著者 : 阿部牧郎
短いから、気持ちいい。「10分で読める」官能短篇集 長けりゃ、いいってもんじゃない。 小説現代に好評掲載された「10分で読める」短編官能小説集。勝目 梓「始末書」/阿部牧郎「水牛になった女」/西澤保彦「タイツの秘密」/睦月影郎「あによめ」/藍川 京「妖天女」/南 綾子「かえるのうたがきこえてくるよ」/大石 圭「隣室の客人」/蛭田亜紗子「さなぎのなかみ」/草凪 優「 スカートの中」/平山夢明「おまえのおふくろはべったべた」。短いから、気持ちいい。10人が贈る極上の競宴。 「始末書」 勝目梓 「水牛になった女」 阿部牧郎 「タイツの秘密」 西澤保彦 「あによめ」 睦月影郎 「妖天女」 藍川京 「かえるのうたがきこえてくるよ」 南綾子 「隣室の客人」 大石圭 「さなぎのなかみ」 蛭田亜紗子 「スカートの中」 草凪優 「おまえのおふくろはべったべた」 平山夢明
定年。老いてはいないが、現役ではなくなった毎日。定年退職した森谷浩平は夕刊紙の広告を頼りにアダルトDVDを買いにいく。そこで八十歳の橋詰老人と出会い、居酒屋へ。定年後、初めて得た友人であり人生の先輩だった。その居酒屋でバイトしていた二十歳の景子と知り合い、心の張りを取り戻してゆく。しかしかつての同期が自殺し、家族とカネをめぐる難題が森谷に降りかかってくる。
部屋住みの身の風間啓四郎にとって、御前試合で勝つことは、藩での出世と道場の後継者への道が同時に手に入る、またとない機会。分を心得ていたはずの啓四郎だが、ある日、道場の一人娘・雪乃を見てから、すべてが変わった。が、時代は幕末の混乱期を迎えつつあり、藩の情勢も、啓四郎の身辺も、風雲急を告げる。愛する女と未来を手に入れるため、貧乏藩士の次男坊・啓四郎が歩き始めた幕末波乱の人生。
大学生の息子がストーカー行為で訴えられた。警告に訪れた刑事によれば、出会い系サイトで知り合った人妻との性愛に溺れた長男が女をつけ回したのだという。息子は借金の返済を求めただけと抗議するが、借金すら否定される。挙げ句、詰る母親を殴り、大金を持ち出して家出…。対人関係に悩みメールに依存する若者、家庭に倦み、ネットに逃避する人妻。現代社会の歪みを抉る長篇社会派官能小説。
銀行支店長を辞し、北新地に酒場を開業した相沢。歯科医夫人と適当な情事を楽しみつつ、店の方も順調だった。ある夜、息子がつれてきたCGデザイナーサツキに、彼はいつしか心を奪われていく。息子の恋人に惹かれるなんて…しかし彼女の姿は相沢の脳裡を去らなかった。中年男性の狂おしいまでの情念を直木賞作家が濃淡鮮やかに描ききる、長篇情事小説。
ジャパン家電大阪支社の営業部長に栄転が決った渥美準一は、送別会の夜、部下の川西ゆかりから思わぬ告白をされ夢のような一夜を過した。「大阪に何度も行きます」というゆかりの甘い囁きに送られ単身赴任が始まったが、渥美は赴任先でも部下や北新地のホステスと関係を結び、時ならぬ青春を謳歌した。ところが一本の密告電話によって家庭崩壊の危機に晒され、何者かが身辺調査をしていることを知る…。
夫の出張中、クラス会で再会した同級生とベッドを共にした律子。土曜の昼下り、テレクラで知り合った男とホテルへ行くさとみ。かつての上司と、かつてのオフィスで激しく燃えた恵子。かまってくれない夫の代りに、後輩社員を誘惑する朝子。映画館で隣り合った男と、その日のうちに一夜を過した典子…。うちの女房にかぎって、と安心している貴方に贈る人妻不倫スナップ集。
麻里子はパリで突然姿を消した。兄の北村泰介は行方を探るべくフランスに飛んだが、待ちうけていたのはパリ警察の刑事だった。どうやら彼女の失跡は恋人の変死事件に関係があるらしく、警察の追及も厳しい。調べ回ってみると恋人というのは電子工学家だが、裏の顔は変質者の上スパイグループとも関係があると判明。その魔手は遂に北村をも襲った。
六本木のシティホテル。P商事の課長・島崎俊彦は部下の西尾典子と歓喜の一夜をともにしていた。元上司の殺人事件への関わりを疑われたうえに、社内の問題児・専務の御曹子を部下にさせられた。「ああ、私、課長のものなのね」ストレスゆえに燃える島崎。ところが御曹子への不審電話。事件は意外な方向へ-。
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。