著者 : 角川書店装丁室
北大植物園とひかり公園。二つの殺人事件を探る浅見は、刑事局長である兄陽一郎に、プロモーター白井の調査を依頼する。だが、いつになく歯切れの悪い陽一郎…。浅見に事件から手を引くよう真剣に忠告する兄は、何を知っているのか?サッポロドーム計画の裏に蠢く欲望と疑惑。開拓者達が抱いた高邁な理想を裏切り、清新な北の大地を蝕んできた歴史的巨悪。浅見光彦の壮大な闘いを描く傑作ミステリー。
貯蓄から投資への機運が高まる中、証券会社のやり手投資アドバイザー・財前有利子は、個人客の投資相談に取り組んでいる。個人金融資産運用の世界を描く、コミカル・エンタテインメント経済小説の誕生!
足利尊氏が幕府を開いてすでに百年、交互に天皇を立てるとの契約は破られ、南北朝合体後も逼塞を余儀なくされた南朝方は、密かに再起を期していた。北畠宗十郎は、その切り札となる後醍醐帝の能面入手を命じられる。一方、その秘密を知る将軍足利義教は、朝比奈範冬に能面奪取の密命を下す。幕府を崩壊させるほどの力が込められた能面の秘密とは?死闘の幕が開く!闇の後南朝時代を壮大なスケールで描いた歴史伝奇小説の傑作。
かつて今川了俊を謀反に導いた黒色尉の面は将軍足利義教の手に落ちた。白色尉の面に操られた鎌倉公方足利持氏の反乱も義教に鎮圧される。しかし、恐怖政治を強める義教にも苛烈な運命が待ち受けていた。次第に明らかにされる能面の秘密、そして後醍醐帝を怨念へと駆り立てた太古の記憶とは。民衆の決起は何を意味するのか?日本史から抹殺された後南朝時代に大胆な解釈を加え、「天皇とは何か」に挑んだ渾身の大河絵巻。
貴くも妖しい色香を持つ美貌の男娼・月弥。盗賊の二代目、犬神の早太郎としてかつて江戸を騒がせていたが、闇の司法官を務めている牙神尚照に正体を見破られてしまう。捕らわれ、犯されたあげくに、密偵となることを強要された月弥は、牙神によって火盗改方・中郷主膳の許に送り込まれる。月弥は中郷に抱かれるようになり、牙神への憎しみを募らせるがー。官能の美を描く、至極の愛の物語。
泉は田舎の温泉町から東京に出てきた女の子。「今度こそ幸せになりたい」-そう願って恋愛しているだけなのに。なんでこんなに失敗ばかりするんだろ。アイルランドを自転車で旅したり、ニュー・エイジにはまったり、ストーカーに追い掛けられたり、子供を誘拐したり…。波瀾万丈な恋愛生活の果てに、泉は幸せな“あした”に辿り着くことができるのだろうか?新直木賞作家がはじめて描いた、“直球”恋愛小説。
瀕死の子犬を偶然拾った深雪は、“忘れ雪に願いをかければ必ず叶う”という祖母の教えを信じて、子犬の回復を願った。そこへ獣医を目指す桜木が通りかかり子犬を治してしまった。忘れ雪の力は本当だったのだ!不思議な力に導かれて出会ったふたりは、次第に惹かれあってゆく。やがて別れの時を迎えた深雪と桜木は、“7年後の同じ時間、同じ場所”での再会を約束するが…。愛しているのにすれ違うふたりの、美しくも儚い純愛物語。
美人プロテニス選手・中野美代子の死体が伊豆下賀茂で発見された。十津川警部が下賀茂に急行するも、間もなく彼女のコーチ、大会スポンサーの社長が連続して惨殺されてしまう。その死体の傍には下賀茂の名物「メロン最中」がなぜか残されていた。捜査本部が翻弄されるなか、第四の犠牲者が発見され…。犯人の目的は一体何なのか?十津川と怜悧な連続殺人犯との熾烈極まる攻防戦!傑作長編ミステリー。
ラブホテルの一室で殺人事件が起きた。殺人現場で犯人として名乗り出たのは、まだあどけなさの残る女子高生。この事件の捜査にあたった三河刑事のもとに、「事件から手を引け」という脅迫状や爆発物が届けられて(「明日なき十代」)。表題作「明日なき十代」をはじめ、「泳ぐひと」「たそがれの維納」「愛情の瞬間」と、懐しの名画からタイトルを借りた珠玉の短編ミステリー四作を収録。
次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。『一瞬の光』『不自由な心』に続く、気鋭の傑作長編。
山本五十六連合艦隊司令長官と、身分を隠し諜報員として活動した実在の予備役海軍中尉ーー非情な歴史の転換点に立ち会った二人の海軍軍人の姿に、壮絶な近代日本の宿命を重ねて描く長編。
役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは、出張先の宴会の席であった。外出中、心臓麻痺を起こし急死だったという。発作は、どこでどう起きたのか。義妹によって知らされた死に場所は、妻から一度も聞いたことがなかった地名であったー。死の真相を探るうちに、思わぬ運命に巻き込まれていった男の悲劇を描く復讐サスペンス。
二十年ぶりに再会した泰子に溺れていく私は、同時に彼女の幼い息子の不信な目に怯えていたー「潜在光景」。借金苦で自殺した社長はなぜ八十通もの遺書を残していたのかー「八十通の遺書」。わが子をさりげなく殺そうとする父親。が、息子はそれを察知していたー「鬼畜」。日常のちょっとした躓きがその後の運命を大きく変えた世にも怖ろしい六つの結末。
邪馬台国の研究に生涯を費やした考古学者・小池拓郎が殺される。浅見光彦は小池が寄宿していた当麻寺の住職から事件解決を依頼され、早春の大和路へ。古代史のロマンを背景に展開する格調高い文芸ミステリ。
血戦の吉良屋敷から高輪泉岳寺に引き揚げる途次、足軽・寺坂吉右衛門は内蔵助に重大な役目を与えられる。生き延びて戦の生き証人となれ。死出の旅に向かう四十六人を後に、一人きりの逃避行が始まった。
妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。この生物学上の事実が、巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ! その神を冒涜する所業に一人の男が立ち向かうが……。
自由と開放の地を求め、相棒の黒人ジムとミシシッピ川を下る筏の旅に出るハックルベリ。様々な人種や身分の人々との触れ合いを通して、人間として本当に大切なもの、かけがえのない真実を見出してゆく。
警官が襲われるのを目撃しながら見殺しにした男が、汚名をそそぐために警官に転職した。胸の内に深く傷を負った彼が青春をかけて証明しようとしたものとは!? 「証明」シリーズ第二作。
東北の寒村で起きた戦慄の虐殺事件。街じゅうが一族の支配下におかれ、警察も新聞社も占有されてしまった街に、一人の男が流れてきた。彼が野性を爆発させ、証明しようとしたものとは!? 傑作「証明」シリーズ。