ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
法医学者の万木朝顔が、刑事である父・平の部下の桑原と結婚してから5年の年月が流れていた。二人の間にできた娘・つぐみは4歳になり、同居している平の協力も得ながら育てつつ、それぞれの職務を全うしていた。ある日、桑原の県警捜査一課への異動が決まるが、同じ時期に、2011年の東日本大震災で行方不明になった朝顔の母・里子の手袋が見つかったとの連絡が入るー。日々起こる事件を縦軸に、母の行方を横軸に物語は進行し、クライマックスを迎える完結編!
爽やかな風が吹く5月、「居酒屋お伊勢」にやってきたのは風の神・シナのおっちゃん。伊勢神宮の「風(かざ)日祈(ひのみ)祭(さい)」の主役なのにお腹がぷよぷよらしい。松之助を振り向かせたい莉子は、おっちゃんとごま吉を引き連れてダイエット部を結成することに…! その甲斐あってお花見のあとも春夏秋とゆっくり仲を深めていくふたりだが、突如ある転機が訪れるーーなんと莉子が実家へ帰ることになって…⁉ 大人気シリーズ、笑って泣ける最終巻!ごま吉視点の番外編も収録。
真打ち昇進を控えた二つ目・佃家花蔵が高座で「犬の目」を口演中、酔客に左眼を殴打され、廃業の危機に。佃家傳朝と梅蔵は長年の不仲を改め、弟弟子を援助することを誓うが、その直後、夜道で傳朝が命を狙われる。相次ぐ噺家受難の陰には思いもよらぬ真実が…。文庫書き下ろし。
元新選組副長・土方歳三は新政府軍の銃弾に斃れたーはずだった。頭部に被弾した土方を救った時枝ゆらは、敵軍の目をかいくぐり、米国へと密航する。だが意識を取り戻した土方は、記憶を失っていたのだった。全てを無くしたサムライは、果たしてどこへ向かうのか?海を、大地を駆けめぐる、壮大なる旅がここにはじまる。
密航者として追われる隼人(土方歳三の変名)とゆらは、西部の大地で離別してしまう。ゆらを探し旅をする隼人は、アリゾナの荒野で先住民の襲撃を受ける。一方、ゆらの前には彼女を追う悪徳保安官・ティルマンが現れ、絶体絶命の危機がー。運命に引き裂かれた二人は、生きて巡り会うことができるのか?巻末に逢坂剛×月村了衛対談を収録。
ある月の夜、十六歳の風谷小十郎は、山中の樹にもたれて嗚咽を漏らす奇妙な坊主と出会う。「いい眼だ。しかし、けだものの眼だ。おまえは、これから思い悩むことが多いだろう」-本願寺蓮如その人の言葉に導かれるように、若鹿の運命は動き出した。加賀の地に燃え広がる一向一揆の炎と、闘いに身を投じた小十郎の青春を描く血潮滾る歴史巨篇。
蓮如の吉崎退去、小十郎の恋、そして守護・政親の強権。戦場を覆い尽す念仏が、かつて共に闘った者たちを、別々の明日に追い立ててゆく。加賀の雪が、ふたたび血に染まる時が近づいていたー著者積年の構想がついに結実、加賀一向一揆を生きた男たちの雄叫びがこだまする感動巨篇、完結!
たった一度の人生、失敗したくない。そう願ってきたのに「成功」できていない落合美緒。ある夜、コンビニで勤務先の同僚とばったり出会うが、翌々日出勤するとその同僚は、隣人一家四人を殺害したという容疑で連行されていた。他人の「失敗」を前に、美緒の心はときめくがー。イヤミス女王の放つ傑作。
一男一女に恵まれ、平凡ながらも幸せな家庭を築く石坂の生活は、愛猫の毒殺を機に大きく揺らぎ始める。娘の家出、息子の事故死、会社の倒産、離婚、火事…。人生のどん底で聞こえてきたのは亡き母の声。不思議な声に導かれて人生をリセットする方法を試すと、気づけば目の前には2年前の一家団欒がー。幸福の崩壊を阻止するため、石坂は記憶と経験を武器に奔走する。
悲しくて切ない想いが詰まった恋愛小説である この作品は、読者にとって思いがけない結末を 迎える。 まさかどんでん返しで こんなにも 泣かされるなんて 見合いで結婚した夫には好きな人がいた。 十年も前から、今も続いている。 その事実を知っても、平凡な主婦の華美には、 別れて自力で生きていくことが出来ない。 そんな彼女の癒やしは、絵を描くことだけだった。 ある日、自分のデジカメに撮った覚えのない少年と、彼が書いたと思われる詩が写っているのを見つける。 その少年にひかれ、恋をした時、 運命は、とんでもない方向へ動き始めた……。 (ノンストップ・ラブ・ミステリー) 第一章 桜の乱 第二章 バタフライ・エフェクト 第三章 恍惚 第四章 はらわたに棲む悪霊 第五章 炎に魅せられし者 第六章 失われたノート 第七章 持ち寄りピザ・パーティー 第八章 ストーカー 第九章 残されたメッセージ 第十章 逆流の旅 第十一章 怯える住人 第十二章 愛されない者、愛せない者 第十三章 連続放火魔の正体 第十四章 琵琶湖の家 第十五章 タイムスリップ 第十六章 十年前のアルバム 第十七章 めぐり会い 解説 村上貴史
1987年、俺は福岡を出て東京へ。やがて大規模なグラフィック展に20代で抜擢されパルコ系クリエイターの仲間入りをし、汐留の大型ライブハウスの内外装も手がける。バブルのまっただ中、数々の変人と出会い、モデルと結婚して絶頂の日々も確実に時代の変化がー。仕事と恋愛、青春の日々が甦る実話ノベル。
「そのとき私は、けものになりました」情事が記された夫の日記に狂乱する妻。その修羅を描いた『死の棘』。だが膨大な未公開資料を徹底解読し、取材を重ねた著者が辿りついたのは、衝撃の真実だった。消された「愛人」の真相、「書く/書かれる」引き裂かれた関係。本当に狂っていたのは妻か夫か。痛みに満ちたミホの生涯を明らかにし、言葉と存在の相克に迫る文学評伝。読売文学賞評論・伝記賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞。
夫・正彦さんだけでなく愛猫・天元までもが糖尿病予備軍と診断されて…。猫と夫のダイエットに奮闘する陽子さんの日々を綴った「ダイエット物語」二篇と「大腸ポリープ物語」に加え、書き下ろし「リバウンド物語」を収録。巻末に、夫婦対談「素子さんの野望」を付す。
浅草乾物問屋の一人娘・お春。十七の初心な身はやがて、男遊びと淫蕩の末に死んだ美しい母の血と面影を蘇らせていく。名を騙り夜這を仕掛ける番頭、女を弄ぶ美貌の若侍…色を知ったお春が舐めた、男と女の奈落の味。橋本治が「夢のような愚かさを書いてみたい」と文豪・谷崎に捧げた快作時代小説。
追いつめられた現代人のもとへ、おばちゃん(幽霊)たちが一肌脱ぎにやってくる! 失業中の男に牡丹灯籠を売りつけるセールスレディ、シングルマザーを助ける子育て幽霊、のどかに暮らす八百屋お七や皿屋敷のお菊……そして、彼女たちをヘッドハントする謎の会社員・汀。 古より疎まれた嫉妬心や怨念こそが、あなたを救う?! 胸の中のもやもやが成仏する愉快な怪談17連発。〈解説〉はらだ有彩
斎藤道三の娘・帰蝶。親譲りの胆力と才覚を備え、父に愛されて育った彼女は、尾張の織田信長の元へ嫁ぐ。お互いの器の大きさと夢を認め、愛し合う二人は、共に尾張平定に乗り出す。だが、隣国美濃で、道三に対して、息子の斎藤義龍が叛旗を翻した。信長は援軍を送るが間に合わず、道三は討死する。それは、帰蝶と信長の関係にも影を落としていた。
帰蝶の死から八年が経ち、天下統一へ着々と版図を広げる織田信長。妻・煕子が帰蝶に仕えていた明智光秀も、今や織田軍団で出世頭となっていた。だが、光秀夫妻は帰蝶の仇を討つこと密かに誓っていた。一方、進軍中の信長はひとりの美女を目撃し、帰蝶だと直感する。はたして、帰蝶は生きているのか? すべての「糸」は、本能寺へ繋がっていた!
付言しておきたいのは、信長の最大のライバルは、……やはり大坂本願寺であるということだ。そして、その本願寺の軍事力を支えたのが雑賀衆であり、その頭目が「雑賀孫市」だった。〈解説〉和田裕弘/中公新書『織田信長の家臣団』『信長公記』著者) ときは戦国、織田・浅井・三好ら大大名がしのぎを削るただ中に、紀州・雑賀庄はあった。彼らに転機をもたらしたのは、八咫烏を祀る夜に蹌踉と現れたひとりの老人。刀月斎を名のる男は、頭領〈雑賀孫市〉を父にもつ三兄弟それぞれに、奇妙な形をした鉄砲を与えたのであった……。 病身を抱えながら鉄砲兵法を編み出す長男・義方、豪放磊落にして武威赫々たる次男・重秀、入神の域に達した狙撃の腕を持ちながら心を閉ざす三男・重朝。兄弟で〈雑賀孫市〉を襲名した彼らは、異なる道を歩み、異なる志を秘めながら戦乱の世を駆け抜ける! いま最も勢いに乗る歴史作家・谷津矢車が放つ硝煙たなびく合戦絵巻、ついに文庫化!