著者 : 西村京太郎
肉感的な悪女大道寺明子は、製薬会社社長村上をパトロンにして、銀座で高級クラブを開店。フィリピンの権力者ロドリゲスに近づく。一方、村上の秘書矢崎は、明子たちの動きに金の匂いを嗅ぎつけ、分け前を狙って探り始める。そんな折、矢崎の愛人がフィリピンで殺され、復讐を誓って現地へ。色と欲にまみれた悪党たちの妖しい祭典を目撃した彼は、罠を仕掛けるが…。スリリングな異色ミステリー。
明治維新から数えて百五十年を超え、歴史に対する認識が次々に見直される中、上野の西郷隆盛像を破壊せよ、という脅迫状が届いた。犯行グループは「歴史を正す者」と名乗る集団。警備中に、東武鉄道への爆破予告も。十津川は「特急リバティ会津」に乗り、会津若松へ。さらに犯人から、東京都などに対し、二十億円の要求が届く。これは会津人から、明治新政府の流れを継ぐ“政府”に対する復讐なのか?
十津川警部に辞表を提出して失踪した田中刑事。飲酒運転で人を轢いて死亡させ、遺体を奥多摩山中に埋めたという弟を助けるための決断だった。十津川は捜査を始めるが、埋めたという遺体は発見されず、田中家を監視する謎の男が現れ、さらに兄弟の犯罪を告発する手紙が捜査本部に送られてくる。果たして事件の真相は…!?
香川県琴平町にある日本最古の芝居小屋、金丸座。そこで毎年開かれる「こんぴら歌舞伎」に出演する人気役者・松川市之介に執拗に脅迫状が送られる。後援者のゲーム会社社長尾形が脅迫状の送り主と思われたが、その尾形が青山の自宅マンションで刺殺死体で見つかった。そして脅迫状の予告通り、琴電琴平線の車内で殺人事件が発生する。因襲と確執が渦巻く歌舞伎界の謎に、十津川警部が挑む!
人気ファッションデザイナー・尾西香里がこだま車内で殺害された!容疑者として捜査線上に浮上した夫の洋次には、犯行時刻にモデルの愛人・新井江美と密会していたというアリバイが存在した。だがその愛人が香里の告別式席上で毒殺される。二つの殺人事件の裏には、ファッション業界の深い闇が…。愛憎と欲望の迷宮に十津川警部が挑む!
えちごトキめき鉄道・日本海ひすいラインの泊駅で、普通列車に乗っていた男が青酸カリにより中毒死した。被害者は元警視庁刑事・新井で、車内では乗客に飲み物を配っていた女がいたという。新井は、5年前に起きた副総理暗殺事件の捜査方針に不満を持ち1年前に退職し、事件現場のホテルで当時清掃員をしていた富永という男を単独で追っていたようだ。しかし、富永は新井が殺害された翌日に姿を消していた…。十津川は副総理暗殺と元同僚殺害事件の真相にたどり着けるのか!?
東京駅の駅長室に爆破予告の脅迫電話がかかってきた。乗降客を人質にとった犯人の要求は一億円。受け渡し場所となった「踊り子号」には巧妙な罠が仕掛けられ、まんまと現金を奪われてしまう。そして犯人からはさらに一億円を要求する電話が…。十津川警部と犯人の息詰まる攻防を描いた「駅シリーズ」第一作!
都内のビル屋上で、加賀宝生流の能衣装をまとった男の死体が発見された。被害者は死ぬ前に能を舞ったらしい。近くのホテルに滞在する某国の大統領に見せるためだったと推測された。学生時代に金沢に滞在していた大統領が昔愛した女性が、二年前に失踪していたことが判明。現地で捜査を続ける十津川を待ち受けていたのは、古都に秘められた大きな陰謀だった。長編推理小説。
サラリーマンの秋山は恋人の明子に結婚を申し込むが「半年待って」と告げられる。叔母が癌のために余命わずかで、その莫大な遺産が入ってから結婚したいというのだ。だが、彼女はその晩に何者かに殺される。しかも彼女には叔母などいなかった。殺人の濡衣を着せられた秋山は刑事を殴り“夜”の闇の中に逃亡する。自らの手で真犯人を捕らえようとするが…(「夜の追跡者」)。「夜」に誘われた犯罪者たちを描く、ミステリ短編集。
西落合のマンションで、歌舞伎町で働くホステスの中村愛が絞殺死体で発見された。十津川警部が現場に到着すると、初動捜査班の警部から、捜査は慎重にやった方がいいぞ、と忠告を受ける。なんでも、十津川警部と同期の高橋警部が、被害者と親しくしていたという。その後、高橋警部は被害者との関係をあっさり認め、事件当日のアリバイも交番の巡査によって証明されるが…。
会社員の小柴は、毎年2月に釧路へ旅行し、行方不明の恋人ゆみを探している。今年も『SL冬の湿原号』に乗り、乗客を丹念に撮影。レンタカーに戻ると見知らぬ女の死体があり、容疑がかかる。7年前ゆみの失踪時も疑われた過去があった。小柴と同級生の十津川警部は、彼の写真を手がかりに捜査を始め、3Dカメラ開発が絡んでいると…。人気のSLが走る釧網本線を舞台に描く長編旅情ミステリー。
七十三歳の川野三太楼という男が東京都内の小さな教会で倒れているところを発見された。病院に運ばれたが、薬物による中毒ですでに死亡していた。川野は一年前に長崎県の平戸を出たきり消息を絶っていたという。なぜ東京の教会で発見されたのか?足取りを追うと、川野は渡口晋太郎という人物を探して各地の教会を訪ねていたことが判明した。十津川は、二人の出身地、平戸に飛び捜査を進める。そんなさなか、平戸の世界遺産登録が話題となり地元は沸くが…。長篇旅情ミステリー。
六本木のクラブホステス・広瀬ゆかりが刺殺体で発見された。現場近くの駐車場には警視庁十津川班・片山明の死体が!?捜査の結果、片山主導の無理心中とみられたが、部下の無実を信じる十津川は、片山の故郷・福井県小浜に飛んだ。そこで衝撃の事実が明らかになる。片山は高校時代の友人を救おうとしていたという。友人には一年前に起きた市議殺しの容疑がかけられていたのだ…。
未確認テロ情報を受けた十津川警部は、乗客の危険を未然に防ぐため豪華客船「飛鳥2」に乗船する。平穏な日本一周の船旅は、船内に響き渡る爆発音とともに急転、乗客乗員千名は、突如人質となってしまう。姿見せぬ犯人の正体とは、その要求とは?十津川は彼らとの交渉に乗り出すが…。国際問題を背景とした社会派ミステリー。
警視庁捜査一課の警部・佐々木は、一人娘さくらが病気で余命半年と宣告されたため、警視庁を退職し二人で旅行に出た。しかし、鳴門の「渦の道」でさくらは何者かに誘拐されてしまう。解放の条件として、射撃大会で優勝したこともあるその腕で、二日以内に現警視総監を射殺せよと命じられる…。警視庁内に存在する深い闇に十津川が切り込む。
酒とケンカに明け暮れる28歳の猫田は、留置場で知り合った男に誘われ、千葉県の館山を訪れる。そこは『南総里見八犬伝』ゆかりの地で、猫田は、里見家忠臣の末裔だと告げられる。さらに深夜、宿の駐車場を横切る蒸気機関車を目撃。近くには、戦時中、陸軍鉄道連隊が置かれていたが。謎が謎を呼ぶ傑作長編推理。
東京駅に到着したひかり号のグリーン車洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられていた。翌日、持ち主と思われる田島が撲殺され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の交際相手と思われる女も阿武隈川から遺体で見つかり、二つの事件の容疑者が浮上する。が、女の死亡推定時刻には寝台特急「ゆうづる5号」に乗車していたという鉄壁のアリバイが!?鉄道推理傑作集。
古代吉備の歴史を研究する、岡山県総社市在住の郷土史家・吉野文彦が、東京のホテルで殺害された。“桃太郎伝説”を題材にした吉野の小説「吉備 古代の呪い」に手掛りがあると推理した、警視庁捜査一課の十津川警部は、亀井刑事とともに岡山に向かう。吉備津彦神社、吉備津神社、血吸川、鬼ノ城をはじめ、伝説ゆかりの地を訪ねた十津川警部は…。古代史ロマン香る、長編トラベルミステリー。
ハネムーンで殺された新妻との思い出の地、十和田湖で、西本刑事は亡き妻そっくりの女性・みな子に出逢う。しかし彼女は猪苗代湖からの手紙を残し姿を消し、何者かに殺害されてしまう…。殺人の容疑者として勾留された部下である西本刑事の窮地を救うために、十津川警部は、美しい湖面の下に隠された恐ろしい真相を探るが捜査は難航する。