小説むすび | 著者 : 黒原敏行

著者 : 黒原敏行

コレクションズコレクションズ

妻として母として、セント・ジュードにある家で50年の歳月を過ごしてきたイーニッド・ランバートにとって、山積する不満はなかなか解消されない。介護や医療費のことが不安だし、長男の嫁との関係は悪化するばかりだ。夫のアルフレッドはすでに鉄道会社を退職している元技術者で、パーキンソン病を患って痴呆症が出始めている。子供たちは子供たちで、わが家を巣立ってから何年も戻ってこないまま。しかも、それぞれの生活は行きづまっていた。長男のゲイリーは地方銀行の部長で経済的には恵まれているが、妻子との関係が不調で鬱々とした日々を送っている。反抗的な次男のチップは大学で先鋭的な文学理論を講じていたが、女子学生と関係を持って辞職に追いやられ、破産寸前の状態。末っ子で一人娘のデニースは新進気鋭のシェフとして活躍しながらも、結婚や恋愛の面で波乱の連続だ。あらゆる期待を打ち砕かれていくイーニッドに残された望みは、家族の絆を取り戻すために、家族そろってわが家でクリスマスを祝うこと。かくして、家族の絆の修正(コレクションズ)は、最後のクリスマスの日に託されたが-。家族という私的な領域と、現代アメリカが直面している社会的領域とを、さまざまな手法を用いて巧みにリンクさせ、辛辣に、滑稽に、現代人にまつわる悲喜劇を紡ぎだす。全米図書賞に輝くベストセラー小説にして、21世紀初頭のアメリカ文学最大の話題作。

悪魔と手を組め悪魔と手を組め

1985年、熾烈を極める北アイルランド紛争のさなか、王党派の闘士マイケル・ライアンは、軍資金獲得のため、大胆不敵な計画を立案した。アイルランド海をはさんで対岸のイングランド湖水地方で、五千万ポンドの金塊を運ぶ輸送車を襲撃し、海峡を越えて北アイルランドへ持ち帰ろうというのだ。マイケルは、姪のキャサリンとともに、腕の立つ船員キーオーを仲間に引き入れ、着々と計画を進める。だが、キーオーは、じつは対立するIRAのスパイだったのだ。さらに、海峡を越えるために雇った船員たちも金塊の横取りを狙い、味方のはずの王党派も横槍を入れようとする。四面楚歌の状況で、しかしマイケルの作戦は、見事成功したかに見えた…。そして10年後、行方不明になっていた金塊が、ふとしたきっかけで表舞台に再浮上した。現在では一億ポンドの価値を持つ金塊をめぐって、10年ぶりに帰国したマイケル、王党派、IRA、さらにはアメリカのマフィアまでが争奪戦に乗り出してくる。事態を憂慮した英国は、グループ・フォアのファーガスン准将に、金塊回収を命じた。だが、指令を受けたトラブル解決要員ショーン・ディロンには、誰も予想もしていなかった秘密があったのだ!冒険小説の王者ヒギンズが描く、裏切りと謀略の応酬。息つく間もない騙し合いのすえ、最後に笑うのは誰か。

闇の天使闇の天使

アラブ人テロリスト、IRAのメンバー、KGB部員、CIAのエージェントと、次々に無差別な暗殺を重ねる謎のテロ・グループ「1月30日」-政治的信条ばかりかテロの目的もいっさい不明であり、唯一わかっているのは、暗殺の凶器に同一のベレッタを使用していることのみ。対応に苦慮した英国首相は、ファーガスン准将率いる英国特別情報機関「グループ・フォア」に指令を下した。同じころ、ファーガスンの右腕である元国際テロリストのショーン・ディロンは、アイルランドのプロテスタント系過激派組織を壊滅すべく、ベルファストに潜入していた。だが、罠を承知で乗りこんだ敵地で、思いもかけぬ反撃を受けてしまう。それを救ったのが、突然オートバイに乗って現われた謎のライダーだった。しかも驚くべきことに、そのライダーは「1月30日」のメンバーであることが判明する。いったい、彼らは何の目的でディロンを救ったのか?やがて、「1月30日」の次なる標的がアメリカ合衆国上院議員であるとの情報が入り、ディロンたちはホワイトハウスへと赴くが…。

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