著者 : 角川書店装丁室
あの女性を、自分のものにしてみせるーー。奔放な愛と性のゲームに明け暮れた、最後のフランス貴族文化の爛熟と退廃を通して、エゴイズムと献身、人間の心の闇と普遍的な真実の愛の形を描く、不朽の名作。
ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが…。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ!第二十一回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
ホテル最上階へ続くエレベーター内で黒人青年がナイフを胸に息絶えた。事件の裏には、苛酷な運命に翻弄される人間の弱さとエゴが生む悲劇があったーー。映画化ドラマ化され大反響を呼んだ森村誠一の代表作。
古い村の因習、戦争、家族の歪な内実、人間の業、性の深淵……昭和13年、岡山県北部で起こった伝説の「三十三人殺傷事件」。狂気か、憤怒か、怨恨か。異形の鬼は満月の夜に凶行へと走り出す。
「葬式は人生最後の花道、最後のイベントだ」-そう言って自らの葬式の総合演出・プロデュースに取り組んでいた源田金蔵が急死した。菊島真ら五人の老人ホームの仲間が見守るなか、つつがなく葬式は進行しているかに見えたが、火葬の際に奇妙な事件が発生した。北多摩署の捜査から意外な真実が判明し、大きな衝撃を受ける菊島たち。「老い先はわずかだ。死に花を咲かせよう」と一念発起し、彼らは人生最後の大バクチに出ることを決意するが…。「老い」の概念を根底から覆す、痛快エンターテイメント小説。
新宿で助けた藤村雅子と、金沢高一はホテルで一夜を過ごしてしまう。雅子との一夜は、あまりにも甘美で金沢の心を揺さぶるものであったが、翌朝、手紙も残さずに雅子は消えてしまう。ところがその夜、金沢の妻の愛人が新宿で殺されていた。金沢のアリバイを証明できるのは雅子だけだったー。そして驚くべきことに、同じ頃、雅子の夫も殺されていた!事件を追う棟居刑事は、二人の間に隠された事実に、捜査の糸口を見つけるが…。森村誠一が男と女の間の奇妙な関係を描いた、長編・社会派ミステリ。
内蔵助は裏で軍資金や武器を調達し、吉良新屋敷の見取図を前に周到な準備を重ねる。「吉良への復讐ではない。すべては侍たるおのれの志に殉じるため」。そして極寒の吉良新屋敷に決戦の火蓋は切って落とされた。
大手企業の総務部に勤務する江川一郎は、妹からある日、夫が同僚の女性と不倫を続け、滅多に家に帰らなかったことを告げられる。その夫とは、江川が紹介した同じ会社の後輩社員だった。怒りに捉えられた江川だったが、彼自身もかつては結婚後に複数の女性と関係を持ち、そのひとつが原因で妻は今も大きな障害を背負い続けていた…。(「不自由な心」)人は何のために人を愛するのか?その愛とは?幸福とは?死とは何なのか?透徹した視線で人間存在の根源を凝視め、緊密な文体を駆使してリアルかつ独自の物語世界を構築した、話題の著者のデビュー第二作、会心の作品集。
三流大学卒の陽一は銀座の高級クラブ「クイーン」のボーイ。新しいママ、摩耶の入店で、度肝を抜かされているところへ持ちかけられたうまい話。街金、ギャンブル、企業恐喝と、カネに翻弄される陽一たちの思惑は。
JRと道路公団に届いた脅迫状。それは四億円を支払わなければ、クリスマスに大清水、関越両トンネルを爆破するという犯行予告だった。折しも同一犯の手によって、天城峠と湯沢で爆破事件が起きたばかりであった。一連の事件解明のため、十津川警部が越後湯沢に駆け付ける。巧妙な手口で捜査陣を翻弄する犯人たち。果たして十津川は、怜悧狡猾な犯人を捕らえることができるのか?雪の越後を舞台に繰り広げられる、傑作長編ミステリー。
盛岡で古書店を営む結城恒一郎の姪・怜の意識の中には、交通事故をきっかけに甦った江戸時代の天才人形師・泉目吉が棲んでいる。恒一郎は怜はお化け屋敷で本物の死骸を発見。外に出た二人は、盛岡に移住するという進藤とその息子・正也を紹介された。帰り際、二人はまたも切断された人間の手首を発見。続いて紙袋に入った犬の生首に出くわすのだが…。意想外の着想から生み出された稀代の人気キャラクター・泉目吉が対峙する連続猟奇殺人事件。シリーズ最高のホラー・サスペンス。
乳飲み子の頃に何者かにさらわれた庄屋の愛娘・遊(ゆう)。15年の時を経て、遊は、狼女となって帰還した。そして身分違いの恋に落ちるがーー。数奇な運命を辿った女性の凛とした生涯を描く、長編時代ロマン。
俊介は偶然入ったラーメン屋で、ひそかに「Mさん」と呼んでいる彼女と遭遇した。彼女は俊介がバイトをするコンビニに、いつも土曜の夜にやってきては、必ずチョコレートをひとつだけ万引きしていくのだった。
戦国の風雲児信長。その天才的な戦略・政策は家臣の誰もが窺い知ることの出来ない古今未曾有のものだった。光秀、秀吉、勝家を擁し、旧弊を打破する大いなる戦いに船出する信長の躍動感溢れる生涯。
長篠の合戦での鉄砲の大量導入、毛利水軍との戦いにおける軍艦の導入など、斬新な戦略で敵を駆逐する信長。新時代の構想を模索する彼は、光秀を後継者にしようと考えていた。しかし、事件は勃発した……。
夢見がちな感性をもって描かれた平安時代の日記文学。作者13歳の時、上総介の任期を終えた父との上京に記事は始まる。東国に育った作者が京に上り、恋焦がれていた物語を読みふけった少女時代、晩おそい結婚、夫との死別、その後の侘しい生活と、ついに少女期の憧れを結実させることのなかった一生の回想録。平凡な人生の断片の輝きが、今なお、われわれを惹きつけてやまない。懇切な注と自然な現代語訳で手軽に読み解く。 凡例 一 物語に憧れる日々 二 京への旅立ち 三 昔の跡、くろとの浜 四 乳母を見舞って 五 竹芝の伝説 六 「すみだ川」と「もろこしが原」 七 足柄の遊女 八 「富士山」と「清見が関」 九 富士川の伝説 一〇 病、そして遠江へ 一一 三河、尾張へ 一二 美濃より近江へ 一三 旅の終わり 一四 物語を求めて 一五 継母との別れ 一六 乳母、侍従の大納言の御むすめの死 一七 『源氏物語』耽読 一八 花橘 一九 紅葉 二〇 夢告のことなど 二一 土忌の宿 二二 猫と夢と 二三 長恨歌の物語 二四 月夜の語らい 二五 火の事 二六 姉の死 二七 姉の乳母 二八 「司召」の失意 二九 東山へ 三〇 山里のほととぎす 三一 鹿の音 三二 有明の月 三三 帰京 三四 東山再訪 三五 旅なる所 三六 継母の名のり 三七 「浮舟の女君」夢想 三八 父の任官 三九 出立、別離 四〇 太秦参籠 四一 荻の枯葉 四二 子しのびの森 四三 清水の夢告 四四 初瀬の夢告 四五 天照御神 四六 修学院の尼へ 四七 父の帰京 四八 西山に住む 四九 母の出家、父の隠遁 五〇 初出仕 五一 十二月の出仕 五二 里の父母 五三 前世の夢 五四 宮の御仏名 五五 結婚、家庭へ 五六 物語の夢ついえる 五七 宮家に再出仕 五八 梅壺の女御 五九 冬の夜 六〇 水鳥の歌の贈答 六一 友との語らい 六二 時雨の夜の思い出 六三 石山詣で 六四 初瀬詣で 六五 鞍馬の春秋 六六 石山寺の夜 六七 初瀬詣で再び 六八 充足の日々 六九 越前の旧友 七〇 奥山の春 七一 太秦へ 七二 二人の友と 七三 筑前の友 七四 和泉往還 七五 夫の任官 七六 任国下向 七七 夫の死 七八 悔恨 七九 阿弥陀仏来迎の夢 八〇 姨捨 八一 涙の日々 八二 孤独の日々 補注 解説(付 更級日記関係地図・更級日記関係系図) 更級日記略年表 和歌初句索引 重要語句索引
ああ、どうしたらいいの…?喧嘩が絶えない両親、嫌われたくなくて目の前でトイレにすら行けない彼と、何でも打ち明けられるもう一人の彼。こっそり会社を辞めてしまった不甲斐ない夫に、ダイエットの成果に一喜一憂し家族を戸惑わせる自分。自分も含め、周りは困った人と悩ましい出来事ばかり。けれど、そんな人々の姿に思わずほろりとすることだってあるのだ。日々の暮しで生まれる喜びや悲しみ、怒りに楽しみ…。ささやかだけれど大切な、人々の“思い”をふんだんにつめこんだ、誰もがうなずく十の物語。
駅のホームで突き落とされそうになる。見知らぬ車に乗せられて誘拐されそうになるー。有数の財閥・山上グループの社長令嬢・山上かおりは何者かに命を狙われていた。困り果てたかおりが逃げ込んだのは、社会からドロップアウトし、奇妙な経歴を持つ八人が住む“梁山荘”というアパートだった。八人はそれぞれの特技を生かして襲撃犯からかおりを守り始める。かおりは目撃者として、棟居刑事の捜査する殺人事件の参考人に挙がっていた。事件は意外な接点で繋がり始める…。都会で蠢く人間の友情と殺意を描く、傑作社会派ミステリ。