ジャンル : ミステリー・サスペンス
テレビのドキュメンタリー制作者のキャサリン。彼女は順風満帆の生活を送っていた。仕事はうまくいき、夫は優しく、息子も就職して独立している。だが、彼女のそんな人生は、引っ越し先で手にした見覚えのない本を開いた瞬間に暗転した。その本の主人公は私だ。しかもそれは、20年間隠しつづけてきた、あの夏の秘密を暴こうとしている! 25か国で出版され、衝撃の結末で世界に旋風を巻き起こしたデビュー・ミステリが、遂に文庫化!
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。おだやかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である〈風森村〉に、〈風の息子〉は生をうけた。彼が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが〈長い影の男〉がやってきたときすべてが変わった。人気ファンタジー〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ。コンスル帝国創世記の激動期を描く、シリーズ最初の物語。
公営アパートで肘掛け椅子に座ったまま男性が凍死した。自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者のドライデンは疑問をおぼえる。死んだ男は金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨が補充されていた。自殺する人間がそんな行動をとるだろうか?ドライデンの丹念な調査と明晰な推理によって、少しずつ解かれていく人々の秘密。端正な英国本格ミステリ。解説=若林踏
今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた……。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズ最終作。
マレット署長とスキナー主任警部の差し金により、デントン署を去る日が刻一刻と迫るなか、フロスト警部が抱える未解決事件の数は、一向に減る気配を見せない。疲れた身体に鞭打ち、わずかな部下を率いて捜査の指揮を執る警部に、異動を回避する妙案が浮かぶはずもない。法規を無視し、犯人との大立ち回りまで演じる、いつも以上に破れかぶれなフロストが最後につける始末とは? 解説=小山正
ある朝いつものように登校すると、僕の机の上には分解されたたて笛が。しかも、一部品だけ持ち去られている。--いま五年三組で連続して起きている消失事件。不可解なことに“なくなっても誰も困らないもの”ばかりが狙われているのだ。四番目の被害者(?)となった僕は、真相を探るべく龍之介くんと二人で調査を始める。小学校を舞台に、謎解きの愉しさに満ちた正統派本格推理。解説=川出正樹
未練を残して死んだ者は鬼となり、水源を涸らし村を滅ぼすー。鬼の未練の原因を突き止めて解消し、常世に送れるのは、八尾一族の「烏目役」と「水守」ただ二人のみ。大正12年、H帝国大学に通う八尾清次郎に、烏目役の従敬が死んだと報せが届いた。新たな烏目役として村を訪ねた清次郎。そこで出会った美しい水守と、過酷な運命に晒される清次郎を描く、深愛に満ちた連作集。
グウィネズの王マーズの甥にして後継ぎのグウィデオンは、恋煩いでやつれた末弟の思いを叶えるために、吟遊詩人に身をやつし、新しき民の治めるダヴェドの地から豚を盗んで、両国に戦を起こさせる。そして妹アリアンロドを騙して子を産ませ、自らの後継ぎとして育てた。人の心を読み、愛する甥のために花から麗しき乙女を創り出す。ウェールズ神話最大の英雄で神、グウィデオンの物語をもって、神話ファンタジイの金字塔は完結する。
高校生・朝戸雄一は、天才的な推理力を持つ先輩・後光院凛々花の助手として、警察も手を焼くような事件の解決に当たっていた。二人の関係は、先輩が殺害され、白骨化したあとも変わらなかった……。
究極の愛。ひとつになること。それはー食べてもらうこと。料理人の厨圭は、異世界に迷いこんでしまった。現地人の少女・アイサに救われたクリヤは、調理の技術を活かし、少しづつ異世界に馴染んでいく。しかしある日、彼はアイサの恐るべき真実を知ってしまう。彼女は「サカラ」という、至上の美味を宿した人間で、いずれその身を調理される運命にあったのだ…。ジャンプホラー小説大賞の最終選考を、その猟奇的な内容と感動のストーリーで紛糾させた問題作!!
トレッキング中の女性が偶然見つけたのは、山中に埋められた六人の遺体。ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕が。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。トルケルは迷った挙げ句、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場に同行する。史上最強の迷惑男セバスチャン再び。
妻子を残して移民の男性が失踪した。警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、妻は納得しなかった。夫が自分たちを残して逃げるはずがない。TV番組の記者が妻の訴えに興味を持ち、事件の調査をはじめる。一方山中の白骨事件を調べているトルケルたちは同じ頃、近くで運車の墜落炎上事故があったことをつきとめる。車に乗っていたのは偽の身分証明書を持った身元不明の女だった。人気脚本家コンビが放つ人気シリーズ。訳者あとがき=ヘレンハルメ美穂
梅雨の夜、太鼓長屋に養い親の千弥と住む弥助のもとに、客が訪ねてきた。化けいたちの宗鉄と名乗る男は、妖怪の子預かり屋の弥助に娘を預けたいという。山奥で暮らしていたのだが、母親が亡くなり、男手ひとつではどうにもならなくなったのだ。女の子の名はみお、白い仮面をつけ、父親だけでなくひたすら周囲を拒絶していた。だが、弥助のもとに預けられる子妖怪達と接するうちに、みおに変化が……。お江戸妖怪ファンタジイ第四弾。
英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、ある人とぶつかって落ちた一冊ーー中井英夫『虚無への供物』--が、僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)への入部のきっかけだった。アリス最初の事件ともいうべき「瑠璃荘事件」、著者デビュー短編「やけた線路の上の死体」、アリスと江神の大晦日の一夜を活写した「除夜を歩く」など、全九編を収録。昭和から平成へという時代の転換期を背景に、アリスの入学からマリアのEMC入部まで、個性的なEMCメンバーたちとの一年を瑞々しく描いたファン必携の短編集、待望の文庫化。