著者 : 藤本ひとみ
1944年10月、帝國真珠ロンドン支店の早川薫に英国首相チャーチルから真珠の胸飾りが手渡された。パリ万博にも出品された「ハナグルマ」の修復依頼。「君の祖国は、あと一年ももたない」と言われながらも薫は帰国し、日本で唯一修復できる水野家に向かう。 水野冬美は真珠細工師の母と二人暮らし。学徒勤労動員で浜松の軍需工場に出発する前夜、本当の父は「真珠王」と呼ばれる帝國真珠の創業者・藤堂高清だと聞かされる。 戦禍と男社会に翻弄されながらも、冬美は自らの運命を切り拓いていく。
数学界に自分の頭脳を捧げたいと思っている上杉和典は、互い才能を認め合っていた野球部エースの早逝に触れ、彼が命を削っても成し遂げたかった真の目的を探し始める。それが自分の人生を揺るがせるものになるとは知らずにーー。 野球は、そんな底の浅いものじゃない。大事なのは、高校生が自分で考え、全力を投入し、勝敗という形でその結果を受け止め、自分の心身に反映させて、さらに考え、ぶつけ、その繰り返しで心を成長させ、自分を信じる気持ちを構築する事だ。それができるのは、勝ちを目指さない野球だけなんだ。 --本文より
一族のクリスマスパーティーの準備のため、和典は母方の伯父の別荘がある、神戸の須磨にやってきた。駅で出会った女性が隣家の住人であり、和典が愛読していたブログの作者の妻だと知る。そのブログの更新が昨年の秋から更新が途絶えていたことを疑問に思っていたのだが、彼女の夫はその日、十三夜の月が出ていた晩に失踪したという。彼女と同居している往年の人気漫画家の伯母が事件の鍵を握っているのではないかと考え、接触を試みるが……。
天才的な数学の才能を持った高校生、上杉和典は校内の理数工学部に所属している。今年から部員でリーマン予想の証明に取り組んでいたのだが、和典は皆で議論を戦わせながら進めていく方針にどうにもなじめない。皆は合宿でリーマン予想に取り組むというが、和典はひとりで証明に挑戦するため、長野の山奥で夏休みを過ごすことにした。ここは古くから高校生や大学生、予備校生を対象に学生村を開設しており、和典の学校でも募集の告知があった場所の一つだった。 和典はそこで、ホームステイをしながら数学に没頭しよう、そう意気込んでいたーー。 ステイ先に到着するやいなや、問題に取り組む和典。だが、不注意により書き込みをしていた紙を飛ばしてしまう。すべて回収したと思いきや、一部垣根を越えてよその家まで飛んでいってしまったことが分かる。 そしてこの飛ばしてしまった紙が、和典に思いもよらぬ出会いをもたらすことになるとは、誰も知る由もなかったーー。
祖父が死んだーー疎遠だった和典は、葬儀当日も通学し参列しなかった。そんな時、母親から父親のクリーニングを取りに行ってほしいと頼まれる。面倒と感じつつも葬儀に参列しなかった引け目から、しぶしぶその役目を引き受けた和典。品物を引き取る際に、店員から依頼はなかったがシミ抜きをしておいたという伝言を受ける。そのシミは大部分にわたる血痕だったーー。父親は血を浴びるようなことをしたのか、ととたんに不安になり思いを巡らせる中、母親から最近父親が頻繁に長崎に行くようになり、絶対に女がいるに違いないとヒステリックに話していたことに思い至る。本当にそうなのだろうか? そして父親が通っているという長崎は、偶然にも祖父の出身地であることに気が付いた。何かがあるーーそう直観した和典は、調査にのりだす。そしてだんだんと分かってきたことは、祖父が戦時中叶えられなかったある強い想いがあるということだった。
南アルプス、六百年を越える因習の村で、突如、起こった怪事件!インターチェンジに消えた数学の天才は何を見たのか!?迫る集中豪雨の中、少年たちの奔走が始まる!!
大人気シリーズKZの深層をえぐる、ディープなKZ'D『KZ' Deep File』。古都、長岡京で開かれる旧財閥の懇親会。厳重な警備の中、ナイフを持ち込む少年の目的は!? 二つの蜂の巣、焦げた陶器、誘拐された少女、次々とからむ因縁の糸はどこに続くのか!? 真実を追う少年たちの夢と挫折、友情と葛藤を描く、書き下ろし長編。 君たち若者が持つ快活さと真摯さ、繊細さ、どんな事にも真っ直ぐに向かっていく妥協のない気持ちは、今後いつの間にか消えていき、二度と戻ってこないものだ。輝くような今の時間を大切にするといい。(本文より) 古都、長岡京で開かれる旧財閥の懇親会。厳重な警備の中、ナイフを持ち込む少年の目的は!? 二つの蜂の巣、焦げた陶器、誘拐された少女、次々とからむ因縁の糸はどこに続くのか!? 真実を追う少年たちの夢と挫折、友情と葛藤を描く、書き下ろし長編。 序 章 第1章 呪いの都 第2章 ゲノム編集 第3章 我がKのために 第4章 奇妙な祠 第5章 因縁の糸 第6章 時を超える闇 終 章
愛されること、それこそはノーマ・ジーンが長い間望み、一度も叶えられたことのない夢だった。自分に自信がなく、人生にも絶望していたー。繊細な魂を胸に秘め、大リーガー、ディマジオと結婚、大作家ミラーと恋愛、また大統領ケネディの愛人となり、彼らの秘密を見つめ続けた世界の恋人マリリン・モンロー。成功の階段を上りながら求めたものは何だったのか?新たな視点で描いたハリウッド美神の悲劇、決定版。
国王ルイ14世の愛妾モンテスパン夫人は、輝く美貌で栄華を極めていた。そこへ女官見習いとして入ったマリアンヌは怪しい館への遣いを命じられ…。宮廷文化の花咲くパリを舞台に、女たちのどろどろとした愛と憎しみが呼び起こす名高い黒魔術事件。ギロチンで落ちたマリー・アントワネットの首が語る真実。行方不明の公爵令嬢になりすました孤児の運命。華麗にして甘美な殺人譚全四編。
フランスに革命勃発!ウィーンでは皇帝たちが、妹マリー・アントワネットの身を案じていた。美貌の青年士官ルーカスはハプスブルグ家の密命を受け、混乱のパリに潜入する。フェルセンを始めとする貴族たちや革命家、外交の思惑が錯綜し、状況が刻一刻と変化する中、幼馴染みの王妃を守ろうと奔走するルーカスに迫る影。王妃が皇帝に当てた密書とは。激動の二都を舞台に描く歴史ロマン。
15世紀、ルネサンスの街フィレンツェを支配するメディチ家とそれを狙うローマ教皇庁。工房に入った若き天才ダ・ヴィンチは、豪華王と呼ばれるロレンツォの弟、美貌のジュリアーノに魅せられた。兄弟子ボッティチェルリと争いながら、恋と芸術に没頭する日日に忍び寄る陰謀の影。ダ・ヴィンチの才能を花開かせた殺戮とは。モナ・リザを持って逃れたダ・ヴィンチが語る恋と復讐の物語。
スペインの石鹸工の娘テレジアは、その美貌で伯父を虜にし、12歳で女の歓びを知った。仏社交界へのデビュー、侯爵との結婚、出産をへて、不倫へ。男性たちを機知と色香で篭絡し、第二のマリー・アントワネットと呼ばれ、数多の有名人を愛人に贅沢な生活を送り、最後は大公后にまで成り上がったー。欲しいものを手にいれ、人生を楽しみ、長寿を全うした、史上最強の勝った女の華麗で波乱に満ちた生涯。
校庭のフェンスを越えてボールが飛びこんだ先は、幽霊屋敷。つっぱり良子が、こわごわ忍びこむと、で、出たぁーめまいがしそうな美少年。名前は、片山譲。良子、彼にセマられちゃったりして、学校に戻ってみると、彼はなんと五年前に死んでたって話。死因は階段をころげおちて、打ちどころが悪かったとのこと。でも、ヤツ、丈夫そうだったし、それが本当の死因とは思えんけどなあ…。
そもそもの、事件の起こりは薫の手紙。ワインレッドの封筒には、恐ろしく不愛想な招待状が入っていた。さっそく薫の家を訪ねてみるとーカーク、美女丸、シャルル、そしてなんと和矢までーみんなが笑顔でむかえてくれたのよ。うっ、感激。でも、突然、シャンデリアの明かりが消えたと思ったら…。90年夏公開予定の、アニメ映画のために書かれたマリナ・スペシャル版、ついに登場っ!
取材で英国に来たまではよかったマリナ。ロンドンの空港でドシンとぶつかったのがガイ。彼は形見のブレスレットを持って、はるばるアフリカから貴族のパパに会うためにやってきた。でも、彼がいくら息子だと言ってもパパは信じない。問題は、ガイがあまりにも田舎っぽいせい。そこで彼を猛特訓。彼は貴公子に大変身。一度はパパも認めかけてくれたのに、自分こそ本物だという少年が現れて。
上品で繊細なシャルル。彼がどんな子だったかわかる幼年時代の秘話から、ハラハラドキドキのイラストまで、どこをとってもシャルルの魅力が溢れているわ。そして『愛の迷宮でだきしめて!』の名場面もあって、ながめているだけで、もう、うっとりとなって時間を忘れてしまいそうよ。そんなあなたのために、マリナとシャルルがパリを観光案内してくれるわ。待望の『マリナ大辞典』第2弾。
「久我さん、あたしを卒業プロムに誘って」と胸キュンしてる花梨。必死決死で大告白をしたものの、答えはノー!かわりに湘高サッカー部のマネージャーに誘われて、あたしは一躍、ハードで熱い少年たちのマスコットガールに。彼らがめざすのはブロック大会。でも、新設サッカー部なので、人数不足はどうしても否めず…。そこに現れたのがブルーブラックの髪が印象的な武蔵クンだった。