著者 : 辺見庸
ニッポンに巣くう底知れぬ差別。良識をきどった悪意。“浄化”と排除の欲動ー「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。かつてだれも試みたことのない、“語られたくない事実”への小説の挑戦!“存在と無”の究極を照らしぬく560枚!
美しくも寂しく怖い、この世の果ての風景。鉄筆社創立記念特別書き下ろし小説=表題作216枚ほか、傑作短篇「カラスアゲハ」「アプザイレン」「まんげつ」所収。
芥川賞が百一回目を迎えた時、奇しくも時代は昭和から平成へ移り変わった。第百一回から百五回までの六作品と選評・自筆年譜を収録 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 昭和十年に始まった芥川賞が百一回を迎えたのは、日本近代文学の流れによりそうかのように、奇しくも時代が昭和から平成へと移ったときだった。 百回までを収録して好評を博した第一期・第二期十四巻に続き、文藝春秋八十周年記念出版として第三期五巻を刊行する。 第一回配本の第十五巻は新時代の文学の出発点を示す百一回から百五回の六作品、瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」、大岡玲「表層生活」、辻原登「村の名前」、小川洋子「妊娠カレンダー」、辺見庸「自動起床装置」、荻野アンナ「背負い水」。既刊同様、選評、受賞者のことば、自筆年譜を併載。(文藝春秋)
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。