著者 : 飛鳥井千砂
私は、ずっと前から、滑走路で助走していたのかもしれないーーパリからの留学生と暮らしを共にすることとなった夫婦、自分の強みを生かして奮闘するツアーコンダクター、もう辞めようかと悩む書店員、ある事件の影響で飛行機はおろか空港にすら近づけない女性……。空港では、多くの人びとがすれ違い、時に交差する。みなそれぞれに屈託や葛藤を抱えながら、それでも明日を信じて。
【小鳩君と小佐内さんが活躍する、シリーズ最新短編!】 倫敦(ロンドン)スコーンの謎 米澤穂信 ●年に一度のお楽しみ、シリーズ最新作。今回は小佐内さんの小市民的スクール・ライフのために小鳩君が知恵を貸します 【読切特集「冠婚葬祭」】 もうすぐ十八歳 飛鳥井千砂 ●〈冠〉“成年年齢”ってなんだろう。二〇二二年、智佳は十八歳の岐路を想う ありふれた特別 寺地はるな ●〈冠〉成人式の朝、果乃子は二十年前を思い出す。話題の著者が描く、じんわり温かな物語 二人という旅 雪舟えま ●〈婚〉家読みのシガとクローンのナガノ。二人の旅が迎える“おわり”と“はじまり” 漂泊の道 嶋津 輝 ●〈葬〉 葬儀で出会ったうつくしいひとは、いつも彼女らしい喪服を着ていた 祀りの生きもの 高山羽根子 ●〈祭〉 神社のおまつりで手に入れた不思議な生きもの。その正体はゆらゆらと曖昧でよくわからないまま 【小説】 明治殺人法廷 第2回 芦辺 拓 かなり具体的な提案 犯罪相談員〈4〉 石持浅海 1(ONE) 中編 加納朋子 きみのかたち 第5回 坂木 司 特撮なんて見ない 第5回 澤村伊智 記憶の対位法 第3回 高田大介 モンドールの理由 近藤史恵 刑事何森 エターナル 丸山正樹 オークの心臓集まるところ サラ・ピンスカー 市田 泉 訳 【特別企画】 矢吹駆連作の舞台裏 笠井 潔 【ESSAY】 装幀の森 第4回 アルビレオ ぼくたちが選んだ 第6回(最終回) 北村 薫・有栖川有栖・宮部みゆき 翻訳のはなし 第6回 声が大事なんです 市田 泉 【COLUMN】 ひみつのおやつ*砂糖湯と食パン 榎田ユウリ 私の必需品*たった4分のエール 内山 純 【INTERVIEW 期待の新人】 荻堂 顕 【INTERVIEW 注目の新刊】 『水底のスピカ』 乾 ルカ 『青木きららのちょっとした冒険』 藤野可織 【訃報】 追悼 津原泰水 北原尚彦・紅玉いづき 【BOOKREVIEW】 [文芸全般] 瀧井朝世 [国内ミステリ] 宇田川拓也 [翻訳ミステリ] 村上貴史 [SF] 渡邊利道 [ファンタジイ] 三村美衣
私たち、何を、どこに向かって、頑張ればいいの──?亜希と茗子の唯一の共通点は育児ブログを覗くこと。一人は、親しみを持って。一人は、憎しみを抱えて。ある日、ブログ執筆者が失踪したことをきっかけに、二人の人生は交わり、思いがけない地平へと向かう。自分だけの光が見つかる、心震える物語。「気づいたら、子供の話しかできない人間になっていた」亜希(35) 妊娠を告げた派遣先で雇い止めにあい、現在育休中で求職中。一歳の息子の保育園を探しているが、無職のためハードルは高い。「何かを得たのに、何も失わずにいられると思っているなんて図々しいにも程がある」茗子(37) 過去、後輩にマタハラで訴えられてから「若い女子」が苦手。 妊娠した同僚の仕事のフォローが辛い。
鉢かづき姫、踊る12人のお姫様、ラプンツェル、エンドウ豆の上に寝たお姫様、乙姫、眠り姫ーー 古今東西の様々なプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたら? 人気の女性作家6名が、それぞれ選んだ物語を題材に、時に切なく、時に温かく、時に残酷に紡ぎだした名短編集。
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく…。
どうして、こんなにがんばってるんだろう。 大学卒業後、地元で働いていた紗耶加は、やりがいを見つけられず息苦しい毎日を過ごすなか、思いきって東京に行くことを決心する。新しい職場で気の合う同僚に恵まれ、圭介という優しい男性にも出会うことができた。やがて圭介と半同棲をすることになった紗耶加だったが、彼の自分勝手な言動に次第に違和感を抱きはじめる。苦悩する紗耶加を救ってくれたのは、写真を撮ることだった。そして、思いがけない新たな出会いが紗耶加の運命を変えていくーー。仕事や恋愛で揺れ動くひとりの女性の生き様を圧倒的リアリティで描いた、勇気と希望の物語。
略奪婚をした専業主婦の満里子、女性誌編集者の悠希、不妊治療を始めた仁美、人気翻訳家の理央。元同級生達は再会を機にそれぞれの悩みに向き合うことになる。前妻への罪悪感、要領のいい後輩への嫉妬、妊娠できない焦り、好奇の目に晒される戸惑いー。華やかな外見に隠された女性同士の痛すぎる友情と葛藤、そしてその先をリアルに描く衝撃作。
古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。 寺地はるな×鉢かづき姫 飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様 島本理生×ラプンツェル 加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様 藤岡陽子×乙姫 大山淳子×眠り姫
莉南と英理子は化粧品会社の美容部員。愛想がよく、コミュニケーション力に長けた莉南。自分の価値観を優先し、うわべの付き合いを嫌う英理子。対照的な二人は反発しあうものの、しだいに自分にないものを持った相手に惹かれ、親交を深める。だが、あることを機に英理子は会社側と対立。そのとき莉南はー。自分に正直に、信念を持って働く女子たちの姿が清々しい、共感必至の友情&お仕事小説!
「そうなんだよ。面倒なんだよ。教師って」 なんとなく高校の社会科教師になってしまった桐原。行動原理はすべて「面倒くさい」。適当に教師生活を送ろうとするものの、なぜか周囲の人間たちが彼に面倒ごとを持ちこんでくる。酔うと“女モード”に変身する友人、素行不良の生徒に、一方的な好意を寄せてくる生徒、神経質すぎる同僚の教師に、ヘンな格好をした隣人……。小説すばる新人賞作家が描く、誰よりも“教師らしくない”青年の、誰よりも“センセイ”な日々。笑って泣ける新しい青春小説の誕生!
雲ひとつない秋空が広がる日、彼に手紙を書いた。 クリスマスの飾りつけが目立ち始めたころ、僕はあることを決意したーー 立秋、秋分、冬至など、一年を二十四の季節で分ける、二十四節気。 飛鳥井千砂、小川糸、山崎ナオコーラ、柚木麻子ほか、人気作家たちが、 移りゆく季節のドラマを紡ぐ、極上のアンソロジー秋冬篇。いきなり文庫で登場!
誰かと一緒に暮らすのはきっとすごく楽しくて、すごく面倒だ。「いつかあの人と同じ家に住めたらいいのに」「いずれこの二人暮らしは終わってしまうんだろうか」それぞれに想いを抱えた腐れ縁の恋人たち、趣味の似た女の子同士、傷心の青年と少女、出張先の先輩と後輩、住みついた妖怪と僕…気鋭の作家8名がさまざまなシチュエーションを詰め込んだひとつ屋根の下アンソロジー。
「本屋さん」をモチーフに、短編を一作書いていただけませんか?書店をこよなく愛する作家・大崎梢が、同じくらい書店が好きにちがいない人気作家たちに執筆を依頼。商店街、空港、駅近、雑居ビル。場所は違えど、多種多様な人が集まる書店には、宝石のようなドラマが生まれる。読めば笑えて、泣けて、心がふっと軽くなる、そんな素敵な物語十編。
この人が私の運命の相手?十年前、再会の約束を交わした元彼、同棲し始めたばかりの彼女、自分の理想の名前を持つ相手、小説家を目指すきっかけになった女性、上司のすすめでお見合いをした相手、同じ趣味を持つ同僚…。あなたの求める「たったひとり」はきっとこの世のどこかにいるはず!?注目の女性作家たちが描く傑作恋愛アンソロジー。
同棲していた彼氏とケンカして、家出した茜。民宿を経営する叔父夫婦のもとに転がり込むが、そこはラブホテルに替わっていて…(「海風」)。結婚して10年。ずっとうまくいっていた妻との間に、大きな悩みを抱えてしまった航。久しぶりに戻った故郷で、昔傷つけてしまった女性と再会しー(表題作)。海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも心温まる小説集。
東京郊外の大型ショッピングセンター、「タイニー・タイニー・ハッピー」、略して「タニハピ」。今日も「タニハピ」のどこかで交錯する人間模様。葛藤する8人の男女を瑞々しくリアルに描いた恋愛ストーリー。
気が付けば他人のファッションチェックまでしている、完璧主義者の姉。何事も、そつなくこなすが熱くなれない「いい子」な弟。二人の間に横たわるのは、介護され何とか生きる老いぼれ犬。どこかが行き過ぎで、何かが足りない姉弟の物語。第18回小説すばる新人賞受賞作。