著者 : 阿井幸作
計画停電の夜、県検察院のトップが殺害された。唯一の目撃証言が指し示した容疑者は、地域の人々から愛されるベテラン警官・葉援朝。葉には娘を有力政治家の息子に殺されながら、示談に甘んじ隠蔽に協力させられた過去があり、被害者も事件の関係者だった。数日後、今度は人民法院の裁判長が死亡する。事故死と思われたが、捜査責任者の高棟は力学の知識に長けた人物による計画犯罪を疑う。葉援朝には、彼を慕う物理教師の甥がいたー。
ネットへの視覚的なアクセスを遮断する規制が敷かれた香川県からやってきた女子高生の大阪観光サイバーパンクの表題作、百合SFアンソロジーや『異常論文』へ書き下ろしとして発表された短篇群など、『元年春之祭』著者による知性と感情を揺さぶる小説全8篇
突然の事故をきっかけに、俺は人生のあらゆる瞬間に意識を移すことができるようになった。俺が叶えたいことはたったひとつ、子供のころに病院で出会った運命の少女のことだけだ…。自在に時を飛ぶ“時間の王”となった主人公の冒険と苦難を描く表題作、古代の蜀の都市・成都で、謎の女により不老不死にされた王が悠久の時をめぐる「成都往事」、店の名誉を守るため、三国時代の魏の曹操にラーメンを食べさせようとタイムトラベルした一行の奮闘を描く「三国献麺記」など、時間SFテーマの全七篇を収録。中国SFの超新星にして時間SFの名手が贈る、新時代の超絶エンタテインメント短篇集。
「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」-殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状”が残されていた。捜査が進むにつれて指揮官の高棟は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界を熟知した犯人の計画に慄然とする。そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。捜査を立て直すべく、高棟は学生時代の旧友で、数理論理学の天才と呼ばれた徐策に協力を乞う。だが、高棟は知らなかった。徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。そして高棟は、現代中国社会そのものを嘲笑うかのような、恐るべき「殺人トリック」に直面することとなる…。官僚連続殺人事件をリアルかつスリリングに描く、「官僚謀殺」シリーズ第一弾!
君の手作りの数学テスト、制服の背中に残る青いペンのあと、夏の夜、見上げた空のリンゴのような月、どの瞬間も、君の事しか思い出せない。愛おしくもカッコ悪い、僕の10年間ー。
「あなたって本当に幼稚」。優等生だし可愛いし、だけどクールな君が、ある日、後ろの席にやってきた。勉強嫌いの俺に、容赦ない指導を繰り出す君。放課後の教室、帰り道、いつの間にか俺の毎日は、その笑顔でいっぱいになっていた。誰もが、切なくて愛しい「あの頃」を思い出す、青春ラブストーリーの翻訳版。