著者 : 鈴木啓子
偉大な詩人エミリー・ディキンスンの没後百年シンポジウムは不穏な空気につつまれた。参加者の間でディキンスンの写真の真偽をめぐる激しい対立が起き、式典で大役を務めた学生が失踪したのだ。これらの間には何か関係が?元刑事のホーマー・ケリー教授が調査に乗り出すなか、遂に死者が出た!ちょっぴり辛辣なユーモアに彩られたネロ・ウルフ賞受賞作。
この仕事に、向いてないのかな?ハリウッドの芸能記者オコナーは記者魂では負けないが、控えめな性格が災いしてなかなかスクープをものにできない。そんな彼がアカデミー賞ノミネート発表でにぎわう晩、とある授賞式会場で映画監督の妻の死体を偶然発見した。遺書らしきもののコピーを入手した彼は、こんどこそスクープだ!と彼女の交友関係を洗うが…注目の新鋭が青年記者の奮闘を描くアメリカ探偵作家クラブ賞候補作。
教師の特権の夏休みを返上して参加したサマースクールは、うんざりすることばかり。猛暑の授業に生徒はやる気なし。ただ一人、向学心に燃える移民の生徒エイプリルだけが救いだ。だがある日、その彼女が失踪してしまった。さらに、同僚の黒人女性教師が夜ごとの脅迫電話に悩んでいると打ち明けてきた。二人の身を案じ、真相を探りはじめたわたしに、謎の脅迫状が。
教師のわたしにとって、雨降りの月曜日ほど憂鬱なものはない。しかも仕事を終えて帰宅すれば、同僚のライザの死体が転がっているなんて!ライザは女優としても活躍し、近く地元の名士と結婚する予定だった。わたしを容疑者扱いする生意気な刑事の鼻を明かすため、犯人捜しに乗りだしたものの、やがてわたしは第二の死体を発見することに…美人教師アマンダの、甘くてちょっぴり危険な探偵ごっこ。アンソニー賞最優秀新人賞受賞。
待ちに待った夏休み。プレップ・スクールの英語教師アマンダにとっては、生徒たちから解放され、思う存分羽をのばせる絶好のチャンスだ。折りも折り、親友の写真家サシャが撮影でアトランティック・シティへ行くという。費用は一切合切クライアント持ちという甘い言葉に誘われて、アマンダは彼女に同行することに。ところが、宿泊先のホテルのスイートから見ず知らずの男の死体が発見されたから、さあ大変。おまけにサシャらしき女と被害者が連れだってスイートに入っていくのを見たという目撃者まで現われる始末だ。被害者は投資コンサルタントで老人たちから大金を騙し取るなどかなり悪どい商売をやっていたらしいのだが…。親友の容疑を晴らすために真犯人探しを始めたアマンダを、次なる殺人事件が待ち受けていた。美人英語教師アマンダ・ペッパーの、ロマンティックでちょっぴり危ない夏休みを描く人気シリーズ第五弾。
エンジェルに親友オオカミ男からSOSの電話が入った。知らぬ間に麻薬の運び屋に仕立てられ、しかも自動車事故でブツを失ってしまい、ブルターニュ国民戦線なる連中に軟禁されているという。麻薬は彼らの資金源だったのだ。ブツを持って行かなければオオカミ男の命はない。ロンドン一のお気楽男エンジェルが友の窮地を救おうと、ヤンキー娘と怪僧を助っ人に大奮闘。英国推理作家協会賞ユーモア賞に輝くシリーズ第三弾。
『じゃじゃ馬ならし』は、妻が夫に隷属することを賛美した、男性上位主義者のための作品よ。-シェークスピアの授業で生徒のひとりから出された意見を思い出しながら、英語教師のアマンダは女性虐待について書かれた本を手にとった。手頃な値段の古本だから、あの生徒に買ってあげたら喜ぶかもしれない。だが、本をひらいた途端、そんな考えはどこかにふっとんでしまった。ベージの余白に、夫の家庭内暴力に悩む女性の書きこみがあったのだ。夫に殺されるかもしれないと訴える人妻は、いったい誰なのだろう?なんとか探しだして、救いの手をさしのべてあげたい。アマンダは人ちがいをくりかえしながら、ようやく被害者の身元をつきとめた。だが、時すでに遅く、被害者の家を訪ねたアマンダは、そこで死体を発見するはめに…。おっちょこちょいだけど人一倍正義感の強い美人英語教師が素人探偵に挑戦する、好評シリーズ第三弾。
同じアパートに住む証券アナリストのサロメが、浮かない顔をしていた。シティで彼女の扱う情報が外部に洩れており、おまけにその犯人にもされかけていたのだ。しかし、疑惑を晴らすための調査に出かけた彼女は転落事故で瀕死の重傷を負う。ことここに至って、エンジエルとは名ばかりのわたしも、漏洩経路を突き止めるべく敵陣深く乗り込む決意をする。英国推理作家協会賞ユーモア賞を受賞したロンドン無責任男の第2弾。
クリスマスの季節を迎え、出来の悪い生徒たちに慈悲の精神を教えるには、どうすればいいのかしら?英語教師アマンダは、ホームレスの人たちを招くクリスマス・パーティーを思いついた。ところが、生徒の親で、慈善家として名高い大物実業家クローセンが、その会場として自宅を提供すると宣言したものだから、パーティーはアマンダの意に反し、とても派手なものとなりそうな予感がしてきた。ことの成り行きに不安を感じながらも、アマンダは発案者として準備に奔走する。ところが、パーティー当夜、クローセンの屋敷が火事に見舞われ、焼け跡から主人の黒焦げの撲殺体が発見された。しかも、容疑が教え子でもあるクローセンの娘にかかったとあっては、アマンダとしてもほうってはおけない。恋人の若手刑事が制止するのもなんのその、ふたたび馴れない探偵となって…。美人教師が恋と推理に大活躍する好評シリーズ第二弾。
朝もはよから、白い毛皮の女がわたしのアームストロングに乗りこんできた。失敬、アームストロングとは愛車のロンドン・タクシーの名で、わたしはダウンタウンのパブでトランペットを吹いてきたところだった。その女はパブに客として来ていたのをわたしはちゃんとチェックしていた。あとは当然のなりゆきが待っていたわけだが…。ロンドンの軽口男エンジェルがお調子者ゆえにトラブルに巻きこまれる超ユーモラスな第一弾。
逃げてきたの。車から飛びおりたのよ。それから暗くなるまで隠れて、うちまで走ってきたのー女教師リンダ・ハモンドの娘の話は明らかに誘拐末遂事件を示していた。犯人は、同じ学校の生徒の父親という。少女の証言に基づき、警察はその父親を容疑者として逮補した。しかし、容疑者はどんな手を使ったのか、拘置所の中からダナのもとへ、不気味な脅迫まがいの電話をかけてきた。しかも、証拠不充分により減額された保釈金を払い、大胆にも被害者の家へやってきたのだ。現実の悪夢に襲われた母子の姿を強烈なサスペンスとともに描く問題作。
雨の日の月曜日。それだけでいいかげん気が滅入ってくるというのに、ずぶぬれになって帰宅してみれば、暖炉の前には同僚のライザが死体になってころがってるなんて!英語教師のアマンダには、自分にこんなことが起きるとは信じられなかった。それに、捜査にあたることになった若手刑事のマッケンジーは、どうやらアマンダを容疑者ナンバーワンとみているらしい。このちょっぴり生意気な刑事の鼻を明かしてやろうと、アマンダはライザの身辺調査を開始した。女優としても活躍し、ちかく地元フィラデルフィアの名士と結婚することになっていたライザ。でも、殺された日の朝に会ったライザは、なにか悩みごとがあるみたいだった。だが、それを探りだす前に、アマンダは第二の死体を発見するはめに…。事件にまきこまれた美人教師が始めたちょっと危険な探偵ごっこ-恋と推理のロマンティック・サスペンス。アンソニー賞新人賞受賞。
手始めは、少年だった。しばらくその頭を清流の中に押さえつけておくだけですんだ。次は、車の修理工。車の下敷きにするだけだった。眠っている赤ん坊はもっと簡単だ。タオルで顔を押さえて窒息死させれば事足りた…ニューヨーク州のある田舎町で、一見何の脈絡もなく人が死んでいった。いずれも事故や突然死とみなされたが,共通しているのは死者の髪がなぜかベっとりと濡れていることだった。誰が何を目的として動いているのか?事件の背後にソ連の謀略〈クロノス〉の存在を読みとった工作員トロッターと見えざる敵との息づまる対決。
「著名な実業家ハスケルの娘アン、自宅で泥酔して転倒、頭を打って死亡」-新聞記事を読んだマイロは驚きを隠せなかった!マイロ・ターナーは、名うての詐欺師。死んだ女は、アンになりすましていた、マイロの詐欺の師匠の養女だった。マイロと同業の彼女は、事故で死んでいたアンになりかわり、死期の近いハスケルの遺産をいただこうとしていたのだった。アンの母は、ハスケルと別れた時、妊娠の事実をつげず、彼は娘の存在を知らないでいたらしい。ハスケルは、訪ねてきた偽者のアンを娘と認め、まもなく死を迎えた。彼女の死は、その二日後のことだった。大事な時に彼女が泥酔する訳がない、ハスケルの他の相続人が彼女を殺し、相続権を失効させたに違いない-そう考えたマイロは、綿密な計画を基に、一世一代の復讐・遺産横取り作戦に取りかかったが…?天才詐欺師マイロの愛と復讐を描く異色のサスペンス!
ニューヨークのナショナル・バレエ団では、新作の公演に向けて猛練習が続けられていた。主役を踊るのは花形プリマかライバルか。相手役の男性ダンサーは誰になるのか。すべては芸術監督兼振付家のホルトの胸一つにかかっていた。そんな矢先、ホルトが刺殺された。犯人は逮捕されたが、その殺人には依頼者がいたことが判明した。が、それが誰か告げる前に犯人は死んでしまったのだった。バレエ団の理事長をつとめるウォール街の老弁護士フロストはひそかに調査を始めたが…。現代ニューヨークの知識階級の生態をいきいきと描くシリーズ第二弾。
えッ、エニドが歩けなくなっちゃうー飛行ライセンスを取ったジョージと初フライトに出かけたエニドだけど、セスナ機が事故を起こして大ケガを!いっしょうけんめい看病するジョージだけれど、じつはエニドとわかれる決心をしていたのよ。なんとロビンと恋におちて…でも、何も知らないエニドには、とっても言い出せなくなっちゃった。ぐうぜんそのことを知ったエリザベス、親友エニドと苦しむジョージやロビンのあいだで、板ばさみになって…。
ええっ、エリザベスが、あの大金持ちのニコラス・モローと、デートですって!ねぇねぇ、それってひょっとして、浮気じゃない?やっだァ、トッドは知らないの?もしもバレたらどうなるのかしら…それに、ニコラスには、ジェシカもすっかりお熱だったじゃない。ジェシカはニコラスのほうも、自分に気があると思いこんでるのよ。たいへん。ジェシカがこのことを知ったら、どうなるかしら?ひょっとしたら、これって、大事件になるかもね。