著者 : 西澤保彦
“特殊設定”の第一人者が贈る安楽椅子ミステリ。五年前に警察を早期退職した纐纈古都乃は、ある朝、車での轢き逃げ現場に遭遇する。その瞬間、交差点の向かいにいた双子の姉妹が妙な閃光を放ったように見え、轢き逃げをした車が急停止し、別の車と接触。そして轢き逃げをした車のトランクからは女性の遺体が発見された。後日、友人の久志本刻子からの頼まれ事をきっかけに、古都乃は双子と再会する。古都乃は姉妹に、「ことさんは、やっぱり見えるんだ」と話しかけられてー。
61歳の男が介護問題で揉めて妻を殺害ーニュースを聞いたおれは驚愕した。被害者も加害者も学生時代の旧友。しかも妻の方は34年前、挙式当日に新郎を殺され、犯人も見つからずじまい。そして再婚した夫に殺されたというわけだ。おれは不安な気持ちを吐露したくなり、「リモート相談窓口」に向かうが…(「異分子の彼女」)。コロナ禍の櫃洗市で発生する奇怪な事件の謎を、公務員探偵がオンラインで解決するミステリ作品集。
気がつくと昭和から令和へと元号も変わり(なんと平成という時代もあった!?)、三十八年も経っていたうえに、自分は幽霊になっていた。どうやら何者かに殺害されて、ここに埋められたらしいが、いったいなぜ?トリッキーな謎解きで魅了する「ひとを殺さば穴ふたつ」。高校生が廃屋になった旧校舎からの覗きを端に巻き込まれた不思議な事件を描く表題作「偶然にして最悪の邂逅」など、過去と現在が交差しながら、怒涛の展開へと突き進む、“日常の中の非日常”を魅惑的な筆致で贈る全五編。デビュー二十五周年を迎えた著者の、記念すべきミステリ短編集。
教師の田附悠成は、過去へ遡って友人たちに憑依するという特異能力を持つ。だが誰に憑くかは選べない。確実なのは、恩師の義理の息子が殺された22年前に戻ってしまうことだけ。身をもって体験する友人たちや被害者の不可解な行動、そして隠された女の死。迷宮入り殺人事件の“あの日”を繰り返す田附が辿り着いた驚愕の真相とは?
神出鬼没の公務員探偵「腕貫さん」を“だーりん”と呼び慕う、美貌の女子大生・住吉ユリエ。同級生の小泊瀬海人から「親族が関わった殺人事件を題材にミステリ小説を書いてみたい」と相談され、大乗り気でストーリー作りに着手するがー(「ユリエの本格ミステリ講座」)。鳥遊葵、阿藤江梨子、安達真緒、水谷川刑事etc.…お馴染みの面々も四年ぶりに集結。腕貫シリーズのホームタウン櫃洗市で続発する、禍々しくも珍妙な事件を描いた連作ミステリ!
街角に突如現れる「櫃洗市一般苦情係」の職員、通称・腕貫探偵。その日彼のもとにやって来たのは一週間ほど前に亡くなったという女性の霊。彼女はベストセラー作家・越沼霞巳と名乗るが、その作家は50年前に亡くなっているはずだ。ならば50年前に死んだのは、いったい誰だったのかー?大人気・腕貫探偵シリーズ最新刊、待望の文庫化。
なぜここに、ビールのロング缶とビアマグが置いてあるんだ。世話になった先輩の絞殺死体を前にして、塙反は頭をひねる。先輩はたしか下戸だったはずなのにー。ミステリー界の奇才が贈る、予測不能の衝撃展開!!
「恩師が跳び降り自殺しないように見張ってほしい」と大学OBの居酒屋店主から頼まれた匠千暁は、現場で待機するも先生を死なせてしまう。老教師の死の理由を追い、真犯人から“悪魔の口上”を引き出す表題作。刑事の実家で二十三年間続く午前三時の心霊現象の謎と隠された真実を解く「無間呪縛」他、読み応えたっぷり、四つの珠玉ミステリ集。
あるきっかけで、同級生のエミールが気になって仕方がないユッキー。彼女の気を惹きたいのと、ひとりでは手に余るのとで、おそるおそる、声をかけた。「ダイイングメッセージって判る?相談に乗ってもらえないかなあ、と思って」ふたりは、失われた事件の道筋を辿りなおして、真相に到達することができるのか?事件は20世紀に起こった。時を経て、21世紀の彼女たちが驚くべき真相に辿りつく。記憶違いと忘却で、こんがらがった謎をほぐす、追憶と慕情の本格ミステリー。
祖母の蔵書に挟まっていた一通の手紙。宛名はヒッチコック。差出人は祖母の旧姓だが、心当たりはない。誰が何のために挟んだ手紙なのか。開けて読んでみると、祖母のかつてのルームメイトからのメッセージで…。(「恋文」)大食い・本好き美少女エミールと、ジャンク映画フリーク男子のユキサキが、解かれないままになっていた謎を読み解いていく!
高校三年の冬、自殺した青年が遺した日記には女教師との愛欲、妹の同級生との交歓、喫茶店店員との恋愛遊戯が綴られていた。半信半疑の妹がその登場人物に会いにいくと、彼女らは殺人、事故など次々、酸鼻な事件に遭遇していた。市内で毎年大晦日の夜に起こる女性殺害事件と関連は?そして、つねに現場に出現し語りかける謎の男〈計測機〉とは誰か。
高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすがー鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔!
殺人現場に遺されていた、パンダの特大ぬいぐるみ入りの段ボール箱。被害者が宅配を頼んでいたものだが、伝票に不審な点が。音無美紀警部が、なぜ購入店から直接送らなかったのか、という疑問をもとに捜査を進めると…。仰天の真相が明らかになる「パンダ、拒んだ。」をはじめ、さらに冴える推理と美貌で事件関係者を驚かせる音無警部とその部下たちの活躍を描いた全五編!
毎年、同日同刻に鳩の死骸と人の死に直面する配送員の運命は?被害者の夫は、なぜ殺人の罪を被ったのか?契約中の駐車場が、なぜ不特定多数のドライバーに無断駐車される?公務員探偵“腕貫さん”が、市民が持ち込む事件の謎を鮮やかに解く。そしてグルメ仲間である女子大生・ユリエのピンチには…。単行本未収録1編を加えた文庫特別版。
十七歳年下の女性と結婚した助教授。妻が恐るべき運命を告白する…。ベストセラーを目指せと、編集長にたきつけられた作家はどこへ…。完璧なアリバイがあるのに、自分が犯人と供述する女子高生の目的は…。貸別荘で発見された五つの死体。全員死亡しているため、誰が犯人で誰が被害者なのか不明だ…。推理作家が、猟奇殺人の動機を解明すべく頼った人物とは…。独身の資産家を訪ねた甥。その甥には完全犯罪の計画があった…。六つのどんでん返しが、あなたを虜にする。
殺人現場にぽつんと遺されたぬいぐるみ、いったい何を語る?美形の警部・音無美紀の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。愛するぬいぐるみから優れた洞察力で、手がかりを発見する。そして、男勝りの言動の一方で音無にぞっこんの則竹女史、ミステリおたくの江角や若手の桂島など、個性派刑事が脇を固める、“ぬいぐるみ警部”シリーズ連作集第一弾。ファン待望の文庫化。