小説むすび | 著者 : 長沢由美

著者 : 長沢由美

ハートブレイカーハートブレイカー

「空涙はやめるんだ。僕は騙されない」 冷たい刃が、彼女の胸に突き刺さった。 カロラインが暴力的な夫のもとを離れて3年が経った。 幼い娘を守りたい一心で家を飛び出し、 郊外の小さな隠れ家に落ち着いたものの、今も夫に怯えている。 そんなある日の夜、ふいに誰かが玄関のドアを叩いた。 現れたのは、夫のいとこで会社社長のニック! なぜここがわかったの? こちらを蔑むように、彼の目が光る。「君の夫は事故で死んだ……」 君のせいだと言わんばかりなのは、ニックは誤解しているからーー カロラインのことを、よそに男を作って夫を捨てた酷い妻だ、と。 さらに、夫の衰弱した母を預かっていると告げたあと、彼は宣言した! 「君は僕と一緒に帰るんだ。たとえ引きずってでも連れて帰る覚悟だ」 ニックは自分のいとこが酔うと暴力を振るう男だったとは知らず、カロラインに同情するどころか、ことごとく冷たく接してしまいます。そんなニックに、僕の会社で働けばいいと言われたカロラインは、彼の下で働くなんて絶対にいや、と心の中で叫びますが……。

イタリアの花嫁イタリアの花嫁

暖炉の掃除を命じられても、 屋根裏に住んでいても、私はレディ。 天涯孤独のアレグラは優しい親戚のもとに身を寄せていたが、 親戚が亡くなるや、その新妻によるいじめが始まった。 半分イタリアの血を引くアレグラを疎ましく思う新妻は、 彼女を薄汚れた屋根裏の倉庫に追いやり、メイド扱いしようとした。 そんな不遇なアレグラだったが、ある夜会で運命の出逢いを果たすーー 女性を誘惑してもてあそぶと噂の悪名高き放蕩男爵ウィリアム。 若い娘はみな怖がってこの男爵に近づこうとしないというのに、 アレグラは彼の魅力に痺れている自分に戸惑った。 さらに、その夜会で親戚の新妻がアレグラを見世物にしようとしたとき、 ウィリアムが颯爽と前に進み出て、そつなく彼女を辱めから救い……。 亡き父が音楽家で、上流階級のうるさ型からは旅まわりの楽団の娘と見下されているアレグラは、じつはイタリアの子爵の孫娘でした。そんな彼女に目をつけた社交界随一の放蕩男爵ウィリアムは、はたしてどんな意図を持って彼女に近づいてきたのでしょうか?

公爵とシンデレラ公爵とシンデレラ

結婚もせず公爵家を支える娘の前に、 疎遠だった“次期公爵”が現れーー 令嬢ヘスターの血のつながらない祖父である公爵が病の床で、 アメリカに住む疎遠の孫を呼び戻して跡継ぎにすると言いだした。 しかも、ヘスターが彼に上流社会の礼儀作法を教えるのだといい、 公爵家の行く末を憂える彼女はそこはかとない不安を覚えるのだった。 一方、老公爵から呼び出しの手紙を受け取ったジャレッドは、 不作法でみすぼらしい身なりの人間と決めつけられ腹を立てていた。 実際は教養も財産もあり、こんな礼を欠く要請など断ってもよかったが、 ふと、顔も知らぬ親戚たちをからかってやりたい遊び心が湧いた。 はたしてイギリスの地を踏んだ彼は、“教育係”のヘスターに言った。 「ぼくにマナーを教えてくれ。ぼくはきみにキスの仕方を教える」 少女から老婦人まで、今まで魅了できなかった女性はいないと自負するジャレッドが、血のつながらないいとこの無垢なヘスターの心を翻弄します。はらはらどきどきの展開が得意なアン・ヘリスが描く、19世紀イギリスが舞台のドラマティック・ロマンスです!

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