著者 : 赤神諒
堂々たる「敗者」たちの、知られざる物語。 三条大橋、養浩館、江戸城、横須賀造船所、碧血碑。 現代にも残る所縁の地に宿る、堂々たる「歴史の敗者」たちの、知られざる物語。 時代を超え、魂震わす傑作小説集。 「総司、三条大橋で京娘と恋をしてこい」 近藤勇の命を受けた沖田は医師の娘と逢瀬を重ねるも、任務の真の目的を前に恋と大義の間で揺れ動く(「七分咲き」)。 「されば、御免!」 福井藩主・松平慶永との初引見で、突如池に飛び込んだ藩士こそ橋本左内。夭折の志士が、養浩館に残した秘密とは(「蛟竜逝キテ」)。 「これは女子(おなご)の戦いであらしゃいます!」 政略結婚のため江戸城に入った和宮。大奥は京風と武家風で激しく対立するも、和宮自身は夫の徳川家茂、そして義母の天璋院篤姫に惹かれていく(「おいやさま」)。 「日本人が、私の期待に応えられるか否かは知らないがね」 立身出世の野望を胸に横須賀へ来た、若きフランス人技師ヴェルニー。一本のネジを後生大事に持ち歩く風変わりなサムライ・小栗上野介との友情の行方は(「セ・シ・ボン」)。 「赤神氏は、隠れた人生の機微を「敗者」の歴史から掘り起こす天才だ」榎木孝明氏(俳優) 【編集担当からのおすすめ情報】 『はぐれ鴉』で大藪春彦賞を受賞した赤神諒氏が一話一話丁寧に描き切った、渾身の幕末小説集。 第二話、福井の養浩館を舞台にした「蛟竜逝キテ」は錚々たる編纂委員による『時代小説ザ・ベスト 2024』(日本文藝家協会・編)にも選出されています。 担当者のイチ推しは、第三話「おいやさま」。 大奥でのバトルをこわごわと面白がっているうちに、「いやや」が口癖だった和宮の成長や、徳川家茂とのふれあい、江戸城が危機に陥ったときの天璋院との女の友情に、胸を熱くし、思わず涙しながら編集作業をしていました。 現代にも残る全国の名所を舞台にしているので、本書を持って足を運んでみるのも楽しいかもしれません。 第一話 七分咲き (三条大橋・沖田総司) 第二話 蛟竜逝キテ (養浩館・橋本左内) 第三話 おいやさま (江戸城・和宮) 第四話 セ・シ・ボン (横須賀造船所・ フランソワ・レオンス・ヴェルニー) 結び 函館誄歌 (碧血碑・柳川熊吉)
時は元禄。金銀産出の激減に苦しむ佐渡で、立て続けに怪事件が起こった。 御金蔵(おかねぐら)から消えた千両箱、三六名が命を落とした落盤事故、 能舞台で磔(はりつけ)にされた斬死体、割戸から吊り下げられた遺体…。 いずれの事件現場にも血まみれの能面「大癋見(おおべしみ)」が残されていた。 振矩師(ふりがねし)の静野与右衛門は、奉行から広間役(ひろまやく)の間瀬吉大夫の助手として、 事件の真相解明を命ぜられる。 吉大夫に反発しながら、調べを進めるうち、その才覚と人物、謎めいた過去に強く惹かれてゆくがーー。 佐渡金銀山に隠された恐るべき秘密とは?! 能面の謎を解いたとき、天下を揺るがす驚愕の真相が明らかになる! 新潟日報連載時でも好評だった。連載終了した後、12月15日の紙面に読者から、「日々連載小説から元気をもらっていたという投稿が掲載された。現地の酒造元・尾畑酒造から、本作に出てくる日本酒と同じ名前の「旅烏」という純米無濾過原酒「旅烏」が発売されるなど、佐渡でも、小説とのコラボで、盛り上がっている。 2023年3月28日より、11月22日まで新潟日報に連載。毎日の挿絵は地元の美術系学校の生徒が担い、日々、興味深いイラストが掲載。連載時、現地の酒造元・尾畑酒造から、本作に出てくる日本酒と同じ名前の「旅烏」という純米無濾過原酒「旅烏」が発売されるなど、新潟、佐渡でも盛り上がっている。 新潟で、以下のイベントが確定している。 *赤神諒氏 刊行記念トークイベント&サイン会開催日時:4月7日(日)13:30〜(開場13:00)会場:新潟日報メディアシップ20F そらの広場*新聞連載の挿絵も展示。<さし絵展示>(180点ほど)期間:4月7日(日)〜4月21(日)会場:新潟日報メディアシップ20F そらのギャラリー
〜「本の雑誌が選ぶ2024年度上半期ベスト10」時代小説1位に選ばれました(青木逸美・選)〜 ●東京新聞(2024年1月6日付)書評掲載(評者:理流) ●日経新聞(2024年1月25日付)書評掲載(評者:縄田一男) ●週刊現代(2024年1月27日号)書評掲載(評者:清原康正) ●山陰中央新報(2024年2月3日付)書評掲載 ●上毛新聞(2024年2月18日付)新刊ガイド掲載 ●小説現代(2024年3月号)書評掲載(評者:田口幹人) ●週刊文春(2024年3月7日号)書評掲載(評者:青木千恵) 天明の浅間焼け(大噴火)で土石流に襲われた鎌原村。村人の8割が死に、高台の観音堂に避難した者など93人だけが生き残った。現地に派遣された幕府勘定吟味役の根岸九郎左衛門は、残された村人を組み合わせて家族を作り直し、故郷を再建しようとするも、住民達の心の傷は大きく難航していた。出世頭の若き代官・原田清右衛門が進言するとおり、廃村と移住を選択すべきなのか、根岸は苦悩する。さらに幕府側にも不穏な動きがーー。「故郷」と「生きる意味」を問い直す物語。 序 木曽の暴れ川 第一章 なんかもん 第二章 咒 原 第三章 デーラン坊の涙 第四章 家族ごっこ 第五章 江戸のダイダラボッチ 第六章 形 見 第七章 祈 り 第八章 花 畑
大友宗麟の家臣、戸次道雪のひとり娘、ギン千代は、幼い頃から男勝りで武芸に秀でていた。目指すは最強の女武将だったが、高橋紹運の嫡男、統虎に懇願され、妻として生きる覚悟を決める。だが、統虎とは子を生さぬゆえ不仲が囁かれていた。実は統虎は、愛しても無駄だと知りながら、それでも妻をひたむきに愛し、ギン千代も必死にそれに応えようとしていたのだ。大藪春彦賞作家が謎多き女城主の「性」と「愛」に迫る戦国小説の新境地。
長宗我部信親ーー 敵も味方も魅了し、清冽に戦国を駆け抜けた若者がいた。 四国を統一しつつあった長宗我部元親。その嫡男・信親は、武勇の誉れ高く、人望も厚く、将来を嘱望されていたが、22歳の時に若くして、島津家を相手にした戸次川の戦いで命を落とす。彼はなぜ、“必敗必死”の戦場にとどまり、その地で死ななければならなかったのか。 家臣や領民、そして戦った敵までをも魅了し、「友」として取り込んでいく熱い生きざまを、堂々たる筆致で描く、心を震わす青春歴史群像小説。
寛文六年、豊後国・竹田藩で城代一族二十四人殺しという凄惨な事件が起きた。 一人逃げ延びた城代の次男・次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き、名を変え、叔父で下手人である現城代・玉田巧佐衛門がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。長い時を経て再会した巧佐衛門は、兇行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で、高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者と周囲から噂されていた。 そして次郎丸は竹田小町と評判の巧佐衛門の娘・英里と出会い、予期せず惹かれていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが……。 赤神 諒(あかがみ・りょう) 1972年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。私立大学教授、博士(法学)、弁護士。2017年「義と愛と」(のち『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞しデビュー。他の著書に『大友の聖将(ヘラクレス)』『大友落月記』『計策師 甲駿相三国同盟異聞』『立花三将伝』『太陽の門』『仁王の本願』などがある。
北陸加賀に「百姓ノ持チタル国」が建てられて八十年。誰の支配も受けず、民衆が自ら治める一向衆の政は、内外の戦に明け暮れるうちいつしか腐敗し、堕落していた。織田信長や上杉謙信、朝倉義景ら強大な外敵に囲まれ、窮地に陥った加賀に現れたのは、「仁王」と呼ばれる本願寺最強の坊官・杉浦玄任。加賀から越前、さらには日本全土に「民の国」を築くため、玄任は救いなき乱世で戦い続けるーー。
デビュー3年で主に戦国武将が主人公の11作を刊行し、歴史小説に新風を吹き込む赤神諒氏が、伊集院静氏の休載期間中に日本経済新聞朝刊の小説欄に急遽抜擢され連載した本作は、赤神氏初の現代小説だ。 5カ月後に幕を開ける第二次世界大戦での枢軸国対連合国の戦いの構図を先取りしたスペイン内戦(1936~39年)が舞台。成立したばかりの共和国政府に対する軍部の叛乱を阻止しようと立ち上がった市民兵とともに銃を取った元米国軍人リックを主人公に、圧倒的に劣勢に立ちながら、徒手空拳で立ち上がった市民ひとりひとりをクローズアップして描くことで、ファシズムとスターリニズムから自由と民主主義を守る戦いと言われるこの「戦争」が、本当は何のための戦いだったのか、を浮き彫りにする。格差や分断が社会を揺るがす現在の私たちをも照射する作品に仕上がっている。 この重厚な物語にエンタテイメント性を加えるのが、主人公リックの設定である。著者が映画史上不朽の名作である「カサブランカ」の前日譚として着想し、映画でハンフリー・ボガード扮するリック・ブレインが本作の主人公という趣向。映画ではイングリッド・バーグマン扮するイルザ・ラントやほかの登場人物たちも登場させて、名ゼリフぞろいの映画へのオマージュとして編み出された創作だ。戦渦で恋する男女の洒落た会話にも磨きがかかり、キザなセリフ、スパイスのきいた皮肉も読みどころである。 加えて、新聞では戦渦の恋が終わるところで連載の幕を閉じたが、連載後にリックのその後が気になるという声が新聞の読者から多数寄せられた。単行本化にあたり文字通り「カサブランカ」の前日譚として、映画の設定の直前まで時間軸を延ばして大幅に加筆、新聞で読んでいた読者もさらに満足感を得られる内容になっている。 第1部 第1章 二つのスペイン 第2章 ヨーロッパの嵐 第3章 マドリードの鐘 第4章 カニャーダの花 第5章 ラス・ロサスの虹 第2部 第6章 マドリードの雨 第7章 グアダラマの雪 第8章 バルセロナの月 第9章 ブルネテの風 第10章 マドリードの夜 最終章 パリの空
関ヶ原の戦いに参戦せずとも、当時最強の武将と謳われた立花宗茂。だがその一世代前、宗茂活躍の礎ともなった若き武将や姫たちがいた。──時を遡ること40年、筑前国の要衝を占める立花家は、「西の大友」と呼ばれる名門であった。大友宗家から立花入りした15歳の三左衛門は、四つ年上の勇将・和泉、三つ上の軍師・弥十郎らと出会う。腕に覚えのあった三左衛門は和泉に打ち負かされるも、すぐに弟子入り。寡兵で大軍を退けた弥十郎の知略にも驚かされる。また、当主の娘・皐月姫や和泉の妹・佳月らの恋心も絡み、三将の絆は深まっていく。8年が過ぎる。筑前では毛利の調略が進み、諸将が次々に大友を離反。立花家は孤立していく中で家中も毛利派と大友派に分裂する。そしてついに、三将の運命を変える大きな政変が……。
1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。
槍も取らず、舌先で戦う男ー甲斐・武田晴信(信玄)の側近向山又七郎は、外交交渉を担う計策師。不可能と見られた調略や降伏勧告を成功させて平然と生還する。元来飄々として捉えどころのない美男の剣豪は人を寝返らせ、騙して、武田に勝利をもたらすが、妻子を亡くし、己を使い捨ての駒だと自嘲するうち、心も荒んでいた。主君の敵を言葉で滅ぼしてきた計策師が、暇乞いと引き換えに晴信から下された最後の仕事は、武田が戦国の世を生き抜くための「甲駿相三国同盟」の締結という巨大な外交課題であった。足を引っ張る武田の重臣たちや刺客、次々と現れる諸国のくせもの計策師たち。要人の利害・裏切り・謀略に翻弄されながらも、又七郎は同盟を実現できるのか!?
戦国末期の天正十四年十二月、九州最大の大友家が、今、滅びの時を迎えている。大友宗麟の重臣吉岡家の鶴崎城では、ひとりの留守居の女武将が、御仏に仕える尼僧の身でありながら、女子供年寄りたちと残り、島津軍相手に籠城していた。「一戦も交えずして敵に降るなぞ、武門の恥」と降伏を拒絶し、抗戦の道を選んだ妙。十三年前、激烈な政争によりキリシタンの右京亮との恋は無惨にも引き裂かれ、吉岡家に嫁いだものの、島津との戦で若くして夫覚之進を失う。復讐に燃える妙は、滅びゆく国の小さな城で、驚異の抵抗戦を展開してゆく。著者のライフワーク「大友サーガ」初の女武将を生き生きと描く、戦国ロマン小説!!
日本(ひのもと)一の武士(もののふ)、大友の宿将・戸次(べっき)鑑連(あきつら)(後の立花道雪)。 鬼と呼ばれた男の凄烈な運命と愛。無名にして最強。 『大友二階崩れ』で颯爽とデビューした著者の、魂ふるえる最高傑作。(書き下ろし) 戸次(べっき)鑑連(あきつら)(後の立花道雪)は、父・親家(ちかいえ)が主君の怒りを買い、 その責を負って切腹し果てた母から生まれた。 新たに主君となった大友義鑑(よしあき)に認められた鑑連は、 次々と戦功をあげ、多くの家臣に慕われて、大友最強の将と称えられた。 ついには幼馴染で永年想い続けていた重臣入田(にゅうた)家の娘・お道と結ばれ、 評判のおしどり夫婦となったのだが……
越前の名門、朝倉家で軍奉行を務める朝倉宗滴は、能登撤退戦で15歳の若者と出会う。のちの山崎吉家だ。吉家は敗戦の中で心が壊れ、言葉を失っていた。責任を感じた宗滴は吉家を手元に置き、親子のように接する。だが吉家24歳のとき、実父の謀反が露見し打ち首に。宗滴は所領半分と引き換えに吉家を救う。時が経ち、命の恩人であり父親代わりであった宗滴が病没する。後事を託された吉家は、朝倉家を守ることを固く誓うが……。 越前の名門、朝倉家。七代当主・孝景のころ、軍奉行を務める朝倉宗滴は生涯初めての敗北を喫する。能登深くに攻め入るも味方の裏切りに遭い、総崩れとなった。その撤退戦の中で宗滴は15歳の若者と出会う。のちの山崎吉家だ。吉家は敗戦の惨劇を目の当たりにして心が壊れ、言葉を失っていた。責任を感じた宗滴は吉家を手元に置き、親子のように接する。その後、仏門修行を経て周りの民とも打ち解け、吉家はついに言葉を取り戻す。だが、吉家24歳のとき、思わぬ災難が降りかかる。実父・祖桂が謀反を企てて露見し、打ち首となったのだ。宗滴は所領半分と引き換えに吉家を救う。時が経ち、朝倉家当主は父・孝景の後を継いだ義景の代になる。軍事は宗滴に、政務は従兄の朝倉景鏡に委ねられた。宗滴は加賀に攻め入り、一揆勢を次々に討ち果たしていった。だがついに陣中に倒れ、後事を吉家に託した。また、育成していた吉家以外の四将にも加賀侵攻の継続を指示したうえで病没する。命の恩人であり父親代わりであった宗滴の遺命に従い、吉家は朝倉家を守ることを固く誓う。が、のちに将軍となる足利義秋の保護、織田信長の畿内進出、宗滴門下・五将内の対立、そして当主・義景の気紛れと、時代の波に翻弄された名門朝倉家の土台は根底から揺らぎ始めていた。そこで吉家が打った秘策とは!
応仁の乱末期、若き甲賀忍者・三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭う。10年後、将軍義尚が六角氏征伐で湖南の鈎に陣を敷いた。三郎兵衛改め新蔵人は復仇のため、異父妹のお喬らと夜襲をかけるも失敗。新蔵人はお喬の目の前で爆死する。書下ろし新エンタメ歴史小説!
累計18万部を突破し、ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は鉄砲が雌雄を決した「設楽原(長篠)の戦い」。武田軍と織田・徳川軍、両軍はいかに戦ったのか。徳川信康、武田頼勝、朝比奈泰勝、真田昌輝ら七人の武将の戦いに、七名の作家が挑む。
「二階崩れの変」から6年。弘治2年(1556年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏が再び分裂の危機に。当主・大友義鎮(後の宗麟)が政より美と女を重んじたため、一部の重臣たちが内政をほしいままにし、家中の不満は暴発寸前。外敵に目を凝らす武将たちも、やがて熾烈なお家騒動に巻き込まれていく。戦は止められぬ。戦は勝たねばならぬ。乱世を生きる男たちが下した究極の決断とは。
天文19年(1550年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏に出来した政変「二階崩れの変」。時の当主・大友義鑑が愛妾の子への世継ぎのため、21歳の長子・義鎮(後の大友宗麟)を廃嫡せんとし、家臣たちが義鑑派と義鎮派に分裂、熾烈なお家騒動へと発展した。謀略、裏切り…揺れる家中での勢力争いに明け暮れる家臣たちの中で、義鑑の腹心にして義鎮の義兄でもある吉弘鑑理は一途に大友家への「義」を貫き、その弟の鑑広は数奇な運命で出逢った姫への「愛」を貫くー乱世に生きる男たちが命を賭して守り抜いたものとは。九州・豊後の戦国大名家に出来したお家騒動、重臣一家を通して骨太に描いた本格歴史小説。第9回日経小説大賞受賞。