(「女禁高野」)妻よ、俺の顔に跨ってくれ。潤みに塗れたその尻で潰してくれ(「悦楽椅子」)先生は、私の髪で先をくすぐられるのが、たまらなく好きでしょう?(「みだら髪」)狂おしいほどに疼き、したたり、吐息が漏れる。団鬼六賞作家が男と女の心の秘部を押しひらく、文庫オリジナル欲情短編集。
実業家が若き愛妻のために建てた邸宅。幸せの象徴のようなその家に、美男と地味な女といういびつな夫婦がやってきたことから、すべてが歪みはじめる。(「桜鬼」)。少年が決して近寄ってはならないと言われていた、禁断の部屋。そこでは、父と友人たちによる忌まわしい“遊戯”が行われていた…。(「鬼の子」)。夫により女として開花してゆく新妻。幸せの中、吹き抜けの玄関ホールにぶらさがって揺れている不気味な人形を見てしまう。(「鬼人形」)。闇に蠢く影は異形のものか人間が生み出したものかー。6つの恐怖譚。
江戸末期の京都。北近江の十一面観音に魅せられた青年、烏は、僧になるため京の都にやってきたが、観音像を彫るために仏の道を捨てる。食うために彼が始めたのは、生身の女のあられもない姿を彫り出すことだった…。
あなたを絶対手に入れる、どんなことをしてもー。許婚を待たなくてはならない女、恋人に過去を知られたくない女、小島と男を奪い合う女、愛人と夫との間で揺れ動く女、若くてきれいな男しか愛せない女…。略奪愛をテーマに、燃え上がりはじける愛のひと時を、5人の女性作家たちが紡いだ、におい立つようなめくるめく恋愛譚。
京都の鴨川のほとり、かつて男が女を買いに訪れた地域に建つ、「楽園ハイツ」。住人の間では、夫を亡くした田中みつ子が「最近綺麗になった」という噂でもちきりだった。アパートの中で静かに熟成される疑い、焦り、嫉姑。それが頂点に達した時、事件が起きるー。いま注目の著者による、女の「価値」と「残り時間」の物語。
「誘ってきたのは奥さんです」「私は犯されました」「妻と部下は、悦びあっていました」。不貞の現場でせめぎ合う間男、妻、夫それぞれの“真相”(「藪の中の情事」)。あなたからの贈り物は、左腕でした。私の体を知り尽くすその手は、何度でも快楽の波を呼び起こす(「片腕の恋人」)。物語に感応し溢れ出る一片、また一篇。団鬼六賞受賞作家があなたの欲望の蓋を開ける艶やかな官能短編集。
妹の結婚式のため平安神宮にやって来た野島高志は、二十年前に婚約破棄をした早希のことを思い浮かべた。以来、会うこともなかったが、ふと近況が気にかかり、今も京都に暮らす早希の妹・真希を訪ねる。そこで彼は思いも寄らぬ真実を知り…。(「戻り橋」)恋や情念が盛り上がった後に漂うそこはかとない寂寞感。欲望の向こう側に広がる儚い人間模様が描き込まれた連作短編集。
京都にひっそりと暮らす女性作家には、忘れられない男がいた。妻子がいながらも、女癖が悪く、夢を追いつづけた男は、彼女の身体と心に燃えたつような快楽の痕を残していた。夏のある日、取材で幽霊が見えるという老女に会う。愛する男を必ず喪うという数奇な運命に翻弄される老女の話を聞くうちに、封印したはずの愛の記憶が蠢きだす…。古都を舞台に、男女の愛欲と情念が絡み合うさまを、艶やかな筆致で描く。
繁華街のラブホテルで女の死体が発見された。警察が来るまで部屋を出ないでほしいと言われ、慌てる利用客たち。身体を重ねたその部屋で、昨晩とは違う相手の素顔が見えてくる。そして、女はなぜラブホテルで死んだのか…。ラブホテルでの一夜をめぐる、6篇の物語。
京都下鴨。老舗料亭「賀茂の家」の四姉妹には美しく悲しい秘密があった。不倫でしか男を愛せない長女、夫の性欲を憎む次女、姉を軽蔑する三女、父親の違う四女…。騙し合い、嫉み合い、薄氷の上で均衡を保つ四人の女。しかしー「お義兄さんやから、寝たんやで」。その一言が偽りの家族を破壊する。嘘をついているのは妹か、罠を仕掛けたのは姉なのか。