著者 : 赤松光夫
薬師丸春麿は、28歳でシングル族である。東大を卒業して、平和物産企画部に所属していたが、仕事では全く信用されていない。しかし天下の東大卒。外見はインテリ風で目鼻立ちがよく、色は浅黒く精悍。女にモテて、女に強い。特に、幼くして亡くした母の面影に似ている女となると、猪突猛進、失敗したことがない。この春麿の「長所」を見込んで、平和物産のオーナー会長が特別秘書に抜擢した。会長直々の部下になった春麿は、次々と現われる女を篭絡し、会長のスキャンダル揉み消しに手腕を発揮するが…。
一乗達彦、二十八歳。グルービー・トイズ商会営業部長と肩書きは厳めしいが、実は大人のオモチャのセールスマン。社員三人、経営は苦しく、ヒット商品開発と女体の研究に、日夜粉骨砕身の努力を怠らない。ある日、新幹線で出会った謎の美女・竜子に濃厚なサービスを受け感激、やがて竜子の斡旋で有閑夫人たちの南紀ツアー、金髪美人とのデスマッチも実現し、営業成績も驚異的に伸びたが…。長篇エロチカ。
新米中学校教師の浅太郎が深夜のドライブ中に拾った、ネグリジェ1枚の美少女。触れなば落ちんという風情についフラフラとなった浅太郎。少女を車の中に連れこんでヨロシクやったまではよかったが、実はその少女が、自分の教え子だったから大変。弱味を握られた浅太郎は、少女の色仕掛に翻弄されて…。小悪魔のような少女たちの奔放な性を描く傑作官能ロマン。
同じことをしても、夫とは違う。夫なら、もう少し大胆に吸い、あるいは指を差し入れたり、アヌスにまで舌を這わせる。しかし、新鮮な感じに酔って、彼女は増々大胆なポーズをとっていた…。濡れて悶えて、一瞬の悦楽をむさぼりつくす、様々な不倫の関係を赤裸々に描く傑作群。
類まれな女体の資質に恵まれた未亡人・青柳美春は、東工事会長・東林太郎の専任秘書兼セックス・パートナーとして採用された。好色漢で聞えたワンマン会長のこと、入社試験は老会長自ら、美春にファックを迫るという特別テストの上々の結果である。老会長の指南よろしきを得て、美春は、東工商事の浮沈を賭けた難局に、名器にモノをいわせたセックス・テクニックを存分に発揮し、東工商事の安泰と自らの重役昇進を勝ち取ってゆく。-強烈なセックス・アピールを持つ未亡人秘書のめくるめく性の饗宴を円熟の筆致で描く長編官能小説。
山陽商事・城之内会長の部屋から白昼堂々、艶かしい声が聞こえてくる。声の主は城之内の秘書、1年前に夫と死別した美貌の未亡人・高原千草、28歳。好色の絶倫で知られる城之内の卓越した技巧が、千草の貞淑な仮面を剥がしていく。やがて、女の歓びを完全に呼び覚まされたとき、千草は商談相手に、その肢体をさらけ出す女に-。今夜もまた、未亡人秘書の唇が、妖しく淫らに男たちをとらえて離さない。
津村和美は、色白で目鼻立ちのはっきりした美少女。和美が高校三年になった春、母親の綾子が結婚した。相手は東京下町の成金。私生児として母娘二人きりで生きてきた和美は、幸福の到来を予感した。だが。和美の初々しい体に這いまわる義父の視線と、次第にエスカレートする行動に和美は当惑する。そして、ある日ついに和美は義父に…。
松井滝彦はフリーのカメラマンである。カメラの仕事をしていると、彼には何かが憑くという感覚にしばしば襲われることがあった。取材先で出会う超自然現象に、現実ともつかない夢ともつかない幽界を漂うことがある。特に、怨念に満ちた過去の男たちと女たちのどろどろした愛欲シーンを垣間見たり、あるいは彼自身が、現実の女か亡霊かもわからないまま、その女との愛欲に取り憑かれ、おぼれてしまうのだった…。ファインダーから覗く異形の世界を余すところなく描く、官能ミステリー。
「私は両性具有なのかしら…。」家元夫人桜子が、自からの性の不思議さに気付いたのは、いつからだったか。確かにクリットが親指の第1関節部分ほどの大きさになって、男性の機能としても使用出来そうだ。古代インドにその源を発する両性具有者=ヒジュラの秘密組織は、彼女の運命を予想もしない方向へと導く。
学園粉争のさなか、関東大学医学部事務局次長・小栗精一郎は不正入学にからんだ詐欺横領の容疑に問われていた。そんな折、大学二年になる小栗の娘・桐子が体育会系の学生らにレイプされた。数週間後、小栗は故郷徳島で自殺。傷心の桐子も大学を中退してインドを放浪。十二年後、尼僧・寂蓮となった桐子は、桜舞う和歌山の紀三井寺で、かつてレイプを謀った忘れ難い男と偶然にも再会した。官能サスペンス巨篇。
円光寺宗夫は画家である。世紀末的怪奇画で流行児になっていた。その円光寺の家に、週刊誌記者の門倉隆造が刃渡り30センチほどの短剣を持参した。剣には“魄”の字が彫られ、柄には竜頭が施されていた。この「魄の剣」は、円光寺の親友で有名なファッションデザイナー、草鹿譲二の家の古井戸から発見されたという。草鹿はガンで死期が近い。女祈祷師が、対になった「魂の剣」を持ってきた女と草鹿が結婚すれば平癒すると告げた。疑惑を抱いた円光寺は女祈祷師の出自を調べに四国へ飛ぶが、そこには南北朝の血の時代があった。