著者 : 阿部牧郎
「すごい二人」がいた!蒲柳の質ながら常に時代の先端を行く幸之助を、抜群の行動力で支えた義弟・歳男。関東大震災、昭和恐慌、戦争、そしてGHQによるいわれなき財閥指定…、幾度もの困難を乗り越えてパナソニックと三洋電機を創った二人の人生を直木賞作家が描く感動のノンフィクション・ノベル。
単身赴任の男が宴会の翌朝目覚めると、そこに妻がいた。ポケットにはあるものが…「始末書」(勝目梓)。部屋住みの賢吾が兄の頼みで美しい新妻と一夜を過ごすことになった夜、予期せぬ事が次々と…「あによめ」(睦月影郎)。小説現代に好評掲載された名手10人の手になる「10分で読める」短編官能小説集。
定年。老いてはいないが、現役ではなくなった毎日。定年退職した森谷浩平は夕刊紙の広告を頼りにアダルトDVDを買いにいく。そこで八十歳の橋詰老人と出会い、居酒屋へ。定年後、初めて得た友人であり人生の先輩だった。その居酒屋でバイトしていた二十歳の景子と知り合い、心の張りを取り戻してゆく。しかしかつての同期が自殺し、家族とカネをめぐる難題が森谷に降りかかってくる。
部屋住みの身の風間啓四郎にとって、御前試合で勝つことは、藩での出世と道場の後継者への道が同時に手に入る、またとない機会。分を心得ていたはずの啓四郎だが、ある日、道場の一人娘・雪乃を見てから、すべてが変わった。が、時代は幕末の混乱期を迎えつつあり、藩の情勢も、啓四郎の身辺も、風雲急を告げる。愛する女と未来を手に入れるため、貧乏藩士の次男坊・啓四郎が歩き始めた幕末波乱の人生。
銀行支店長を辞し、北新地に酒場を開業した相沢。歯科医夫人と適当な情事を楽しみつつ、店の方も順調だった。ある夜、息子がつれてきたCGデザイナーサツキに、彼はいつしか心を奪われていく。息子の恋人に惹かれるなんて…しかし彼女の姿は相沢の脳裡を去らなかった。中年男性の狂おしいまでの情念を直木賞作家が濃淡鮮やかに描ききる、長篇情事小説。
麻里子はパリで突然姿を消した。兄の北村泰介は行方を探るべくフランスに飛んだが、待ちうけていたのはパリ警察の刑事だった。どうやら彼女の失跡は恋人の変死事件に関係があるらしく、警察の追及も厳しい。調べ回ってみると恋人というのは電子工学家だが、裏の顔は変質者の上スパイグループとも関係があると判明。その魔手は遂に北村をも襲った。
六本木のシティホテル。P商事の課長・島崎俊彦は部下の西尾典子と歓喜の一夜をともにしていた。元上司の殺人事件への関わりを疑われたうえに、社内の問題児・専務の御曹子を部下にさせられた。「ああ、私、課長のものなのね」ストレスゆえに燃える島崎。ところが御曹子への不審電話。事件は意外な方向へ-。
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。
警備会社に転職した江原光彦は、派遣先のスーパーできれいな顔をした女が万引するのをつかまえた。正式の取調室をいやがる女を江原はラブホテルへ連れ込んだ。泣きながらかぶりを振る女に江原は強引に挑みかかった。悪徳ガードマンの赤裸な日常をあますところなく描いたピカレスクロマンの長編傑作。
コンビニエンス・ストア「オールデイズ」目黒店で、毒入り弁当が発見された。この店の一人娘内藤典子に。本社勤務のエリート相原邦夫はずっと片想いを続けてきたのだ。相原はすぐに目黒に直行したが、その夜、殺人事件が起きる!男女の鮮烈な愛と、現代の不夜城コンビニエンス・ストアの知られざる内幕を描く。
大手商社の第一線営業マン山野純一郎は、取引企業倒産の責任を負わされて閑職の事業本部へ左遷。だが、山野はへこたれない。願ってもない充電期間とばかり、社内のOLと次々にオフィスラブを展開。会議室では斎藤恭子と、川端律子とも秘密の情事。テクニックの限りを尽して女性を歓ばせる。だが、山野の発展ぶりをじっと監視する謎の女性がいた…。企業恋愛小説の名手が描く最先端オフィスラブ長篇ロマン。
北海ビールの林田啓一は、新製品ビアビーフの開発に情熱を燃やす若手社員だ。ビール粕で育てた肉牛をどうやって売り出すか、東奔西走の毎日。そんな彼も女性となると積極的にアタック。社内のOL、人妻と若いエネルギーを発散させてゆく。だが、ガールハントを重ね、性を通じて歓びを共有するうちに、彼は女性を大切にすることは自分を大切にすることだと悟る。女性は白い肌の神々なのだ。力作官能長篇。