著者 : 長田乃莉子
妻は夫にキスをねだった。 つらい記憶をすべてなくして。 夫はどこ? わたしは、いつ子供を産んだの? 4カ月ぶりに昏睡から覚めたスカイは困惑しきっていた。 夫のジェイクとは大恋愛のすえ、両親に結婚を猛反対され、 駆け落ち同然で故郷の街を出たーーなのに今、彼女は故郷の病院にいる。 しかも夫は億万長者となり、娘まで生まれていたのだ。 事故の後遺症で、記憶はところどころ抜け落ちてしまったが、 夫の優しい笑みと情熱的な口づけを思い出すと、スカイは心が安らいだ。 だが見舞いに来た夫のぎこちない様子に、ふと言いしれぬ不安を覚える。 愛のかけらも感じない、短く義務的なキス……。 いったい、わたしたちの間に何があったのだろう。 ドラマチックな作風で話題沸騰中のRITA賞受賞作家、サラ・M・アンダーソン。人気の記憶喪失をテーマに描かれる今作は、心がすれ違ってしまった夫婦が、失われた記憶を取り戻す中で、愛を思い出していく感動作です。
富豪の彼としがない店員の私ーー 身分違いの恋は友達にも秘密だった。 「どうして僕に息子がいることを教えてくれなかったんだ?」 怒りに燃えるジェイクを前に、ケイトは途方に暮れていた。 2年前、ケイトは名家の御曹司である彼と切なくも激しい恋に落ちた。 将来の約束をしないというただ一点を除いては、彼は理想の恋人だった。 だが、妊娠に気づいてすぐにジェイクの祖父から悪質な脅しを受け、 町を追い出されたケイトは独りで赤ん坊を産み育てていたのだった。 家族の不幸をきっかけに町へ戻ってきたケイトに、ジェイクは 自分にも息子と同居する権利があるはずだと主張する。 今まで子どもの存在を隠していた償いとして、ケイトは彼を受け入れた。 二度とこの人を愛したりしないと、固く心に誓いながら。 北米の人気作家D・ウェイドの記念すべき日本デビュー作をお届けします! ジェイクがケイトを“日陰の女”扱いしていたのは、実は彼女への愛ゆえでした。引き裂かれた恋、命の芽吹き、運命の再会ーードラマチックで情熱的な、至福のシンデレラストーリー。
保育士のベラのもとにある日、大富豪ブレイクが訪ねてきた。高価な仕立てのスーツに身を包み、彼女の産んだ赤ん坊を抱いて。9カ月前、ベラは代理母出産したのち、何も言わず彼のもとを去った。子供の成長をともに見守る約束だったが、出産後、彼の妻から二度と現れないでと冷たく突き放されたのだ。何も知らないブレイクは、瞳に非難の色をたたえて言った。「妻と離婚したんだ。さしあたってはきみに、息子の面倒を見てほしい」わたしがこの子のナニーに?もちろん、引き受けたくてたまらないーブレイクの育てる子供は、本当はわたしの血を分けた実の子だから。でも、それは絶対に知られてはならない秘密。いったいどうしたら…。