著者 : 西村京太郎
「魔の海」と恐れられる小笠原諸島沖で、行方を絶っていた大型クルーザーが発見された。船には九名が乗っていたはずだが、船内は無人で荒らされた様子もなかった。用意された人数分の朝食と不気味に切り刻まれた後方マスト…。やがてクルーザーを発見したヨットマンたちが、次々と変死をとげていく。十津川警部が海の怪事件の謎に挑む傑作海洋ミステリー!
「乗客全員をマークせよ」。警視庁副総監の特命を帯び、人気豪華列車「ななつ星in九州」に乗り込んだ十津川警部。台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員…同乗する彼らの目的が、隠された日中の歴史の真実を明かすことだと突き止めるも、相定外の妨害工作が襲う。絶体絶命の危機に、乗客たちの運命は!?
終戦から六十九年目の八月十五日、元海軍航空隊中尉の小暮義男が扼殺された。九十三歳の小暮は北陸新幹線の開業を控える金沢の出身で、妻の死後は東京で暮らしていた。十津川は、小暮が四十年前から「特攻とは何だったのか」を調べていたことを突き止め、特攻で亡くなった若者の心中を思い、殺人事件を追うのだが…。
十津川班の西本刑事が、少し古風な感じのするOL早川ゆう子に恋をした。箱根への日帰り旅行に出かけることになり、新宿発の小田急ロマンスカーに乗車した。ゆう子の高校時代の友人で車内サービス係として忙しく働く前田千加と偶然再会するが、千加が突如車内から消えたのだ!?途中下車する駅もない。その夜、千加は調布市内の自宅マンションから他殺体で発見される。死亡推定時刻は、ゆう子が会った数時間後だというのだが、どうやって帰宅したのかも不明だった…。「行楽特急殺人事件」他、傑作旅情ミステリー集。
フリーライターの森田は、奥松島の墓地で、一基だけ離れたところに建つ大きな墓石に目を留める。元々彫られていた文字が削られ、小さく「立川家之墓」と刻まれていた。調べていくと、太平洋戦争中、特攻隊員として戦地へ赴いた青年のものだと分かる。一方、東京都内で老人の遺体が発見された。十津川警部は、捜査線上に浮かんできた森田と会う。世間から身を隠して生きていた元特攻隊員の老人は、何のために殺されたのか。
パトカーに追われた二人組の強盗、四人組の宝石強奪犯、自動車会社社長を襲った男、前総理を襲撃した四人のテロリスト…。たった一本の杖で、次々と暴漢を撃退していく謎の男「天草四郎」。島原キリシタン一揆の英雄と同じ名を名乗る男は、一躍、世間の注目を浴びる。「天草四郎」とは、何者なのか。そして、その目的は?十津川警部が現代に甦った「英雄」の秘密に挑む、長編ミステリー。
上信電鉄千平駅。下仁田行き始発電車の運転士がホームで俯せに倒れている老人を発見した。背中を数カ所刺されており、「ジャッジメント!」と言い残して間もなく死亡した。群馬県警の捜査により、老人は、千平駅の構内を毎日ボランティアで清掃していた小原勝利と判明した。しかし、捜査は暗礁に乗り上げ、警視庁の十津川警部に捜査協力の要請が…。巻末に全著作リストを付す。
カメラマンの柳下久美子が自宅マンションで殺害された。被害者は、浜名湖にまつわる終戦の日の出来事を取材しており、部屋からは野中誠太郎という人物の名刺が発見される。十津川と亀井は、当時の資料を持っているという野中に会いに浜松に向かった。そこで、終戦の日に起きたさまざまな出来事や秘話をきき、十津川警部が70年の時を経て、隠されていた真実を暴く!
十津川警部のもとに差出人不明の手紙が届く。京都祇園祭で、ある計画を実行するとの犯行予告だったー。自らへの挑戦状と受け取った十津川は、亀井刑事と共に京都へ。祇園祭クライマックスの山鉾巡行の日、犯人が、山鉾の一つに爆弾を仕掛けたと宣告してきた!必死で爆弾探しに奔走する十津川たちだが、そこには犯人の恐るべき罠が仕掛けられていた!
信州松本近く、毎年シベリアから飛来する「白鳥の湖」で、首を折られた一羽の白鳥とともに写真家・金子敏の死体が発見された。一ヵ月後、金子の友人が、東京の自宅で血みどろの死体で見つかった。二つの事件には関連が?当初は病死と処理された金子の死に疑問を持った十津川は、事件の真相を探るため松本に飛んだ!(「白鳥殺人事件」)他、信州を舞台に描く傑作ミステリー集!
東京調布で浪人生の死体が見つかった。現場には時限爆弾を作っていた痕跡があり、その部屋の住人で被害者の親友・橋本が行方不明に。やがて、京都駅長に奇妙な脅迫状が届く。「古都の景観を損なう醜怪な京都駅を建て直せ。さもなければ爆破する」犯人は橋本なのか?そして、十津川警部は京都駅を守れるのか?
東京ー大阪間を9時間強で結ぶ寝台急行銀河。そのA寝台で女性の他殺体が見つかった。容疑をかけられたのは、乗り合わせたサラリーマン、井崎。十津川警部の旧友にして、被害者の愛人だったー。潔白を主張する井崎を、十津川は救えるか?今はなき寝台急行を舞台にした傑作が30年の時を経て新装版で登場!
松尾探偵事務所に、ある男の将来性を調べて欲しいと調査依頼があった。将来はバラ色と、松尾が調査を終えようとした途端、事態は思わぬ方向へ…(「死への招待状」)。会社役員の木島から、遺書を残して自殺した愛人の死の原因を知りたいと依頼を受けた秋葉は、女性の住んでいたマンションを訪れた。調べていくと、彼女には別の顔があることがわかる(「危険な男」)。社会の裏で活躍する探偵たちの息づかいが感じられる短編6篇。
青梅の精神科病院で殺人未遂事件が発生した。被害者は入院患者の千石典子。容疑者として浮上した男性が、松島海岸で遺体で発見された。殺人事件の捜査を進めていくと、東日本大震災で沈没し、海底から引き揚げられたグズマン二世号の客室から発見された大量のプラチナ事件と繋がり、十津川警部がそこに潜む闇資金の謎を追う。
同棲中の谷村有子と葛西信は、売れない役者同士。ある日有子は偶然、人気女優の新藤美由紀の運転免許証を拾う。新藤の本名が「谷村侑子」なのを見て、免停中の谷村はその免許証で運転し警察に捕まってしまうが、新藤の計らいで、罪に問われることもなく済んだ。プロデューサーの推薦で、谷村と葛西に夫婦役での連続ドラマ出演が決まって、二人はロケ地に向かった。しかし、京阪宇治線沿いでの撮影初日に有子とドラマスタッフが行方不明となり、死体で発見されたのだ。そして、東京では国務大臣の白石幸次郎が爆殺される。十津川の捜査中に、さらなる被害者が!
井口勲は、二年前に殺された恋人との思い出を胸に南房総の旅に出かけた。安房鴨川で出会った若い女性に、携帯電話のカメラで写真を撮られる。翌日、井口を写した携帯を所持した女性の絞殺体が井の頭公園で発見され、彼に容疑がかかる。捜査班の十津川警部が井口の身辺を探るうち第二の殺人が発生し…。巧妙に張り巡らされた復讐のトリックに挑む!風光明媚な房総を舞台に描く旅情ミステリー。
女性カメラマン夏川えりは、故郷である飛騨高山へ向かった。高山から足をのばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。太平洋戦争末期、従軍看護婦として満州に渡っていた、えりの祖母夏川勝子が一時帰国し、R村で行方知らずになっていた。今、改めてこの村のことを調べてみようと思って訪れたのだ。ところが、えりもR村で姿を消してしまった…。一転、東京三鷹で独居老人浅野真治が殺された。現場へ駆けつけた十津川は、驚くべき証言を得た。溯ること七十数年前、浅野の父親である浅野真太郎が唱え、敗色濃い日本軍がとったとされる「永久戦争」のことを知ることとなる。歴史の闇に葬り去られようとしていた悪魔の戦術が、現実によみがえろうとしていたのだ。そして、その要の地が、夏川勝子やその孫の夏川えりがたどったR村だったのだ。十津川警部は、二つの事件の背後にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。
修復されて美しく生まれ変わった東京駅と東京ステーションホテル。一人の新人作家がここに滞在し、鉄道ミステリーの構想を練っていた。その部屋から見下ろせるコンコースで、人待ち顔で佇んでいた女性が、深夜に謎の死を遂げた。さらに駅で開かれるコンサート「エキコン」に、爆破するとの脅迫電話が!十津川警部が、続発する事件の裏にある巨大な陰謀を追う!
東京・深大寺でテレビ番組のディレクター井上美奈子がお遍路姿の絞殺体で発見された。彼女が企画した“お遍路ゲーム”収録目前の出来事だった。翌日、捜査本部に「四国八十八ヵ所巡りの途中で人が殺される」という謎の電話が!急遽、徳島に飛んだ十津川警部はお遍路姿に変装し、番組収録を見守る。が、新たな殺人事件が発生し、事件は予想外の展開を見せ始めた!?長篇旅情ミステリー。