ジャンル : SF・ホラー
豊饒な物語世界を紡ぐ作家・田中芳樹。『銀河英雄伝説』『アルスラーン戦記』といった傑作に結実する、原初の煌めきを宿した作品群を発表年代別に全2巻に集成。第1巻は、第3回幻影城新人賞を受賞して作家としての記念すべき出発点となった表題作をはじめ、小惑星航路を行く航宙士たちの人間模様が交錯する詩情豊かな佳篇「流星航路」など“幻影城”に発表された9篇を収める。
稀世の物語作家・田中芳樹の輝かしい軌跡を辿る短篇集成。第2巻は、人知を超える能力を宿した青年・冬木涼平が自らの運命に翻弄される姿を描き『創竜伝』の原点となった三部作を劈頭に、星間戦争のさなか終わりなき戦闘に倦んでいた青年将校が死の影を纏う謎めいた少女と邂逅する「戦場の夜想曲」など11篇を収録。著者の魅力を再発見できる貴重な初期作品群を全2巻で贈る。
日本SFの黎明期にいちはやく長編『光の塔』を発表し、その後も無尽の博識と自在な語り口で存在感を示した天才作家。奇妙な発端が思いもよらぬ規模の展開を見せる作品群の中でも「縹渺譚」「深森譚」の連作は白眉。片田舎の孤児が思い出の女性との再会を求めさすらう物語は、著者の空前の演出のもと、忘れがたい感動をもたらす。代表的作品集を合冊し、書籍初収録作2編を加えた。
ゴビ砂漠に独立都市テラニアの建設を宣言したローダンは、中国軍が包囲するエネルギードームの内側に、都市の建造を開始した。だがクレストの病状が悪化し、彼を地球の医者に診せる方法を模索する。一方、児童保護施設での殺人事件に関与したとされ警察に追われるマーシャル、シド、スーは、次第にミュータントの力に目覚めはじめる。その頃、NASAのフレイト少佐たちは米大統領の密命を受けて密かに月を目指すが…最長SFシリーズのエッセンスを凝縮した全8巻!第1シーズン・ヴィジョン・テラニア篇を完全翻訳。
「モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった」-肌が宇宙服に変わって飛んでいってしまう人々、恋人に贈られた手編みセーターの中で迷子になる男、自分の寝言を録音しようとした男が耳にする知らない男女の会話…。とびきり奇妙だけれど優しく切ない、奇想に充ち満ちた短編集。2001年度フィリップ・K・ディック賞候補作の33編に、本邦初訳の短編1編を追加した、待望の文庫化。
秋学期が始まり、“校内コスプレ大会”ワンダー・ウィークで盛り上がる美心国際学園(BIS)。ビブリオバトル部も、地区大会出場者を決めるバトルに向けて、日々の活動に力を入れていた。一方、空をめぐって対立することになった武人と銀は、周囲に秘密の“決闘”で決着をつけようとしていた。しかし、空は…。本格的ビブリオバトル青春小説シリーズ。
文学と妖怪は切っても切れない仲、意外な作家が妖怪を描いていたりする。本書はそんな文豪たちの綴る様々な妖怪物語を集めたアンソロジー。雰囲気たっぷりのイラスト入りの尾崎紅葉「鬼桃太郎」、泉鏡花「天守物語」、宮澤賢治「ざしき童子のはなし」、小泉八雲(円城塔訳)「ムジナ」、芥川龍之介「貉」、内田百〓「件」等19篇を収録。妖怪づくしの文学世界を存分にお楽しみ下さい。
2036年、NASAのペリー・ローダン少佐は、連絡の途絶えた月のアームストロング基地を調査するため、“スターダスト”で月面に向かった。彼らは月で驚くべき光景を目にする。そこには巨大宇宙船が着陸していたのだ。一方地球では、異星人との接触の報に米中露をはじめとする国際社会が激しく動揺する…世界最長SF“宇宙英雄ローダン”を現代の創造力で語りなおす新プロジェクト、遂に日本刊行開始。
軍用有人兵器・機甲兵装の密輸事案を捜査する警視庁特捜部は、北アイルランドのテロ組織IRFによるイギリス高官暗殺計画を掴んだ。だが、不可解な捜査中止命令がくだる。首相官邸、警察庁、外務省に加えて中国黒社会との暗闘の果てに、特捜部が契約する“傭兵”ライザ・ラードナー警部の凄絶な過去が浮かび上がる!極限までに進化した、今世紀最高峰の警察小説シリーズ第二作が、大幅に加筆された完全版として登場。
ライザ・ラードナー、警視庁特捜部付警部にして、元テロリスト。自らの犯した罪ゆえに、彼女は祖国を離れ、永遠の裏切り者となった。英国高官暗殺と同時に彼女の処刑を狙うIRFには“第三の目的”があるという。特捜部の必死の捜査も虚しく、国家を越える憎悪の闇が見せる最後の顔。自縄自縛の運命の罠にライザはあえてその身を投じる…過去と現在の怨念が狂おしく交錯する“至近未来”の警察小説第二弾。
ホテル“ウェイ・イン”は快適だ。広大な空間と最新の設備をもち、完璧なサービスを提供する。ビジネスマンのぼくは、大規模見本市でやや後ろめたい仕事をこなしながら、客室と会場を行き来する充実した三日間を過ごすはずだった。赤毛の女から、このホテルにまつわる奇妙な秘密を囁かれるまでは…。本邦初紹介の鬼才が、巨大建築物に潜む“魔”をかつてない筆致で描き上げた最新作。
「ねえ、わたしの話を聞いて…」偶然車に乗せた少女に導かれてマイクが足を踏み入れたのは、子どもだけが葬られている、忘れられた墓地。怯えるマイクの周辺に現れた子どもたちが、彼らの最期の物語を次々と語り始めた。廃病院に写真を撮りにいった少年が最後に見たものは。出来のいい姉に悪魔の鏡を覗くよう仕向けた妹の運命は。ノスタルジー漂うゴーストストーリーの傑作。
風の邪神イタカを退け、ふたたび時空往還機に乗り探索の旅へと出立したド・マリニーとモリーンが、ボレアに帰還した。そこへタイタス・クロウからメッセージが入る。「クトゥルー邪神群、決起のとき迫る!」地球を、そして全宇宙を救うため、ド・マリニーは善なる旧神たちの棲み処、いずこともわからぬ“エリシア”へと旅立つのだが…。“タイタス・クロウ・サーガ”堂々完結!
王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け、急ぎ故郷に帰った。五年前、魔物棲みの妹が若い命を散らしたとき、逃げるように都に向かって以来のことだった。久しぶりの故郷。だが死を前にした父に託されたのは、余りに重い秘密だった。魔導が禁忌とされてきた北の大国エルミーヌを舞台に、偏見や因習と闘い新たな道を切り開く青年の姿を描く、『魔導の系譜』続編。
“自分”という意識や自由意志が幻想でしかないことが証明された近未来。神経科学者ライダが十年前に開発に携わった新薬「ヌミナス」-ニューロンを再成長させ、脳を物理的に再編するこの薬は、摂取者にとっての自我と現実を決定的に書き換える。葬ったはずのその薬がなぜか、再び流通しはじめているという…。最先端の知見を駆使して精神と心の謎に迫る、新世代の脳科学SF。
脳のほとんどは潜在意識であり、“自分”という意識は判断を下す主体ではなく脳の活動の結果、つまり幻想でしかない。ヌミナスは脳を再編し、摂取者にとっては現実そのものとしか思えない“神”の幻覚を見せるーだが意識そのものが幻想であるなら、“神”が幻覚だと言うことになんの意味があるだろう?ヌミナスを追うライダは驚愕の真実に到達する。新世代の傑作脳科学SF。
史上最高額ー根津・明昌院の千両富くじに沸く江戸の町で、呉服商の大店に盗人が忍び込んだ。同心の伝三郎たちは、その鮮やかな手口から、七年前に八軒の蔵を破った神出鬼没の盗人“疾風の文蔵”の仕業に違いないと確信する。一方、江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、長屋の奥さんから依頼された旦那探しと並行して、現代科学を駆使して伝三郎の捜査に協力するが…。