著者 : 角川書店装丁室
クラスで一番地味な高校生である阿武隈川道子は、2年生で初めて携帯電話を手に入れた。何度も携帯を触り胸を躍らせる道子だが、レアアバターを持ってるだけでクラスを仕切っている阿波野妙子から、SNSサイト“アバQ”に強制的に入会させられる。そして“アバQ”に登録したその日から道子の日常は一変し、自らの分身“アバター”を着飾ることにハマっていく。罪を犯し大金を手に入れ“アバター”を華やかにすることで、クラスの女王に君臨した道子は、アバターサークルを設立し日本支配に乗り出すがー。
放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。このにおいをわたしは知っているーそう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床にたおれてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時をこえる。
東京・銀座の瀟洒な施設「ヴィラ・エ・アロール」。「エ・アロール」とは、フランス語で「それがどうしたの」という意味。そこの経営者である来栖の「仕事や世間から解放された人々に、楽しく気ままに暮らしてもらおう」という方針から、施設には自由な雰囲気が溢れ、三角関係などの恋愛問題が絶えず起きるが…。「老い」の既成概念を打ち壊し、新たな生き方を示唆する衝撃作。
旧天城峠の崖下で老人の死体が発見された。男は「下司」と書かれた千社札を携え、毎年百の寺社巡りをしていたという。真相を追う浅見光彦は、直後に発生したアイドル・桜井夕紀の心中事件にも巻き込まれる。老人の不可解な千社参りの道程。夕紀が遺書の中で書き換えた「椿」という伝言…。浅見はさらに、伊豆の手鞠歌が暗示する謎に導かれ、二つの事件の意外な接点を見出すのだが。傑作旅情ミステリー。
女子大生・塚川亜由美はレポートの提出期限に遅れ、担当教授の自宅までレポートを持参することになった。亜由美が教授の家を訪れていたちょうどその時、教授の孫娘・ルイが何者かに襲われ、大怪我を負わされてしまった!亜由美の目撃証言から無口な独身男性・唐山が疑われ、唐山は近所の住民たちからひどい嫌がらせを受けてしまう。責任を感じた亜由美は、刑事・殿永の依頼で潜入捜査をすることになるがー。大人気「花嫁」シリーズ第16弾。
サラリーマンの妻から一転、市長夫人、そしてベストセラー作家となった彩。だが一躍有名人となった彼女に、過去からの忌まわしい男たちがつきまとうようになる。夫に気づかれぬように、彩は過去の男たちを排除しようと計画する。ところが実行寸前、彩を脅していた主犯格の男が死体で発見された!幸せな人生を約束されたはずの女性に訪れた突然の悲劇ー。さらに事件は、過去と現在がめまぐるしく錯綜し、意外な方向へと迷走していく。結婚という誰もが一度は考えるテーマに、男と女の本当の幸せとは何かを問うた渾身のサスペンス小説。
学生時代に欧州を旅した浅見光彦の兄・陽一郎は、イタリア・トスカーナにある街カッラーラ近郊で日本人男性に出会った。だが数日後に、この男が事故死を遂げる。それから三十年ー豪華客船「飛鳥」で秘密裏の調査をしていた光彦にもまた、トスカーナから謎めいた依頼が届き、兄が遭遇した同じ大地で日本人画家の怪死事件に巻き込まれてしまう。被害者の二人はかつて過激派組織に関わっていたことが判明、さらには法王庁の存在までもがこの事件に見え隠れし始める…。トリノに伝わる「聖骸布」、ダ・ヴィンチが残した謎、そして浅見兄弟を翻弄する怪文書「貴賓室の怪人に気をつけろ」。全てがリンクした時、光彦は崇高な禁忌と対峙することになる!名探偵・浅見光彦が二千年の聖域に挑む壮大なミステリー叙事詩。
流れるような黄金の髪と怜悧に煌く緑潭色の瞳を持つ美貌の貴族シュリルは、隣国の軍人、マクシミリアンに捕らえられた。彼は、妹を死に追いやったシュリルに復讐を企んでいたのだ。シュリルは贖罪のため、マクシミリアンにその身を差し出す。想像したこともない屈辱に翻弄され、貶められるシュリルだったがー。憎しみと禁断の愛に彩られた、官能の美を描く衝撃の耽美ロマン。
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」-OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
小笠原の青い海でイルカのテティスと共に育った心やさしい青年・拓海。東京からやってきた美しい歌声を持つ音大生・流香。ふたりはテティスに導かれ、きらめくドルフィンビーチで劇的な出逢いを果たす。二ヶ月後、「君の笑顔がみたいから」ただそれだけの理由で、拓海は帰郷した流香のもとへ。そこで彼女が抱えた心の闇を知り…。互いを想うあまり、哀しい運命に翻弄されるふたりの愛の行方は?やさしい涙とまばゆい愛が心の海にひろがる“純恋”小説。
脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけだった。バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供たち…。死に瀕した母を今なお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?ホラーの恐怖と本格ミステリの驚きー両者の奇蹟的な融合を果たした、名手・綾辻行人の長編小説。
おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。なんでもできるロボットを連れて離れ島の別荘に出かけたお金持ちのエヌ氏。だがロボットはしだいにおかしな行動を…。博士の不思議な発明、発見が様様な騒動を巻き起こす。傑作ショートショート集。
ある時代、電話がなんでもしてくれた。完璧な説明、セールス、払込に、秘密の相談、音楽に治療。ある日マンションの一階に電話が、「お知らせする。まもなく、そちらの店に強盗が入る……」。傑作連作短篇!
桜島行きのフェリーの上で、鹿児島選出の代議士秘書が刺殺された。十津川警部の部下・西本の見合い相手・木下ゆかりに容疑がかかる。ゆかりは見合いの翌日に「全部嘘です」というメモを残したまま、失踪していた。そして西本に「ゆかりに欺されるな」と忠告した男が、指宿で殺害される。西本の報告を受け捜査に乗り出す十津川だが、まもなく東京でも殺人が!南九州と東京を結ぶ、恐るべき陰謀の正体とは。
「私を誘拐してください」小宮山佐緒理は潤んだ瞳で俺の手を握りしめたー。報酬は百万円、夫の愛を確かめるための“狂言誘拐”を頼みたいというのだ。便利屋の俺は完璧なプランを練り、見事に“誘拐”を成功させる。しかし、身を隠していた佐緒理が部屋で殺されているのを発見し…。偉才・歌野が放つ、誘拐ミステリーの白眉。
親友の死は事故、それとも自殺、あるいは失踪だったのか…?妻・映里子と亡き親友との過去に疑念を抱きながら、昭は真相を突きとめるため、親友の故郷、飛騨の山奥の神馳淵を訪れる。鍵を握るのは伝説の仙人イワナ。昭はそこで心のわだかまりを解き放ち、すでに絆を失いかけている妻との関係を取り戻すことができるのだろうか。人生のさまざまな鬱屈の先にあるたしかな希望と、愛によってたつ男と女の脆さとその再生を見事に描いて心ふるわせる恋愛ロマン。
あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいきー。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。
琉球王家最後の姫君が名門・井伊家に嫁いだ事から始まった彦根の名物行事「ブクブク茶会」。その行事に沖縄から参加した式香桜里は、幼い頃から「神の子」と言われる不思議な能力を秘めていた。数日後、彦根において香桜里の素性を執拗に探っていた不審な男が、琉球王国の聖地・斎場御嶽で死体となって発見される。事件究明の依頼を受けた浅見光彦は、急遽、沖縄へ。神秘の国に封印された悲劇の連鎖。美しき霊能者が抱いた儚き恋の行方。名探偵・浅見をも惑わす驚愕の真相とは。
マリー見かけは普通の少女だが、実は天国から地上へ「研修」にやってきた落ちこぼれ天使。ポチー黒犬の姿をしているが、その正体は地獄から「成績不良」で叩き出された悪魔。本来は正反対のはずの天使と悪魔が、なぜか一緒に人間界を旅することになった。そんなマリとポチが遭遇したのは、「動物が自殺する」という不思議な事件。飼い犬、物動園の虎、公園のウサギ…たくさんの動物たちが人間の目の前で「自殺」してしまうのだがー?天使と悪魔の名コンビが活躍する冒険ロマン・ミステリー、シリーズ第6弾。