著者 : 行方昭夫
機械文明の発達により便利になった世界がかえって人間性の喪失につながるという、まさに21世紀の世界が直面する問題を描いたディストピア小説『すばらしい新世界』のハクスレーによる、傑作短篇集。モームやヘンリー・ジェイムズの名訳者として知られる行方昭夫氏が、作風の異なる5つの短篇を精選し、訳し下ろしました。科学、数学から美術、音楽、哲学にいたるまで、博学で知られるハクスレーの面目躍如たる作品集です。収録作:「モナリザの微笑」「天才児」「小さなメキシコ帽」「半休日」「チョードロン」 モナリザの微笑 天才児 小さなメキシコ帽 半休日 チョードロン
没後100年が過ぎ、なおその文学的先駆性と言語表現の豊饒さで魅了するヘンリー・ジェイムズ。中短篇から選りすぐった傑作選。 モーヴ夫人 五十男の日記 嘘つき 教え子 ほんもの 解説 行方昭夫 年譜 行方昭夫
亡くなった文豪の伝記執筆を託された友人から、文豪の無名時代の情報提供を依頼された語り手の頭に蘇る、文豪と、そしてその最初の妻と過ごした日々の楽しい思い出…。『人間の絆』『月と六ペンス』と並ぶモーム(一八七四ー一九六五)円熟期の代表作。一九三〇年刊。
長篇小説『人間の絆』『月と六ペンス』の作家サマセット・モーム(一八七四ー一九六五)は、絶妙な語り口と鋭い人間描写で読者を魅了する優れた短篇小説も数多く残している。希代のストーリーテラー・モームの魅力を存分に楽しめる作品を厳選して収録。
“アメリカ的なもの”と“ヨーロッパ的なもの”の対立を扱い、一躍ジェイムズの文名を高めた「デイジー・ミラー」。その解釈をめぐって議論百出の感のある、謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」。“視点人物”を導入した最もポピュラーな中篇二篇を収録。新訳。
「ペルシャ絨毯に人生とは何かの答えがある」という老詩人クロンショーの謎めいた言葉の意味に、ついに思い至るフィリップ。「彼らを赦したまえ。その為すことを知らざればなり」心の自由を得たフィリップの念頭に、ふいにこんな言葉が浮かぶのだった。全三冊完結。
ヒーローでもヒロインでもないし、腹心の友でも悪漢でもないが、オペラで大団円をもたらすのに必要不可欠な役柄は「五番目の男」と呼ばれていた。カナダの小さな村で生まれたダンスタン・ラムゼイは、悪友がいたずらで投げた雪つぶてがもとで、人生の歯車が大きく狂っていく。第一次大戦への参加、聖人研究の旅、奇妙な魔術団との出会い、さまざまな女性遍歴。奇々怪々なこの一篇の物語の中で、「五番目の男」の役割を果すのは一体誰なのか?カナダ文学界の大御所ロバート・デイヴィスの代表作、本邦初紹介。
子供は作らないと決めていたジャックとドロシーに思いもかけない赤ん坊が生まれ、理想の夫婦関係に微妙な翳が差し始める。育児疲れでヒステリックになっている妻に手を焼くジャックのもとに、仲の良い友人夫婦の妻ステラが訪れたことから…。表題作はじめ、男と女の関係を4つのヴァリエーションで描き分けた短篇集。本邦初訳。
虚言癖のある男の妻に恋した主人公の千々に乱れる心の動きを克明に追った表題作「嘘つき」ほか、「五十男の日記」「モード・イーヴリン」の中篇3作を収録。登場人物の内面に〈視点〉を置くという画期的な手法で20世紀文学の扉を開いた、ヘンリー・ジェイムズの傑作心理小説。
人間意識の内奥の世界を探求し、現代心理小説の祖として評価の高いジェイムズの短篇選集。アメリカ娘のヨーロッパでの愛と死を描いた表題作の他、国際結婚の悲劇「モーヴ夫人」など四篇を収録。それぞれ作者の多面的な魅力が漂う異色作である。