ジャンル : 外国の小説
【ネビュラ賞、ローカス賞など4冠】 ジンの魔法と科学の融合で大発展した世界 エジプト魔術省のエージェント・ファトマは 恋人の女性シティとともに 蘇った伝説の魔術師の謎を追う! 19世紀後半、伝説の魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)の世界の扉を開き、世界は一変した。ジンの魔法と科学の融合によりエジプトは急速な発展を遂げるが、アル=ジャーヒズはなぜか姿を消す。それから40年後、カイロに彼の名を名乗る謎の男が現れ、彼を崇拝する人々を焼きつくした。エジプト魔術省の女性エージェント・ファトマは、恋人の女性シティらと共に捜査に乗り出す。ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞の4冠に輝いた新鋭の第一長編!解説=渡邊利道
中世北欧文学の最高峰!13世紀のアイスランドで花開いた、王、豪族、美姫、戦士、農漁夫、ヴァイキングの乱舞する雄渾華麗な物語。幻の名著が、最新の研究を踏まえた図版・系図・地図・文献案内を備えて待望の復刊!「サガ」とは、語り、語られた出来事、物語の意。ヴァイキング時代に人びとがノルウェーからアイスランドへ入植した経緯、活躍した英雄、戦い、何代にもわたる血族同士の復讐の応酬、キリスト教以前の異教時代の魔法や幽霊、呪いなどを活写した壮大な史伝的散文作品が約二百篇ほど現代に伝わる。本書は質量ともサガ文学中の圧巻とされる六篇を収める。
“妊娠しています”という医師の言葉に、エリンは呆然とした。おなかの子の父親は、大富豪エイジャックス・ニコラウー。出会った瞬間に強く惹かれ、彼の誘惑に抗えず一夜を共にした。さらにもう一夜を共にしたあと、冷たく別れを言い渡されたのだ。今さら彼に妊娠を知らせても、きっと追い払われるだけ。エリンは彼の前から姿を消し、ひとりで産み育てると決めた。2年後、突然エイジャックスがエリンの自宅を訪ねてきた。彼が足を踏み入れると、火がついたように赤ん坊が泣きだす。エイジャックスは鋭く光る眼で言った。「この子は…僕の娘だ」
母親が娘の名で作った莫大な借金に、ヤナは途方に暮れていった。そこへ現れたのがかつての義兄、富豪ナジールだった。「君が必要なんだ」そう言うと彼は借金の清算と引き換えに、妻の死以来、心を閉ざしてしまった幼い娘の世話を頼んできた。忘れたい初恋の記憶がよみがえり、ヤナは気を失ってしまう。19歳のとき、私はナジールに純潔を捧げようとして拒絶された。その後彼は結婚し、病気で妻を亡くしたが、彼女は私の親友だった。決して振り向いてくれない人と一つ屋根の下で暮らすのはつらすぎる。けれどヤナはわかっていた。彼のためなら自分がなんでもすると。
ケリーは教会でウエディングブーケを手にして、花婿のアレコス・ザゴラキスを今か今かと待ちわびていた。だが結局、ハンサムな大富豪が結婚式に現れることはなかった。哀れにも、ケリーは土壇場で冷酷に捨てられたのだ。4年後。傷ついてどん底に落ちた彼女は小学校教師となり、ようやくアレコスのことをきっぱり忘れる決心がついた。彼に贈られたダイヤモンドの婚約指輪を思いきってオークションに出品したとたん、すぐさま400万ドルの高値で落札され、ケリーは呆然とした。いったい誰があの指輪を欲しがったの?すると不敵な笑みのアレコスが現れ、強引に彼女を連れ去り…。
リンジーは世界的に著名なカメラマン、ジョエルの秘書。どんな女性も夢中にさせる魅力にあふれたジョエルは、過去や家族の話をいっさいしない秘密主義者だ。そんな彼をもっと知りたくて、この半年一緒に暮らしてみたが、悲しいことに、それは変わらなかった。ジョエルにとって、私は住み込みの愛人でしかないの?彼への想いは衰えるどころか、日ごとに増すばかり。もう彼のそばにはいられない…。しかし退職届を出した矢先、思いがけずジョエルとパーティに出ることになってー?
おなかの子の父親アントニオと連絡がつかず、ティアは途方に暮れた。そっとおなかに手をあてる。妊娠6カ月で、赤ちゃんはもう蹴ってくる。相手は王国のプリンスで、私はただのウエイトレス。彼の所在がわからず王宮に問い合わせるしかない身の上がつらかった。亡き兄の親友だったアントニオとは一度だけ会ったことがあったが、6カ月前、さる慈善パーティでティアが給仕をしていたとき、主賓のアントニオが声をかけてきて、二人は再会した。兄の思い出を語らううち、ホテルで一夜を共にし、そして…。アントニオにも、生まれてくる子供のことを知る権利があるはずだ。ティアは身重の体を押して、彼が住む地中海の王国へ向かったー。
“あなたを見ると、ママを思い出します。ママは天国にいます。弟もじきママのところに行くので、その前にあなたに会いたがっています”子供たちのアイドル“ストーリー・プリンセス”を演じるドミナイは、ファンから大量に寄せられた手紙の中の1通に心を動かされた。不幸な幼い兄弟にすっかり同情し、彼らを共演企画へ招くことにするが、そう決めた理由はじつはほかにもあった。“パパはあなたをB級女優だと言います”というくだりにひっかかり、誤解を解きたかったのだ。楽しい思い出を作れたら、誤解も解けるはず。共演を来週に控えたある日、ジャロッドと名乗る魅力的な男性が現れた。一目で惹かれたドミナイは驚いた。彼が、あの手紙の“パパ”だと知って!
十人並みの器量だが賢さではきょうだいで一番のポリーは、学術書の手書き原稿を清書するアルバイトに応募し、採用された。ところが雇い主の友人で“教授”と呼ばれる医師サムの登場により、楽しいはずのアルバイトはとたんに緊張の連続となった。ある日、雇い主が突然の病で亡くなり、故人の遺志を継ぐため、ポリーがサムの屋敷に住み込んで清書を完成させることになったのだ!サムは気品があり、とてもハンサムだが、いつも不機嫌そうだ。彼と同じ家に住み、美しい婚約者から冷たい目で見られるのに耐えられず、ポリーは急いで仕事を終えると屋敷をあとにした。だがサムとの再会は、新しい職場となった病院で、不意に訪れたー
メレディスはある小包を待ちわびながら、不安を募らせていた。13年前に手放さざるをえなかった娘の成長を知るすべは、養母が送ってくれる写真しかないのに、それが今年は届かないのだ。まさか、何かあったんじゃ…。病気、あるいは事故とか…?最悪の事態を考え始めたころ、突然玄関のチャイムが鳴り響いた。扉の前には、片時も忘れなかったニックー娘の父親の姿があった。ああ、ニック!もしかして、やっと私に会いに来てくれたの?たちまち封印したはずの愛がよみがえり、期待に胸が高鳴る。だが彼の瞳を見つめたとたん、メレディスは気づいた。二人が愛し合った記憶を、彼がいまだに取り戻していないことに。
エリンは16歳のときから、親友の兄で社長のタイに片想い。25歳になった今は、恋心を隠して彼の下で働いている。そんなある日、エリンはタイにデートに誘われ、胸をときめかせた。目的が彼にしつこく迫る女性を退けるためとはいえ、長年の夢が叶うのだ。二人の距離は急速に縮まり、エリンはついに純潔を捧げたが、その直後から、彼女の人生は不幸のどん底へと突き進む。父が急逝したうえ、生前に家を売っていたため、住む場所を失った。さらに、他社へ情報を売ったとタイに疑われ、会社も追い出されたのだ!「君はもう我が家でも歓迎されない」ひどい、私はやっていないのに…。何もかもなくしたエリンは町を去ったータイの子を、その身に宿して。
図書館司書のアメリアは夜間にウェイトレスの仕事を始めた。品行方正な彼女がめがねを外し、きわどい服を着るのは、退屈な人生を変えるためにどうしても資金が必要だから。このことが知れたら、町中が大騒ぎになるだろう。ある晩、思わぬ客がーアメリアが長年片想いをしているタイラー・サヴィジが来店した。こんな姿をタイラーに見られたのも衝撃だったが、彼の注文にはさらに驚いた。彼は目の前のセクシーなウェイトレスがお堅い司書とは気づかず、陶酔したまなざしで「俺が欲しいのはきみだよ」と言ったのだ!(『夜は別の顔』)。田舎暮らしの司書ジョイはバレンタインの夜、初めて訪れたロンドンのレストランで著名な大物スターのマーカス・バレンタインと出逢い、ひと目で心を奪われてしまう。そして思いがけず彼からダンスに誘われたとき、彼女は勇気を出して承諾した。いつもは地味な私だって、今夜くらいは楽しんでもいいはず。そう思いながら踊っていると、不意に唇を重ねられ、ジョイは我を忘れて激しく応えた。するとその直後、彼女をふしだらな女性だと思い込んだマーカスは打って変わって険しい顔になり、侮蔑の言葉を浴びせてきた!(『蝶になった司書』)。
その歴史と広がり、表現はどのようなものだったのか。五山文学を探求し続ける論考、全20章。 第一部「総論 五山文学の歴史と広がり」では、中国詩総集および五山詩総集、五山文学別集それぞれについて編成の特徴についての論考や、五山の文学や学問が、公家社会と交流していく様子を時代を追って通覧できるようにしたもののほか、生きた唐物である来日僧の語録や墨蹟を取り上げて、五山あるいは広く日本社会における意義を考えた論考、五山における出版活動についての論考、同時代の他ジャンル、あるいは文化全体との関わりでは重要性を増してくる、この時期の五山文学を概観したものなどの論考を収録。 第二部「各論 五山文学の表現」では、作品の生成の場や資料、作品そのものの読解と位置づけなどを論じる。 第三部「資料紹介・書評」では、一休の言説がその門弟らによって変形流布し、近世の一休像とつながっていくことを『自戒集』関連資料によって推測した「一休関係資料紹介ー『自戒集』関連資料と『一休老和尚不審物』-」ほか、重要資料の解題・翻刻を収めた。 全体像を見渡し、細部にも注目する、五山文学研究の最前線。
解けない封鎖と拘束 止められない歩み 言葉 爆撃にさらされ、地下室に拘束されたまま、封鎖下の日々や自らの生い立ちを、一本きりの青いペンで見知らぬ「あなた」に宛てて書き綴る少女の物語。 母親と兄とともにダマスカス郊外で暮らすリーマーは、自らの意思とは関係なく足が勝手に歩き出してしまうという奇癖の持ち主。四歳の頃から手首に枷をつけられて育つが、ある日を境に話すこともできなくなってしまう。学校教育を受けられず、母親が掃除婦として働く学校の図書室長の厚意で読み書きを教わり、本に親しむようになる。 学校に行かなくなってからは外部との接触を断たれ、勝手に歩き回らないよう家に閉じ込められて過ごすが、近々シリアを出国するという図書室長の招きで、二年ぶりに外出する。 母親と娘が乗ったバスは、市内にいくつも設置された検問所で止められ、なかなか前に進まない。数時間が経過した頃、ある検問所で悲劇が起こる…… 2013年にシリアで実際に起きた出来事を下敷きに、手記の形をとった異色の長篇小説。数多の制約の中で生きることを強いられる内戦下の不条理な現実を寓話的かつ超現実的に描く、『無の国の門』の作家の新境地。
キム・ウォニョン(作家・ダンサー・弁護士)、キム・ソヨン(読書教室運営)、イギル・ボラ(作家・映画監督)、チェ・テギュ(獣医)という、背景も活動分野も異なる4人によるエッセイ集。 コーヒー、靴下、テレビ、本といった身近な存在の言葉をはじめ、ゆらゆら、ひそひそ、ひんやりなどの状態や様子を示す言葉について、それぞれが文章を綴る。 4人の文章に触れることで、新たな気づきや視野の広がりが感じられる1冊。 牧野美加さんのなめらかな日本語訳が心地よいリズムを刻む。