著者 : 飛鳥井千砂
亜希と茗子の唯一の共通点は育児ブログを覗くこと。一人は、憧れを持って。一人は、憎しみを抱えて。ある日、ブログ執筆者が失踪したことをきっかけに、二人の人生は交わり、思いがけない地平へと向かう。私たち、何を、どこに向かって、頑張ればいいのー?自分だけの光が見つかる、心震える物語。
鉢かづき姫、踊る12人のお姫様、ラプンツェル、エンドウ豆の上に寝たお姫様、乙姫、眠り姫ー古今東西の様々なプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたら?人気の女性作家6名が、それぞれ選んだ物語を題材に、時に切なく、時に温かく、時に残酷に紡ぎだした名短編集。
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく…。
大学卒業後、地元の携帯ショップで働いていた紗耶加は、息苦しい毎日に嫌気がさし、上京することを決心する。派遣社員ながらも新しい職場で充実した生活をスタートさせた。しかし、半同棲することになった彼氏の自分勝手な言動に違和感を抱きはじめる。幸せとは何か。仕事と恋愛の狭間で揺れる紗耶加を救ってくれたのはカメラだった。やがて紗耶加の撮った写真が雑誌編集者の目に留まり、彼女の運命は大きく変わっていくー。
略奪婚をした専業主婦の満里子、女性誌編集者の悠希、不妊治療を始めた仁美、人気翻訳家の理央。元同級生達は再会を機にそれぞれの悩みに向き合うことになる。前妻への罪悪感、要領のいい後輩への嫉妬、妊娠できない焦り、好奇の目に晒される戸惑いー。華やかな外見に隠された女性同士の痛すぎる友情と葛藤、そしてその先をリアルに描く衝撃作。
莉南と英理子は化粧品会社の美容部員。愛想がよく、コミュニケーション力に長けた莉南。自分の価値観を優先し、うわべの付き合いを嫌う英理子。対照的な二人は反発しあうものの、しだいに自分にないものを持った相手に惹かれ、親交を深める。だが、あることを機に英理子は会社側と対立。そのとき莉南はー。自分に正直に、信念を持って働く女子たちの姿が清々しい、共感必至の友情&お仕事小説!
なんとなく高校の社会科教師になってしまった桐原。行動原理はすべて「面倒くさい」。適当に“センセイ”をやろうとするものの、なぜか問題を抱えた生徒や教師、そして友人たちが面倒ごとを持ち込んできて…小説すばる新人賞作家が描く、新しい青春小説の誕生。
雲ひとつない秋空が広がる日、彼に手紙を書いた。クリスマスの飾りつけが目立ち始めたころ、僕はあることを決意したー。一年を二十四の季節で分ける、二十四節気。人気作家たちが、立秋、秋分、冬至など、移りゆく季節のドラマを紡ぐ、極上のアンソロジー秋冬篇。
誰かと一緒に暮らすのはきっとすごく楽しくて、すごく面倒だ。「いつかあの人と同じ家に住めたらいいのに」「いずれこの二人暮らしは終わってしまうんだろうか」それぞれに想いを抱えた腐れ縁の恋人たち、趣味の似た女の子同士、傷心の青年と少女、出張先の先輩と後輩、住みついた妖怪と僕…気鋭の作家8名がさまざまなシチュエーションを詰め込んだひとつ屋根の下アンソロジー。
「本屋さん」をモチーフに、短編を一作書いていただけませんか?書店をこよなく愛する作家・大崎梢が、同じくらい書店が好きにちがいない人気作家たちに執筆を依頼。商店街、空港、駅近、雑居ビル。場所は違えど、多種多様な人が集まる書店には、宝石のようなドラマが生まれる。読めば笑えて、泣けて、心がふっと軽くなる、そんな素敵な物語十編。
この人が私の運命の相手?十年前、再会の約束を交わした元彼、同棲し始めたばかりの彼女、自分の理想の名前を持つ相手、小説家を目指すきっかけになった女性、上司のすすめでお見合いをした相手、同じ趣味を持つ同僚…。あなたの求める「たったひとり」はきっとこの世のどこかにいるはず!?注目の女性作家たちが描く傑作恋愛アンソロジー。
同棲していた彼氏とケンカして、家出した茜。民宿を経営する叔父夫婦のもとに転がり込むが、そこはラブホテルに替わっていて…(「海風」)。結婚して10年。ずっとうまくいっていた妻との間に、大きな悩みを抱えてしまった航。久しぶりに戻った故郷で、昔傷つけてしまった女性と再会しー(表題作)。海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも心温まる小説集。
結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ。
東京郊外の大型ショッピングセンター「タイニー・タイニー・ハッピー」、略して「タニハピ」。商品管理の事務を務める徹は、同じくタニハピのメガネ屋で働く実咲と2年前に結婚。ケンカもなく仲良くやってきたつもりだったが、少しずつズレが生じてきて…(「ドッグイヤー」より)。今日も「タニハピ」のどこかで交錯する人間模様。結婚、恋愛、仕事に葛藤する8人の男女をリアルに描いた、甘くも胸焦がれる、傑作恋愛ストーリー。
気が付けば他人のファッションチェックまでしている、完璧主義者の姉。何事も、そつなくこなすが熱くなれない「いい子」な弟。二人の間に横たわるのは、介護され何とか生きる老いぼれ犬。どこかが行き過ぎで、何かが足りない姉弟の物語。第18回小説すばる新人賞受賞作。