著者 : 越前敏弥
医師シエナとともにヴェッキオ宮殿に向かったラングドン教授は、ダンテのデスマスクを盗み出す不審人物の監視カメラ映像を見て、驚愕する。一方、デスマスクの所有者で大富豪のゾブリストは、壮大な野望の持ち主だった。彼は「人類は滅亡の危機に瀕している」と主張し、人口問題の過激な解決案を繰り広げ、WHO“世界保健機関”と対立していた。デスマスクに仕込まれた暗号には、恐ろしい野望が隠されていたー。
病院で目覚めたラングドン教授は、窓の外の眺めから、イタリア中部の都市フィレンツェにいることに気づく。しかし頭部の傷や、自分が病院のベッドにいる理由を思い出すことはできなかった。直後、担当医師が襲撃されるところを目撃したラングドンは、女性医師シエナ・ブルックスの手引きで命からがら病院を脱出した。何者かがラングドンを探し出そうとしているのだ。シエナは彼の上着の隠しポケットから高性能バイオチューブを発見。内部に埋め込まれたプロジェクターが壁に映し出したのは、ダンテ『神曲』“地獄篇”へのオマージュとして捧げられた、ボッティチェルリの『地獄の見取り図』。そこには原画にはない暗号が描きこまれていた。謎を探求するうち、ラングドンはフィレンツェの象徴ともいうべきヴェッキオ宮殿にたどり着き、美術館の展示室からダンテのデスマスクが盗まれたことを知る。美術界の重鎮が命がけで託した手がかりを頼りに、ラングドンは消えたマスクの行方を追うがー。
次から次へと殺人を犯し、ニューヨーク全市を震撼させた連続絞殺魔“猫”事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。手がかりもなく、目撃者も容疑者もまったくいない。“猫”が風のように街を通りすぎた後に残るものはただ二つー死体とその首に巻きつけたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しむエラリイと“猫”との頭脳戦が展開される。待望の新訳版で登場。
北大西洋に突き出したスペイン岬にあるゴドフリー家の別荘で殺人事件が起きた。殺されたのは、ゴドフリー氏の客人。マントにステッキといういでたちで発見されたが、マントの下は全裸だった。休暇中のマクリン判事のもとに遊びに来ていたエラリーはその捜査に付き合わされることに。さらに、同時に起きていたゴドフリー家の娘・ローザの誘拐事件との関係とは…?不可解で魅力的な謎にエラリーが挑む、国名シリーズ第9弾。
NYの“ホテル・チャンセラー”22階で、火掻き棒で頭蓋骨を粉砕された男の死体が見つかった。部屋の持ち主は、出版社を経営し、切手収集家としても名が知られているドナルド・カーク。外出先から、友人のクイーンを伴い、晩餐会に出席するため、事務室に寄った時の出来事だった。殺された男の正体は誰もわからない。ただ、死人の衣服が前後逆に着せられており、部屋の中も何もかも逆向きだった…。大人気“国名シリーズ”第8弾!
結婚式直前に失踪したジムが、突如ライツヴィルの町に房ってきた。三年の間じっと彼の帰りを待っていた婚約者のノーラと無事に式を挙げ、ようやく幸福な日々が始まったかに見えた。ところがある日、ノーラは夫の持ち物から奇妙な手紙を見つける。そこには妻の死を知らせる文面が…旧家に起きた奇怪な毒殺事件の真相に、名探偵エラリイが見出した苦い結末とは?本格ミステリの巨匠が新境地に挑んだ代表作を最新訳で贈る。
1514年夏。国王ヘンリー8世の巡幸に伴う弁護士業務と、北部で捕らえられた謀反人ブロデリックをロンドンに連行するよう命じられたシャードレイク。訪れた北部の町ヨークで、ガラス職人オールドロイドが王に関する不穏な言葉を残して落下死する現場に遭遇する。やがてシャードレイクが幾度と命を狙われる一方、ブロデリックの身も危うくなり…。CWA賞受賞シリーズ、英国で大人気の歴史ミステリー。
ヘンリー8世巡幸での役目を終え、あとはロンドンへ謀反人を護送するだけとなったシャードレイク。ヨークを発った晩にまた襲われるが、その犯人は意外な人物だった!さらにロンドンにたどり着いたシャードレイクを待っていたのは、身も凍る過酷な試練。そして、ヨークでの謁見以来、シャードレイクの中に募る王への不信感は、驚愕の事実とともに、一連の事件の真相へとシャードレイクを導くのだった!
カナダでの休暇からもどる途中、山火事に遭遇したクイーン父子。身動きが取れなくなったふたりが見付けたのは、薄気味悪い雰囲気が漂う屋敷だった。初めは使用人に追い払われたものの、主人であるゼイヴィア博士の好意で、泊まらせてもらえることに。しかし翌朝、書斎で博士の射殺体が発見される。右手の指には半分にちぎれたトランプが挟まっていた。エラリーがダイイング・メッセージに挑む“国名”シリーズ第7弾!
家族を亡くしたアンナは、やさしいプレストン夫妻のもとで暮らしている。ところがすべてに無気力で友だちもできない。心配したミセス・プレストンの計らいで、アンナはひと夏を海辺の田舎町で暮らすことに。そこでアンナはマーニーというとても不思議な女の子に出会う。アンナを大きく変える、奇跡の物語の始まりだった。愛と友情と少女の成長を描く感動の名作が、越前敏弥・ないとうふみこによる、読みやすい新訳で登場!
NYで華々しく幕を上げたロデオ・ショー。大スターのホーンが、大勢のカウボーイたちを率いて颯爽と馬に乗って登場。天に向かって一斉に銃声をとどろかせた瞬間、ホーンの体は馬上から滑り落ちた。クイーン警視とエラリーは、すぐさま会場を封鎖するが、凶器はどこにも見つからない。2万人の大観衆が見守る中、いかにして犯行は為されたのか。そして全く同じ状況で第2の殺人が起こり…!?大人気“国名シリーズ”第6弾!
ウェスト・ヴァージニアの田舎町、アロヨで不可解な“T”だらけの殺人事件が発生。死体はT字路にあるT字形の標識に磔にされ、その頭部は切り落とされていた。さらに被害者の家の扉には、血塗られた不気味なTの文字がー。エラリーは単身捜査をするが、真相は分からずじまい。だが半年後、再び奇怪な“T”にみちた殺人事件の知らせが届き…。サスペンスあふれる展開と緻密な推理で人気を誇る“国名シリーズ”第5弾。
16世紀ロンドン。法廷弁護士シャードレイクのもとに、従弟殺害の罪を問われている少女エリザベスの弁護依頼が舞い込む。少女は黙秘を続け、このままでは拷問死をまぬがれない運命だった。一方、摂政クロムウェルは、少女の審議期間延長と引き換えに、古くから伝わる幻の「ギリシャ火薬」の製法と現物を探し出すようシャードレイクに命ずるのだが…。イギリスで人気の歴史ミステリー・シリーズ第2弾。
幻の破壊的兵器「ギリシャ火薬」を追ううちに、関係者のむごたらしい死に遭遇し、自身も命を狙われるシャードレイク。手掛かりがつかめないまま、弁護を請け負った少女の審議期日も迫っていた。クロムウェル以外にギリシャ火薬を追うのは誰なのか?黙秘を続ける獄中の少女エリザベスのみが知る恐ろしい真相とは?猛暑のロンドンをシャードレイクが駆け抜け、思いもよらぬ結末を迎える迫真のミステリー!
わたしの心臓のすぐそばには、一発の銃弾が眠っている。わたしが警官だった時代にローズという男に撃たれたものだ。あれから14年が過ぎた今、私立探偵となったわたしのもとにローズの署名のある手紙が届く。手紙は、最近わたしの身辺で起きた連続殺人はローズ自身の犯行だと告げていた。彼は逮捕され、刑務所で服役中なのだが…アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞。『解錠師』の著者の、記念すべきデビュー作!
盲目の大富豪・ハルキス氏の死が全てのはじまりだったー。葬儀は厳かに進行し、遺体は墓地の地下埋葬室に安置された。だが直後、壁金庫から氏の遺言状が消えていることが発覚する。警察の捜索の甲斐なく、手掛かりさえも見つからない中、大学を卒業してまもないエラリーは、棺を掘り返すよう提案する。しかし、そこから出たのは第二の死体で…。天才的犯人との息づまる頭脳戦!最高傑作の誉れ高い“国名シリーズ”第4弾。
オランダ記念病院の見学席から手術を見守るエラリーの前に運ばれてきた患者。だが、シーツをめくると彼女は絞殺されていた。被害者は病院の創設者である大富豪。目撃証言から、犯行が可能だったのは執刀医だけに思われたが、彼は何者かが自分に変装したと主張する。その言葉通り、犯行に使われたと思われる一足の靴が見つかるが、様様な不審点があり…。エラリーの論理と分析が冴えわたる「国名シリーズ」第3弾。
NYの五番街にあるフレンチ百貨店。そのショーウィンドウに展示された格納ベッドから女の死体が転がり出た!殺されたのは百貨店の社長夫人。そのハンドバッグからは不審な白い粉が入った娘の口紅が見つかり、娘は夫人の死と相前後して失踪していた。状況から娘が犯人かと思われたが…。皮肉屋で愛書家の推理作家、エラリーが膨大な手掛かりから唯一の真実に迫る。華麗さを増す名推理。“国名シリーズ”第2弾。
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。