著者 : 西澤保彦
眠りに就くと猫の身体に乗り移れるという、不思議な能力を持つ小学六年生のぼく。町で起きた女児襲撃事件の謎に、猫のジェニイの身体を借りて挑むことに。スリル満点、はじめての冒険の結末はー。子どもが大人になるために大切なことを教えてくれる、あったかくて、少し切ないファンタジック・ミステリ。
単身赴任の男が宴会の翌朝目覚めると、そこに妻がいた。ポケットにはあるものが…「始末書」(勝目梓)。部屋住みの賢吾が兄の頼みで美しい新妻と一夜を過ごすことになった夜、予期せぬ事が次々と…「あによめ」(睦月影郎)。小説現代に好評掲載された名手10人の手になる「10分で読める」短編官能小説集。
大晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団“恋謎会”の面々が集まった。四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが…。ロジックの名手がつきつける衝撃の本格ミステリ、初の文庫化。
22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた。空白の31年。ぼくは、きみは、ぼくたちは、少しは幸せだったのだろうか。彼を襲ったのは、不条理でやりきれない、人生の黄金期の収奪。あらかじめ失われた、愛しい妻との日々。おぼえのない過去を振り返る彼に、さらなる危険が迫る。
高校の同窓会に出席するため、20年ぶりに帰京した小説家・日能。死んだはずのクラスメイトの女性が生きていたと知り、記憶の齟齬に違和感を覚える『蓮華の花』。主婦殺害容疑者の前夫と現夫、その事件当日のトリックに迫る元刑事の推理が冴える『贋作「退職刑事」』など、全6編を収録。論理的謎ときの愉しみはもちろん、わりきれない人間たちの姿を心理的余韻として残す秀作短編集。
突如出現する巨大怪獣。地球侵略を企むナゾの宇宙人。そして人々に襲いかかる驚異の改造人間。いい年齢をしてナンパが大好きな、アタル、京介、正太郎の3バカトリオに、次々と恐怖が襲い掛かる!彼らを救うヒーローは残念ですが現れない!密室、誘拐、連続殺人。怪物たちは、なぜか解決困難なミステリを引き連れてくるのであった。空前絶後のスケールでおくる、本格特撮推理小説。
ここはどこ?何のために?世界中から集められ、謎の“学校”で奇妙な犯人当てクイズを課される〈ぼくら〉。やがてひとりの新入生が〈学校〉にひそむ“邪悪なモノ”を目覚めさせたとき、共同体を悲劇が襲うー。驚愕の結末と周到な伏線とに、読後、感嘆の吐息を漏らさない者はいないだろう。傑作ミステリー。
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。
他人の目を気にし、人をうらやみ、成功することばかり考えている「僕」は、高校卒業後、アメリカの大学に留学するが、いつしか社会から脱落していく。しかし、人生における一発逆転を狙って、ついに小説家デビュー。かつての級友の死を題材に小説を発表するが…作者の実人生を思わせる、青春ミステリ小説。
ドライブの途中、四人が迷い込んだ山荘には、一台のベッドと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫には、ヱビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベットと96本のビール、13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち、大事件の可能性に思い至るが…。ビール党に捧げる安楽椅子パズル・ミステリ。
突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。
「ひとを殺すことが、こんなにも、おもしろいとは思ってもみなかった」-能解匡緒の部下・奈蔵渉は、警察官でありながら、連続殺人鬼。自己の狂気を冷徹に見つめる奈蔵がかつて遭遇した、人知を越えた密室殺人事件が、十年後、再び新たな闇の扉を開く。西沢保彦が壮大な構図で描く、血も凍るサイコ・ミステリ。
どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう。渕上零治郎老人ー。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは。
他人の見た風景がそのまま見えてしまう「怪能力」を得たばっかりに、殺人やストーカー行為をそのまま「体験」してしまう恐怖!切羽詰まった女性の訴えに、神麻嗣子と能解匡緒、保科匡緒の3人は、調査と推理を巡らす。そして辿り着いた、あっと驚く真実!君は西沢保彦が奇想した本格パズルを読みとれるか。
名前も素性もわからぬ2人の女性とバーで意気投合したリンズィは、“トリプル交換殺人”計画に参加することを約束させられてしまった。酒に酔い理性を半分なくしていた彼女は、上司のウエイン・タナカを殺害対象に指名。その翌日、タナカ邸で他殺体発見の報せが…!!しかも死体は、犯人による外部工作や内部からの脱出が不可能な“鍵のかかっていない密室”に置かれていた!交換殺人計画が実行されたのか!?取り乱すリンズィを後目に第二の殺人事件が…。読者を斯く奇抜な舞台設定と、驚く仕掛け満載の西沢流“新本格”ミステリー、カッパ・ノベルス初登場。
密室と化した社長宅で起きた殺人事件。しかも室内では時間の流れまでも狂っていた!?そんな不可思議な事件の真相解明に現れたのが「超能力者問題秘密対策委員会出張相談員・(見習)神麻嗣子」なるとんでもない少女。-ミステリの可能性を極限まで追求する西沢保彦が紡ぐ奇想が、今年も斯界に衝撃をもたらす。