著者 : 長山靖生
異常心理のほとりからコンバンハ。 無意識を呼び覚ます夢の沃野を探り、 悠久の真理に至る作品群。 精神医学を踏まえた 高濃度なモダニズム的色彩をご堪能あれ。 新仮名遣い・新字で読めるオリジナル・アンソロジーで再発見。 === 【収録作】 鼻の審判(「鼻の表現」より) 権威と使命(「鼻の表現」より) 全霊の真相(「鼻の表現」より) 万有進化と鼻(「鼻の表現」より) 線路 微笑 怪夢 ビルヂング 縊死体 死後の恋 瓶詰地獄 郵便局(「いなか、の、じけん」より) 模範兵士(「いなか、の、じけん」より) けむりを吐かぬ煙突 悪魔祈祷書 呑仙士 怪青年モセイ 恐ろしい東京 解説 異常心理、あるいは過剰なる自己の不穏 長山靖生 鼻の審判(「鼻の表現」より) 権威と使命(「鼻の表現」より) 全霊の真相(「鼻の表現」より) 万有進化と鼻(「鼻の表現」より) 線路 微笑 怪夢 ビルヂング 縊死体 死後の恋 瓶詰地獄 郵便局(「いなか、の、じけん」より) 模範兵士(「いなか、の、じけん」より) けむりを吐かぬ煙突 悪魔祈祷書 呑仙士 怪青年モセイ 恐ろしい東京 解説 異常心理、あるいは過剰なる自己の不穏 長山靖生
悪辣・卑賤・強欲・執着・姑息 人間の暗部を冷徹な視線と怜悧な計算で描き、幻想を写実する。 新仮名遣い・新字で読めるオリジナル・アンソロジーで再発見。 === 【収録作品】 つめる アヴオグルの夢 典雅なる自殺者 黒い手帳 黄泉から 予言 骨仏 西林図 手紙 無月物語 無惨やな 人魚 女の四季 母子像 川波 一の倉沢 雲の小径 【解説】愛の残酷、或いは劇的な虚無の精神 つめる アヴオグルの夢 典雅なる自殺者 黒い手帳 黄泉から 予言 骨仏 西林図 手紙 無月物語 無惨やな 人魚 女の四季 母子像 川波 一の倉沢 雲の小径 【解説】愛の残酷、或いは劇的な虚無の精神
幽幻の魔鏡が映し出す艶やかな怪美と畏怖。 幼少期からの幻惑と、初春から梅雨、夏を経て秋、そして冬へと至る 四季の行事情景に沿いながら蒐められた作品群。 現代仮名遣いで読みやすい! オリジナル・アンソロジーで再発見。 === 【目次】 幼い頃の記憶 化鳥 絵本の春 雛がたり 凱旋祭 鎧 処方秘箋 外科室 紫陽花 くさびら 人魚の祠 星あかり ほたる 月夜 龍潭譚 夜釣 鮒の牲 雪霊記事 解説 玉だらけ疵だらけの完璧 幼い頃の記憶 化鳥 絵本の春 雛がたり 凱旋祭 鎧 処方秘箋 外科室 紫陽花 くさびら 人魚の祠 星あかり ほたる 月夜 龍潭譚 夜釣 鮒の牲 雪霊記事 解説 玉だらけ疵だらけの完璧
私小説的悲愴と空想的跳躍の錬金術的混合物! 大正時代から昭和初期にかけて、「マイナーポエット(小作家)」と称された牧野が生み出した結晶のような詩文は、ある種の人の心に深く残り、人生を歪めもすれば救いもした。 悲しみと羞恥を引きずりながらも、精いっぱい夢想の中に遊んだ作品群に、耽溺したい! === 【収録作品】 月下のマラソン 蘭丸の絵 ランプの明滅 嘆きの孔雀 初夏 凸面鏡 心配な写真 スプリングコート センチメンタル・ドライヴ 黄昏の堤 ビルヂングと月 ガール・シャイ挿話 街上スケッチ 風媒結婚 ゼーロン 緑の軍港 るい 《解説》 変幻する牧野的主体の居場所 【収録作品】 月下のマラソン 蘭丸の絵 ランプの明滅 嘆きの孔雀 初夏 凸面鏡 心配な写真 スプリングコート センチメンタル・ドライヴ 黄昏の堤 ビルヂングと月 ガール・シャイ挿話 街上スケッチ 風媒結婚 ゼーロン 緑の軍港 るい 《解説》 変幻する牧野的主体の居場所
「WAWAWAAAH! 実に憎むべき悪魔ぢやアよ……」 日常という名の虚偽に人一倍敏感だった坂口安吾は常に自分の現実を物語に変容させた。 そう、安吾のファルスは現実を一度完全に解体してナンセンス化し、再構成する知性の働きが秀逸なばかりでなく、 不条理でありながら拒絶よりも許容する雅量が光っているのだ。 急き立てられるように書き続け、陶酔と分析、あくまで解剖する視線を失わない孤独の深淵を描いた作品群に、耽溺したい! 【収録作品】 風博士 帆影 霓博士の廃頽 群集の人 Prérre Philosophale 傲慢な眼 西東 金談に絡まる詩的要素の神秘性に就て 女辻占師の前にて 紫大納言 風人録 真珠 魔の退屈 私は海を抱きしめていたい 死と影 不良少年とキリスト 桜の森の満開の下 《解説》花を散らしてファルスの風吹く(長山靖生)
毒華繚乱。 快楽・犯罪・不貞 ──過去や秘密を打ち明ける登場人物たちの語り口に思わず耳を傾けてしまう作品群。 常に冷徹な局外者であった乱歩がもつ、無倫理の思想と、 背徳のユートピア願望というイデオロギー。 二癈人 覆面の舞踏者 お勢登場 人間椅子 目羅博士の不思議な犯罪 芋虫 断崖 防空壕 吸血鬼 旅順海戦館 声の恐怖 性慾の犯罪性 張ホテルのこと 瞬きする首 残虐への郷愁 鏡怪談 フランケン奇談 国家ごっこ 【解説】疑念と戦争と暗黒のユートピア
思想としての本格指向と、 資質としての変格嗜好に引き裂かれる部分を持ちながらも、 双方を排斥しあうことなく交錯し蝕知させる作品群。 乱歩が覗く景色は、何かを明らかにするよりも 新たな迷宮や闇を増やし、 世界を甘美な恐怖の坩堝に突き落とす。 【収録作品】 赤い部屋 夢遊病者の死 白昼夢 百面相役者 毒草 火星の運河 人でなしの恋 木馬は廻る 押絵と旅する男 指 浅草趣味 映画の恐怖 墓場の恐怖 ある恐怖 群衆の中のロビンソン・クルーソー 人形 郷愁としてのグロテスク レンズ嗜好症 解説 嫌悪が描き出す甘美な世界 長山靖生 赤い部屋 夢遊病者の死 白昼夢 百面相役者 毒草 火星の運河 人でなしの恋 木馬は廻る 押絵と旅する男 指 浅草趣味 映画の恐怖 墓場の恐怖 ある恐怖 群衆の中のロビンソン・クルーソー 人形 郷愁としてのグロテスク レンズ嗜好症 解説 嫌悪が描き出す甘美な世界 長山靖生
初期の耽美主義、怪奇、犯罪探偵趣味、私生活的幻想ー美意識や情念や生活に基づかない思想は、真に思想たり得るのか。自己の欲望に忠実で、かつ總明で勤勉な人間だけが到達できる洞察力を通し、見出された真実が描かれる。文学の魔窟へご招待。
不実の尽日、怠惰の苦悩努力を太宰は訴える。 その底には旧弊な「家」や欺瞞に満ちた社会への嫌悪と、 それでも縋らずにはいられない自分へのアイロニカルなざしがある。 そんな太宰治の、ユーモラスな作品セレクション。 「燈籠」 「玩具」 「魚服記」 「猿ヶ島」 「カチカチ山」 「駈込み訴え」 「黄金風景」 「八十八夜」 「I can speak」 「懶惰の歌留多」 「容貌」 「一つの約束」 「デカダン抗議」 「新郎」 「待つ」 「散華」 「東京だより」 「海」 「トカトントン」 「苦悩の年鑑」 「女神」 「美男子と煙草」 「メリイクリスマス」
謎とは何であるか。100年前の1920年、「新青年」創刊。文学の先端で、探偵小説とモダニズムの共鳴がはじまったー!乱歩、横光、小酒井不木、堀辰雄、甲賀三郎、萩原朔太郎、海野十三、夢野久作…戦間期日本の想像力を代表する名作の数々を集成。
堀辰雄、芥川龍之介、室生犀星、太宰治、宮沢賢治、左川ちか、中原中也、夏目漱石…。飲み物が香る、甘く潤いの物語!文豪たちがこだわった、飲むという官能的な小説の世界を読みやすい現代仮名遣いで!
2019年、岡本太郎の母でもある岡本かの子、 生誕130年、没後80年! 華麗な豪奢さと 豊饒で積極的な愛を湛えた名作の数々! 妖艶耽美な作風で知られる岡本かの子は、 戦争の影が忍び寄る昭和十年前後の文壇にあって 異端の存在だった。 そもそも女性作家の少なく、女性が男に伍して知的職業を 成すことに偏見を持つ人も少なくない時代だった。 ややもすれば女性作家には好奇の目が注がれ、 兎角スキャンダルの種にされた。 そんな風潮のなか、 岡本かの子は堂々たるナルシストぶりを発揮し、 嫣然たる女王の如く振る舞い、 噂好きも辟易しかねないほど自儘に振る舞った。 とはいえその自儘さは、多くの苦痛と背中あわせだったし、 自儘も苦悩も共に飲み込んで作品に昇華する強さを、 彼女は持っていたのである。 現代仮名遣いによって甦る、岡本かの子 珠玉の作品集! 【収録作品】 豆腐買い 象牙の床 病房にたわむ死 愛よ愛 小町の芍薬 兄弟 花は勁し 高原の太陽 過去世 呼ばれし乙女 娘 家霊 蝙蝠 真夏の幻覚 越年 窓 美少年 星 解説 豪奢なる気骨、溌溂たる耽美 長山靖生
「謎解き」と「解かれざる神秘」芥川龍之介がこだわった二重の意味のミステリ。犯罪、探偵、風刺、幻想、神秘、そして心の声が現代仮名遣いによって甦る!
新しさ、純粋知性、真心、清廉、気高……。 多くの理想を抱えて、 ひと一倍勤勉な作家であり知識人であった 横光利一の今読んでも眩しいぐらいの傑作が、 現代仮名遣いによって甦る! 横光の名前は新感覚派というレッテルと共に 語られることが多い。 新感覚派はモダニズム時代に勃興した、 近代日本では珍しく世界的な同時代性を有する 清冽な文学運動だったが、 それだけに日本の文壇、文学史では異端の刻印という 側面もあった。 モダニズム文学は当時の文壇文学の重鎮たちからは 若者による奇を衒った一時的流行と見られがちだった一方、 プロレタリア文学派からはブルジョワ的であると非難された。 横光利一はそうした両面の無理解を 真正面から受けて立ち、真に新しい文学の王道を拓くべく、 実作と文学理論の双方で苦闘していたのである。 収録作品 月夜 草の中 幸福の散布 頭ならびに腹 セレナード 表現派の役者 街の底 園 鼻を賭けた夫婦 美しい家 火の点いた煙草 盲腸 七階の運動 機械 薔薇 榛名 解説 モダニストの軽やかな孤独 長山靖生
「廃墟趣味」に溢れた 佐藤春夫の柔軟自在でありながら強靭な物語が 現代仮名遣いによって甦る! 佐藤春夫を一言で表せば、「ノンシャラン」。 nonchalant は、 ふつう「無頓着」とか「暢気」とか「だらしない」とか、 およそ褒め言葉には向かない語だが、 でも「そういう気楽さで暮らせたらいいな」とちょっと憧れて しまうところのある境地を指す。 でもノンシャランでいるには覚悟もいれば知恵もいる。 都市文化に蔓延していた大衆に迎合せず、 時流に迎合してふらふらしてしまう世間一般に比べたら、 まことに凛としていたし、「ここではない何処か」を 常に求めていた「ノンシャラン佐藤春夫」の小説世界が新たに。 収録作品 円光 或る女の幻想 形影問答 薔薇を恋する話 海辺の望楼にて 奇妙な小話 おもちゃの蝙蝠 あじさい 死を見た話 車窓残月の記 のんしゃらん記録 大都会の一隅 コメットX 放浪三昧 礼装 飯田橋の神様 或る文学青年像 永く相おもうーー或は「ゆめみるひと」-- 解説 夢想と覚悟のノンシャラン 長山靖生
漱石、荷風、安吾、太宰、潤一郎ら16人の作家と白秋、中也、朔太郎ら8人の詩人の作品を厳選。酒に託された憧憬や哀愁がときめく魅惑のアンソロジー。 収録作品屠蘇……夏目漱石「元日」どぶろく……幸田露伴「すきなこと」ビール……森鴎外「うたかたの記」食前酒……岡本かの子「異国食餌抄」ウィスキー……永井荷風「夜の車」ウィスキーソーダ……芥川龍之介「彼 第二」クラレット……堀辰雄「不器用な天使」紹興酒……谷崎潤一郎「秦准の夜」アブサン酒……吉行エイスケ「スポールティフな娼婦」花鬘酒……牧野信一「ファティアの花鬘」老酒……高見順「馬上侯」ジン……豊島與志雄「秦の出発」熱燗……梶井基次郎「冬の蝿」からみ酒……嘉村礒多「足相撲」冷酒……坂口安吾「居酒屋の聖人」禁酒……太宰治「禁酒の心」●諸酒詩歌抄上田敏「さかほがひ」与謝野鉄幹「紅売」吉井勇「酒ほがひ」北原白秋「薄荷酒」木下杢太郎「金粉酒」「該里酒」長田秀雄「南京街」高村光太郎「食後の酒」中原中也「夜空と酒場」萩原朔太郎「酒場にあつまる」」
太宰が最も尊敬し、芥川、川端が恐れた作家 豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が 現代仮名遣いによって甦る! 芥川龍之介に 「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」 と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには あまりにも大きな存在である。 太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。 太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。 そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、 川端康成は、「終始孤高の高士であるが、 そのひとりの世界では魔につかれて、 なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。 本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、 どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。 そして終始一貫して理知的であった。 怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも 持ち続けた隠れた名作をお届けします。 収録作品 蠱惑 悪夢 都会の幽気 丘の上 常識 食慾 逢魔の時 球体派 怪奇な話 碑文 白塔の歌 秦の憂鬱 沼のほとり 聖女人像 絶縁体 解説 知性が持つ感性と、感性が持つ知性と 長山靖生
北原白秋、萩原朔太郎、中原中也、立原道造、高村光太郎…詩人たちの「詩想」あふれる小説の世界!これまであまり知られなかった瑞々しい詩人の小説の世界を読みやすい現代仮名遣いで!
宮崎アニメにも多大なる影響を与えた 堀辰雄の初期ファンタジー傑作が、 読みやすい新仮名遣いによって甦る! 多くの人が『風立ちぬ』『美しい村』『菜穂子』などの サナトリウム文学を思い浮かべる 堀辰雄のイメージを一新するような、 モダンな姿で若者を魅了する東京浅草などを 舞台にした作品群の数々。 新興芸術派のひとりと目されていた堀の初期の作品には、 しばしば天使や妖精が出てくる。 空を飛ぶイメージと共に、水の中を漂い泳ぐイメージを 伴う作品も少なくない。 どちらにも軽やかな浮遊感があった。 堀辰雄の初期ファンタジーを彩る幸福感は、 現実と無関係ではなく、 むしろ現実の過酷さへの順応と防禦として 形作られたものだった。 「堀辰雄」のイメージを一新する、 静謐で摩訶不思議な浮遊感の世界に、浸ってみたい。 【収録作品】 「死の素描」 「羽ばたき Ein Märchen」 「鼠」 「ある朝」 「夕暮」 「風景」 「眠りながら」 「蝶」 「あいびき」 「土曜日」 「窓] 「ネクタイ難」 「ジゴンと僕」 「水族館」 「眠れる人」 「とらんぷ」 「Say it with Flowers」 「ヘリオトロープ」 「音楽のなかで」 「刺青した蝶」 「絵はがき」 「魔法のかかった丘」 解説 天使と妖精たちのモダニズム 長山靖生