ジャンル : ミステリー・サスペンス
ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない…これらロボット工学三原則には、すべてのロボットがかならず従うはずだった。この三原則の第一条を改変した事件にロボット心理学者キャルヴィンが挑む「迷子のロボット」をはじめ、少女グローリアの最愛の友である子守り用ロボットのロビイ、ひとの心を読むロボットのハービイなど、ロボット工学三原則を創案した巨匠が描くロボット開発史。
本書は怪奇小説、それも英国の古風な、それでいて少しひねくれた、変わった味の作品を中心にまとめたアンソロジーである。不思議な話、奇怪な話、そして怖い話の……。ベンスンら巨匠の知られざる名品から、通を唸らせるウェイクフィールドら名手の逸品、奇妙な味わいの珍品、そして極めつきの恐怖譚まで、本邦初訳作を中心に22編を厳選。古雅にして多彩な怪奇小説をご賞味あれ。
ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。猫コンテスト会場での指輪盗難事件を描いた「猫の日の事件」、意外な真相が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか三編を収録した、謎解き連作短編集。
12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、全九篇を収録した日本版オリジナル短篇集。
秋にアフリカに渡り、春、欧州に戻るコウノトリがなぜ今年はかなりの数帰らなかったのか?調査に発つ直前、青年ルイは調査依頼主の無惨な死体を発見する。検死の結果、記録のない心臓移植手術の痕があることが判明。東欧、中東、アフリカ、行く先々でルイの遭遇する残虐な殺人。コウノトリの渡りの道に何が隠されているのか?『クリムゾン・リバー』の著者、驚嘆のデビュー作。
【サマセット・モーム賞受賞】 1874年の秋、監獄を訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。ただならぬ静寂をまとったその娘は……霊媒。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる。魔術的な筆さばきの物語が到達する、青天の霹靂のごとき結末。魔物のように妖しい魅力に富む、ミステリの絶品!
第二次世界大戦下、イタリアの第一二七捕虜収容所でもくろまれた大脱走劇。ところが、密かに掘り進められていたトンネル内で、スパイ疑惑の渦中にあった捕虜が落命、紆余曲折をへて、英国陸軍大尉による時ならぬ殺害犯捜しが始まる。新たな密告者の存在までが浮上するなか、果して脱走は成功するのか? 英国ミステリの雄が絶妙の趣向で贈る、スリル横溢の独創的な謎解き小説!
仁術の士モーリス・ルヴェルは稀代の短篇作家である。面桶に慈悲を待つ輩、淪落の尤物や永劫の闇に沈みし者澆季に落涙するを、或いは苛烈な許りに容赦なく、時に一抹の温情を刷き、簡勁の筆で描破する。白日の魔を思わせる硬質の抒情は、鬼才の名にそぐわしい極上の〓〓である。加うるに田中早苗の訳筆頗る流綺。禍棗災梨を憂える君よ、此の一書を以て萬斛の哀〓を掬したまえ。
資産家の老婦人、マチルダ・ギレスピーは、血で濁った浴槽に横たわって死んでいた。睡眠薬を服用した上で手首を切るというのは、よくある自殺の手段である。だが、現場の異様な光景がその解釈に疑問を投げかけていた。野菊や刺草で飾られた禍々しい中世の鉄の拘束具が、死者の頭に被せられていたのだ。これは何を意味するのだろうか?英国推理作家協会ゴールドダガー賞受賞作。
大不況時代のオハイオ川流域。父を亡くした幼い兄妹の前に現れた伝道師は、右手に「愛」、左手に「憎悪」の刺青をしていた。彼に心を許していく母と妹パール。そしてジョンの悪夢が始まる。伝道師は狩人。獲物を手に入れるためには手段を選ばない。そのゆがんだ意志に子供たちは追いつめられて…。映画化され、スティーヴン・キングに多大な影響を与えた幻の傑作サスペンス。
「パパー!パパー!」有能な会社幹部デーヴィッドを襲う夜ごとの悪夢。幼少時に何かあったのか。彼は催眠療法を受け過去をたぐり寄せてゆく。そして、その果てに立ち現われたヒトラーの顔…これが本当の記憶?では、自分はいったい何者なんだ?喪われた時を求めて男の探索行が始まった。だが同時に、戦後五十年ものあいだ封印されていた謀略もまた甦ろうとしていた。
ある日、偶然に見つけた思い出の少女の写真。彼女は今どうしているのだろうか? そのちょっとした好奇心はいつしか憑かれたような思いに変わり、ダニーはわずかな手掛かりを追って彼女の足跡を辿り始める。この青年の物語と交互に語られていくのは、ある悪女の物語。二人の軌跡が交わるとき、どんな運命が待ち受けているのだろうか? サスペンスの魔術師の代表作がついに登場。
開口部を完璧に閉ざされたダッソー家で、厳重に施錠され、監視下にあった部屋で滞在客の死体が発見される。現場に遺されていたナチス親衛隊の短剣と死体の謎を追ううちに30年前の三重密室殺人事件が浮かび上がる。現象学的本質直感によって密室ばかりか、その背後の「死の哲学」の謎をも解き明かしていく矢吹駆。20世紀最高のミステリを1100ページ超の全1冊で贈る!
●北森鴻氏推薦ーー「これまでもこれからも、僕の短編ミステリの大切なお手本です」 捜査そっちのけの警部と美女の死体に張り切る鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」を表題に、知る人ぞ知る愛すべき傑作「紳士の園」や、往復書簡で綴る地中海のシンデレラストーリー「閏の花嫁」など、問答無用に面白い八編を収める。
名作の誉れ高い表題作を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵青山喬介の全活躍譚など九編に併せて「連続短篇回顧」他のエッセイを収める。初出時の挿絵附。収録作品=とむらい機関車/デパートの絞刑吏/カンカン虫殺人事件/白鮫号の殺人事件/気狂い機関車/石塀幽霊/あやつり裁判/雪解/坑鬼 解説=巽昌章
前巻『とむらい機関車』と共に、戦前探偵文壇に得難い光芒を遺した〈新青年〉切っての本格派、大阪圭吉のベストコレクション。当巻には筆遣いも多彩な十一編を収録。著作リスト、初出時の挿絵附。収録作品=三狂人/銀座幽霊/寒の夜晴れ/燈台鬼/動かぬ鯨群/花束の虫/闖入者/白妖/大百貨注文者/人間燈台/幽霊妻 解説=山前譲
二年三カ月ばかり食らい込んで出所したおれは、保護司の娘に一目惚れ。真人間になります、と厳粛に誓約して幸運にも高嶺の花を手折ることが叶ったのだ。しかし、白波稼業へ返り咲く夢断ち難く悶々と過ごす毎日。そんなおれの肚を読んだわが慧眼の恋女房殿は、なんとなんと「夫婦じゃないの。死ぬも生きるも一緒よ。二人で新しい怪盗を作りましょうよ」と宣うた。さても夫婦善哉。
魔法の素質は本物でも、女の子ゆえに魔術の道に進ませてもらえず、かといって持参金不足で結婚もできずに悩む、年頃のフィアメッタ。父親は大魔術師にして公爵に仕える金細工師。だがその父はいまや息絶え、その強力な霊は邪悪な者のもつ“死霊の指輪(スピリツト・リング)”に囚われようとしていた! 黒魔術から父を守るため、炎の乙女が立ち上がる。時代はルネサンス、恋と冒険の歴史ファンタジイ。
池袋の書店を土曜日ごとに訪れて50円玉20枚を1000円札に両替する中年男の真意は? 若竹七海提出のリドル・ストーリーにプロアマ13人が果敢に挑んだ、世にも珍しい競作アンソロジー。解答者/法月綸太郎、依井貴裕、佐々木淳(倉知淳)、高尾源三郎、谷英樹、矢多真沙香、榊京助、剣持鷹士、有栖川有栖、笠原卓、阿部陽一、黒崎緑、いしいひさいち