著者 : 金原瑞人
ニューベリー賞オナー賞受賞作! 中国系アメリカ人の少女メイジーは、母の故郷の田舎町で祖父母のレストランを手伝いながら夏休みを過ごす。19世紀末に移民してきた料理人ラッキーの苦闘の物語を聞きながら、家族の絆を大切に思うメイジー。そんなとき、彼らの店に思いがけない大事件が……。
第71回(2025年度)青少年読書感想文全国コンクール〈高等学校の部〉課題図書! ニューベリー賞オナー賞受賞作! イギリスからの独立とともに、ふたつに分かれてしまった祖国。ちがう宗教を信じる者たちが、互いを憎みあい、傷つけあっていく。少女とその家族は安全を求めて、長い旅に出た。自分の思いをことばにできない少女は亡き母にあてて、揺れる心を日記につづる。 【第71回(2025年度)青少年読書感想文全国コンクール〈高等学校の部〉課題図書選定にあたって、選者・金原瑞人氏からのメッセージ】 暴力的な世界にいやおうなく引きずり込まれて、どうしていいかわからないまま、どこかからどこかへ必死に逃げていかなくてはならない状況は、案外と、すぐそこに待ち構えているのかもしれません。 『夜の日記』は、一九四七年、イギリス領だったインドから、現在のインドとパキスタンが分離独立したときの悲劇を扱った作品ですが、いまの世界をみればまさに同じような情景が、いや、これ以上に過酷な情景があちこちに見えてくるはずです。それどころか、現代の日本にも似たような状況があるのではないでしょうか。 遠い過去を舞台にした、ほとんど知らない宗教の対立を背景に展開するこの物語は、ほんの少しの想像力さえあれば、時間も空間も飛び越えて読む人の心に迫ってきます。小説を読むというのは、こういうことだと思います。 ぜひこの夏休み、本書を手にとって、主人公の少女ニーシャとその家族たちの旅に寄り添ってみてください。
全米図書賞受賞作!突然死した兄への思い、ゲイだと告白したクラスメイトの失踪、マイノリティへの差別、友情と恋心のはざま、そして家族の愛情…。アイデンティティを探し求める黒人少年の気づきと成長から、弱さと向き合い、自分を偽らずに生きることの大切さを知る物語。
キャロウェイ博士がロンドンラグーンの底に消えてから半年。すでに六回の銀行強盗をやってのけたスカーレットとアルバートは、いよいよ難攻不落とうわさされるウォリックの〈信仰院〉の地下金庫室から財宝を奪う計画を決行。この仕事を成功させて〈信仰院〉は銀行の三倍稼げると知ったスカーレットは、これからは各地の〈信仰院〉をねらおうと決めた。そんな折、二人の行方を追っていたハンド同業組合の巧妙な罠にはまり、仲間のジョーとエティをさらわれてしまう。ハンド同業組合の本部に連れていかれた二人は、組合のドン、ソームズに提示された人質交換の条件を満たすため、ノーサンブリアの埋没都市へと向かう。二人は果たして、襲い来る〈堕種〉や〈信仰院〉の強大な力から逃げ切ることができるのか。息つく間もないディストピア・アドベンチャーの第二巻!
美しい絵物語で読むジョージ・オーウェルの傑作 「わたしやほかの仲間が夢みて必死に頑張ったのは、こんな世界のためじゃない。」人間にしいたげられてきた動物たちが、自由と平等という理想をかかげ、運命に立ち向かうが……。人間はどれだけ非道で残酷になり得るか? そしてまた、歴史は繰り返すのか? ソビエト連邦の歴史をモデルに、ジョージ・オーウェルが皮肉をこめて見事に描いた動物物語。金原瑞人による巧みな訳文と、美しい挿画でおくる新訳決定版です!
やっぱり翻訳モノはおもしろい。 読めば読むほど、もっと読みたくなる。 19年10月に刊行した『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』(1〜12号収録)の第2弾、完結編。 13号(18年12月)〜20号(23年2月)に、「緊急特集 戦争を考える」を加えた全9号が1冊の本になりました。 フィクションやとんでもなく厚い本、短篇、詩等のほか、「戦争を考える本」も紹介。 江國香織さん、多和田葉子さん、東山彰良さん、ブレイディみかこさん、町田康さん、森絵都さんなど、総勢31人の作家の方々によるエッセイも収録した贅沢な翻訳本案内です。 13「絵と字で、無敵!」グラフィックノベル特集 【エッセイ】グラフィックノベルの新時代とスタン・リー 95歳の死──小野耕世(映画・漫画評論家) 14「against!」「ノー」と言うこと 【エッセイ】不羈という一言──あさのあつこ(作家) 15「Be short!」短編特集 【エッセイ】遠い他国の和平を願う──宮内悠介(作家) 16「stranger than fiction?」ノンフィクション特集 【エッセイ】現実こそオチがつく──ブレイディみかこ(ライター) 17「Books on Books」本についての本特集 【エッセイ】我が友バートルビ──都甲幸治(アメリカ文学研究者・翻訳家) 18「Other Voices,Other Places」英語圏以外の本特集2 【エッセイ】翻訳と詐欺──多和田葉子(作家・詩人) 19「Fat but/and Fun」分厚い本特集 【エッセイ】分厚い本──桜庭一樹(作家) 緊急特集2022 Books and Wars 戦争を考える 青山七恵、江國香織、恒川光太郎、酉島伝法、東 直子、東山彰良、深緑野分、星野智幸、穂村弘、町田康、松田青子、森絵都 and more…… 20 It will resonate 詩の本特集 【エッセイ】詞と詩のあいだにあったもの──斉藤 倫(詩人)
今なお話題のサリンジャーの煌めく才能。これが最後の「9つの物語(ナイン・ストーリーズ)」! 若い頃の留学先のウィーンを終戦後に再訪した男が行方を探す美少女、謎の女とともに行方不明になった天才詩人、少年が見てしまった悲劇の黒人ジャズ歌手。グラース家の物語の無垢、そして『ライ麦畑でつかまえて』の異議申し立て……サリンジャーが後年描いたエッセンスを湛えながら本国では出版されることのない幻の短篇集!
イギリスで暮らす対照的なムスリムの家族を襲う悲劇が、われわれには想像もつかない状況で展開します。 そして最後には、その悲劇が異文化という壁を大きく揺さぶります。ここ数年間で出会った翻訳作品のなかで最も衝撃的で、切なく、心を打たれた作品です。--金原瑞人 【本書の概要】 ブッカー賞最終候補、女性小説賞受賞作! イスマ、アニーカ、パーヴェイズは、ロンドンで暮らすムスリム(イスラム教徒)の三人きょうだい。イスマは長女、下の二人は双子の姉弟。パキスタン系英国人の父親はイスマが幼い頃に家族を捨て、ジハードのためにボスニアに旅立ち、グアンタナモ収容所への搬送途中で病死した。3人に父親の記憶はほとんどない。母親も7年前に死んだ。長女のイスマは妹と弟を育てるために学業を中断して働いた。妹のアニーカは高校卒業後、奨学金を得て大学に。弟のパーヴェイズは音響関係のキャリアを目指す。イスマは渡米し、研究助手として大学院で勉強を続ける。そんなある日イスマは、カフェでエイモンという青年に出会う。エイモンもロンドン育ちだが、パキスタン系の父親は英国の国会議員で裕福な家庭だった。ロンドンに戻ったエイモンは、イスマの妹アニーカに会い、強く惹かれる。 一方、ロンドンに残ったパーヴェイズはパキスタンの親戚に会いにいくと嘘をつき、旅に出た。行き先は、シリアのラッカ。ジハード戦士だった父に憧れ、イスラム国に参加していたのだ。 イスマ、アニーカ、エイモンはそれぞれに悩みながらも、信念を貫き、あらゆる手段でパーヴェイズを救い出そうとするが、内務大臣となったエイモンの父やMI5(情報局保安部)の監視、国籍の問題など様々な壁が立ちはだかる……。 登場人物の各視点による五章で構成され、物語はヒースロー空港に始まり、マサチューセッツ、ロンドン、ラッカ、イスタンブールへと舞台を移しながら、スリリングに展開し、パキスタンの都市・カラチで衝撃の結末を迎える。ギリシャ悲劇『アンティゴネー』に着想を得て、家族の絆と国家の法律の対立を描き、国籍・国境のあやうさを訴えかける傑作長篇。英米各紙で「ブック・オブ・ザ・イヤー」に輝き、BBCが選ぶ「わたしたちの世界をつくった小説ベスト100」(過去300年に書かれた英語の小説が対象)の政治・権力・抗議活動部門で10作品に選ばれた。 また、ムスリムの人が西欧社会で生きていく上での多様な生きづらさが具体的に描かれ、登場人物それぞれの視点で実感できることも本書の大きな魅力となっている。
未来のイングランド。大洪水のあと、わずかに生き残った町と、その周辺の無人地帯(ワイルズ)が、物語の舞台。スカーレットは、荒れ果てた国をわたり歩く、無法者の少女。今日も銀行から札束を盗むと、ワイルズの森に逃げ込んだ。そこで出会ったのが、アルバート・ブラウン。横転したバスの中、野獣の餌食になるのを免れ、唯一生き残った男の子だった。スカーレットは仕方なく、頼りなげな少年を、次の町まで連れていくことにした。森の中で二人は、クマに突進されたり、追っ手に攻撃されたり、いくつもの危機一髪のピンチを乗り越えていく。しかし、追われているのは、スカーレットではなく、ブラウンだった!? 謎めいたブラウン少年の正体は……? 痛快アドベンチャー・ファンタジー2冊シリーズのPart1。
動物が人間の知性を持ったら、幸せになるのか、不幸になるのか。 ギラー賞、ライターズ・トラスト・フィクション賞受賞、一風変わった動物寓話。 カナダ・トロントのレストランバー〈ウィート・シーフ・タヴァーン〉で、ギリシア神話の神アポロンとヘルメスがビールを飲みながら、他愛もない話に興じている。話の流れから、ふたりは動物が人間の知性を持ったとしたら、幸せになるか、不幸になるかで、賭けをすることにした。何匹かの動物を選び、そのうち一匹でも死ぬときに幸せだったらヘルメスの勝ち、不幸だったらアポロンの勝ちだ。ふたりは、近くの動物病院にたまたま預けられていた十五匹の犬を賭けの対象に選ぶと、十五匹の犬はとつぜん、人間の知性を与えられ、変化をはじめる。
グレースとティッピは16歳ー腰から下がつながった結合双生児だ。普通とはちがう幸せな日常、初めての学校生活、友情、恋、そして別れが詩のかたちで綴られた、みずみずしく切ない青春小説。カーネギー賞受賞作!!
「そしてわしは、それからずっとひとりで生きてきた。精霊たちが、わしの弟子が生まれたと告げにくるのを待ちながらな。待って、待って、待ちながら、氷のリンゴを育てているうち、この身も氷のリンゴのようになった気がしてきた。わしは二百年間、待った。そしてようやく弟子が生まれ……その子の親から渡すことを拒否された」(本文より) 1991年に金原瑞人の訳で『ゴースト・ドラム 北の魔法の物語』として福武書店より刊行された、英国人作家スーザン・プライスによる「Ghost World」3部作シリーズの第1部『The Ghost Drum(ゴーストドラム)』が、同じ金原瑞人の改訳でサウザンブックスより蘇りました。美しい限定BOXに入れたゴーストシリーズ3冊セットはサウザンブックスのECショップのみで販売しています。 三百年生きるといわれる魔法使いは、自分の弟子と宿命づけられた人間の子に魔法を伝授してから、死者の世界【ゴーストワールド】へと退いていく。だが、猟師マリュータは愛息アンブロージをよこせという魔法使いクズマの要求をはねつけた。それが世界をどんな不幸に陥れるかも知らず……。是が非でも弟子を手に入れようとするクズマの呪いは、やがてマリュータ父子のみならず、平和に暮らしていたトナカイを追う人々にも過酷な運命をもたらすのだった! ■ゴーストシリーズ第一弾『ゴーストドラム』 すべてを支配された冬の国を駆ける 魔法使いの苛烈な物語、開幕。 ■ゴーストシリーズ第三弾『ゴーストソング』 悪に立ち向かう見習い魔法使いは、世界と自分を救えるのか? 鮮烈で苛酷な闘いの物語、ついに完結。
「怖いんです、おばあさん。わたし、魔法使いになれなかったら、どうなるんですか」 「きっとなれるよ、あたしの賢い女の子」 「でも、もしなれなかったらーー 鉄の森で会えないじゃありませんか」 (本文より) 1991年に金原瑞人の訳で『ゴースト・ドラム 北の魔法の物語』として福武書店より刊行された、英国人作家スーザン・プライスによる「Ghost World」3部作シリーズの第1部『The Ghost Drum(ゴーストドラム)』が、同じ金原瑞人の改訳でサウザンブックスより蘇りました。美しい限定BOXに入れたゴーストシリーズ3冊セットはサウザンブックスのECショップのみで販売しています。 皇帝の圧政に苦しむ北の民を見かねた見習い魔法使いのシンジビスは、魔法使いである祖母の忠告に逆らい、皇帝の街へひとり向かう。そこは正しい者が処刑され、不正が横行する非道の街だった。シンジビスは皇帝を正しい道へ導こうと手を尽くすが、皇帝の残虐行為に拍車がかかるばかり。そのうえ、皇帝に取り入る偽の魔法使いが、シンジビスを亡き者にしようと企んでいた。やがて悪との対決のときを迎え、シンジビスの怒りが炸裂する! ■ゴーストシリーズ第一弾『ゴーストドラム』 すべてを支配された冬の国を駆ける 魔法使いの苛烈な物語、開幕。 ■ゴーストシリーズ第二弾『ゴーストソング』 愛する息子は渡さない! 魔法使いに逆らった男の一言から始まる苛酷な運命の物語。
イギリスで130万部、全世界で300万部を突破したベストセラー、待望の翻訳。第二次世界大戦下のアウシュヴィッツで同胞に鑑識番号を刺青する役目を割り当てられたユダヤ人の男がその列に並んでいた女性と恋に落ちて「絶対に二人で生きてここを出る」と心を決め、あまりに非人間的な日常の中でささやかな人間らしさと尊厳を守り抜くために重ねた苦闘と誓いの物語。「タトゥー係」本人の証言による実話に基づく。
ホームズがSFに? ベイカー街に住む偉大な探偵が遭遇した緑の血が飛び散る殺人事件の顛末を描くヒューゴー賞受賞作「翠色の習作」の他、空前絶後の想像力を駆使した、鬼才ゲイマンの魅力満載の短編集!
黙示録に記された世紀末を実現すべく、悪魔が、この世を滅ぼすことになる赤ん坊を外交官の一家に生まれた赤ん坊とすりかえた。しかし数年後様子を見に行くと、赤ん坊がいない!? 人類の命運やいかに?
悪魔の動きを阻止しようと天使も動きはじめた。人間界では失われた予言の書と成長した赤ん坊を巡ってドタバタが巻き起こるのだがーー抱腹絶倒のスラプスティック・ハルマゲドン・ストーリー!
ある夜一家全員が何者かに殺害された。たった一人生き残った赤ん坊は、墓場に迷い込む。幽霊たちは、力を合わせて育てることにするが……カーネギー賞とニューベリー賞をダブル受賞した異色ファンタジー。
「とにかく、ぼくは死んでここにいる」 突然の事故で死んでしまった少年ハリー。 あるときハリーは青空のむこうから地上に降りてくる。 やり残したことがあるから……。 死んでいるのに、あっけらかんとしてユーモアたっぷりの主人公ハリー。 そのハリーが物語を通して、「生きている今が大切なんだよ」というメッセージを私たちに伝えてくれる、読後感の爽やかな感動の一冊。 多くのファンをもつYAの名手アレックス・シアラーを日本で初めて紹介したのがこの作品。 多くの読者に感動を与えた64万部突破のベストセラー小説。 文庫化を望む声に応え、このたび待望の文庫化! 1 受付…………The Desk あの世で最初にすることは、名前を登録することだった。 2 死者の国…………The Other Lands やり残したことがあると、〈彼方の青い世界〉に行けないらしい。 3 生者の国…………To The Land of the Living ぼくは地上に飛びおりた。 4 下の世界…………Back Down どんなイタズラをしたってだれも気づかない。 5 学校…………School きっとみんなはさびしがってる。 6 コート掛け…………The Peg ぼくのコート掛けを知らないやつが使ってた! 7 教室…………In Class 教室に入る前、ゆっくりと60秒数えた。 8 ジェリー…………Jelly 最悪の敵、ジェリーの作文が教室の壁にはってあった。 9 映画館…………The Cinema 映画館は幽霊でいっぱいだ。 10 家…………Home やり残したことを片づけるために、ぼくは家にむかった。 11 二階…………Upstairs エギーの部屋のドアに、はり紙はもうなかった。 12 エギー…………Eggy 思いを伝えたくて、ぼくは全神経を集中した。 13 彼方の青い世界…………The Great Blue Yonder ぼくの気持ちは決まった。出発だ!