著者 : 鼓直
ボルヘス、コルターサルを始め、アンデルソン=インベル、ムヒカ=ライネスなど本邦初訳10編を含む15作品が描き出す、ラテンアメリカの不思議な怪。「魔法の書」や「断頭遊戯」など未体験ゾーンをあなたに!
銀鉱で成り上がったメキシコ生まれの主人と従者の出立から始まる物語はやがて、黒人の奏でるギター、街頭を轟かす謝肉祭の喧噪、ヴィヴァルディのオペラ、ルイ・アームストロングのトランペットへと、変幻するテンポのうちに秩序は多元的に錯綜していく“幻想交響曲”で幕を下ろす。擬古的な文体で周密な作品空間を描き出し、響きわたる雑多な楽音で読者を圧倒する傑作。
途方もない博識と巧緻をきわめたプロット、極度に凝縮された文体ゆえに、“知の工匠”“迷宮の作家”と呼ばれるボルヘス。その全仕事の核となる、『伝奇集』と並ぶ代表作。表題作のほか、「不死の人」「神の書跡」「アヴェロエスの探求」などを収録。
まえがき じゃま者 卑劣な男 ロセンド・フアレスの物語 めぐり合い フアン・ムラーニャ 老夫人 争 い 別の争い グアヤキル マルコ福音書 ブロディーの報告書 解説(鼓直) 訳 注
愛の欠如のなかに生きる孤独な人間の生と死、相つぐ奇想天外な事件、奇態な人々の神話的物語世界-マコンド村の創設から百年、はじめて愛によって生を授かった者が出現したとき、メルキアデスの羊皮紙の謎が解読され、ブエンディア一族の波瀾に満ちた歴史が終る。世界的ベストセラーとなった傑作長篇の改訳。ノーベル文学賞受賞。
夢と現実のあわいに浮び上る「迷宮」としての世界を描いて、二十世紀文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九ー一九八六)。本書は、東西古今の伝説、神話、哲学を題材として精緻に織りなされた彼の処女短篇集。「バベルの図書館」「円環の廃墟」などの代表作を含む。
『伝奇集』はアルゼンチンが生んだラテン・アメリカ文学の旗手、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの代表作である。不思議な『百科事典』をめぐる奇譚「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」、夢の世界の〈秘儀〉を描いた「円環の廃墟」、永遠なる図書館の神秘を語った「バベルの図書館」、占星術や“無限のくじ引き”の歴史を考察する「バビロンのくじ」他、全17篇を収録。伝説、神話、博物誌等、虚実織り混ぜた、さまざまな書物に対する限りない偏愛に満ちた作品集。
物語の生成そのものがテーマである表題作や『ある短篇のための日記』、不吉な回文が作中人物の悲惨な末路を暗示する『サタルサ』、グロテスクな青春の一挿話を回顧する『夜の学校』など。傑作長篇『石蹴り遊び』の作者として知られるアルゼンチンの異才・コルタサルが遺した最後の短篇集。
コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話”として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。