小説むすび | ジャンル : 外国の小説

ジャンル : 外国の小説

言葉はいらない言葉はいらない

身振り手振りと筆談が私の言葉ーー 声なき乙女が紡ぐ、愛の物語。 異国に滞在中、医師である両親が目の前で命を落とし、 ショックから口をきけなくなってしまったマンディ。 後見人に庇護されながらも孤独な少女時代を過ごしたが、 21歳になったとたんにその契約も打ち切られてしまい、 とうとう身寄りをなくした彼女は途方に暮れていた。 そんなときに慈善舞踏会で出逢ったのが、主催者のブライアンだった。 酔っ払いに絡まれたマンディを助けてくれた年上の紳士だ。 だが彼はマンディの境遇を知ると、考えこんだあとで申し出た。 「口答えしないなんて最高だ! 僕の屋敷で住みこみの秘書にならないか」 私が口がきけないからって、扱いやすくて従順だと思っているのね……。 本当は自立心旺盛なマンディは、ブライアンの思いこみにうんざりしますが、同時に彼に惹かれてしまい、彼の秘書になることに。やがて二人は結婚。けれど結婚から3日が過ぎても夫は指一本触れてくれず、マンディは彼に愛されないことに耐えきれず家を出て……。

あなただけを愛してたあなただけを愛してた

7年が過ぎても、彼を思い出すーー 秘密の双子の父親である彼を。 17歳の春、タラは親友の若き義父ジェームズに恋をした。 叶うはずのない恋だったけれど、彼のそばにいられるだけで幸せだった。 だが、純潔を捧げたただ一度の関係で、タラの人生は急転。 妊娠がわかったときには、彼は何も言わず海外へ飛び立ったあとで、 拒絶されたことを理解したタラはひどく打ちのめされた。 世間は父親のいない子を産む女性を冷たい目で見ていて、 彼女の母親とて例外ではなく、おなかの子をあきらめるよう言われた。 それでもタラは学校を中退し、住む場所も変え、独りで双子を産んだ。 その子供たちも今は6歳になり、裕福でないながらも平穏に暮らしていた。 偶然再会した親友に誘われて訪れた別荘で、ジェームズに会うまでは! 大人のヒーローに恋するうら若きヒロインの心の機微を、リアルに、そして率直に綴って人気を博した名作家ペニー・ジョーダン。本作は大きな失恋に苦しみながら必死の思いで築き上げた平穏な日々が音をたてて崩れていくーーそんなシークレットベビー物語です!

男爵と売れ残りの花嫁男爵と売れ残りの花嫁

誰も私を花嫁にしたがらない……。 そんな売れ残りの娘を見つけたのはーー 牧師の娘イライザは高貴な生まれではなく、持参金もわずかばかり。 社交界デビュー2年目となる今年こそ、結婚を決めるか、 それがだめなら一生独身か、二つに一つーー最後のチャンスだ。 だがいまだに、地味で縁故もない彼女に関心を示す若者は現れない。 ある日、舞踏会で中老の子爵が転びそうになったところを助け、 子爵と仲よくなったイライザは、互いに好きな読書の話に花を咲かせる。 それを苦々しく見ていたのは、子爵の息子のストラサム男爵ジャイルズ。 あの若くて貧しい娘は、裕福な子爵の後妻の座を狙っているのでは? そこでジャイルズは監視するために自らイライザに近づくが、 一緒にダンスを踊り、連弾をし、会話を交わすうち、彼女に魅了され……。 牧師の家に生まれたヒロインのドレスは経済的事情から古くて地味なものばかり。それでも、語学堪能で音楽や絵画、乗馬なども得意な彼女は、ジャイルズの目にはどんな貴族令嬢よりも輝いて見えるのでした。目立たぬ花こそ美しいーーそんなヒロインの恋物語です。

ウェイワードの魔女たちウェイワードの魔女たち

1619年、アルサは魔女裁判にかけられていた。 1942年、ヴァイオレットは、望まぬ妊娠と婚約に人生を奪われていた。 2019年、ケイトは恋人のDVから逃れ、大伯母の遺した屋敷に隠れていた。 身体を、運命を、自由を、取り戻せ。 「魔女」と呼ばれた一族の女たち。暴力と不条理からの解放を求めた彼女たちの戦い。時代の異なる三人の女性の視点で描かれた絆の物語。 英国で25万部超の鮮烈なデビュー長篇。 (原題 Weyward) 【著者略歴】 エミリア・ハート (Emilia Hart) オーストラリア、シドニー生まれ。ニュー・サウス・ウェールズ大学で英文学と法学を学んだのち、シドニーとロンドンで弁護士として働く。2023年に本作『ウェイワードの魔女たち』でデビュー。ニューヨーク・タイムズのベストセラーに入り、同年Goodreads Choice Awardsの最優秀デビュー小説賞と最優秀歴史小説賞をダブル受賞。 【訳者略歴】 府川由美恵 神奈川県出身。主な訳書にR.A.サルバトーレ「アイスウィンド・サーガ」シリーズ、C・ボグラー『作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造』、C・マッキャリー『上海ファクター』、B・ハーパー『探偵コナン・ドイル』など。

NHK「100分de名著」ブックス カフカ 変身NHK「100分de名著」ブックス カフカ 変身

著者

川島隆

出版社

NHK出版

発売日

2024年6月25日 発売

ジャンル

「朝目を覚ますと、自分が虫けらに変わっていた」--これって、もしかして私のこと? 主人公が「虫」になる小説の何がそんなにすごいのか? 2012年のテキスト刊行時は「自分を知るための鏡」として『変身』を紹介した著者だが、ポストコロナの現状を踏まえ、この作品は「個の孤立」だけでなく「家族の孤立」として読むことも可能だと説く。そこで書き下ろしの「ブックス特別章」では、ヤングケアラー、ビジネスケアラーの問題とからめた読み解きを試みる。カフカが遺したノートに「自分にあるのは人間的弱さだけ。だが、それは見方によっては巨大な力となる」という言葉がある。カフカ没後から100年、不安と孤独を抱える人が多い今、個の弱さを知ることで人と人とのつながりの大切さを考える「介護小説」として読み直す。 はじめにーーカフカを読むことは自分を知ること 第1章 しがらみから逃れたい 第2章 前に進む勇気が出ない 第3章 居場所がなくなるとき 第4章 弱さが教えてくれること ブックス特別章 ポスト・コロナの『変身』再読 はじめにーーカフカを読むことは自分を知ること 第1章 しがらみから逃れたい 第2章 前に進む勇気が出ない 第3章 居場所がなくなるとき 第4章 弱さが教えてくれること ブックス特別章 ポスト・コロナの『変身』再読

ポンペイ最後の日(上)ポンペイ最後の日(上)

ヴェスヴィオ山爆発で壊滅した古代ポンペイを舞台に才色兼備のギリシア人美女をめぐって青年貴族とエジプト人魔術師が対決する。魔術、占星術、魔女、媚薬、イシス女神を駆使し、人間の愛憎、キリスト教の黎明、殺人、剣闘士の死闘などを描く。発掘されたポンペイ遺跡の入念な調査に基づき、当時のローマ文化と風俗、ポンペイの退廃的な文化と生活を精緻かつ流麗に再現。優美な「悲劇詩人の家」や豪奢な「ディオメデスの別荘」での饗宴、公衆浴場での入浴、フォルトゥナ神殿や公共広場、円形闘技場の建築や剣闘士の闘技なども克明に描かれる。小説『ぺラム』で一世を風靡したブルワー゠リットンの織りなす波乱万丈の歴史小説。ヴィクトリア時代にゴシック小説を復活させたブルワー゠リットンは、本作でもゴシック手法を駆使して一大恐怖絵巻をくり広げる。ポーに影響を与え、探偵小説・スリラー小説・ファンタジー・SFの父と呼ばれたブルワー゠リットンのスリルとサスペンスにみちた不朽の名作が待望の完訳でここによみがえる。  本作品は数々の映画化により、世界的に有名な小説となった。だが、ヘンリー・ミラーが『ポンペイ最後の日』を「最も大きな影響を受けた一〇〇冊の本」の一冊に選んでいることからもわかるように、本作は単なる娯楽作品にとどまらず、人間の情熱、愛と死、信仰、人生哲学など、深甚な人間の諸問題をあつかう畢生の大作となっている。 上巻は全五部のうち第三部までを収録、

Radio Silence レディオ・サイレンスRadio Silence レディオ・サイレンス

NYタイムズ・ベストセラー作家 アリス・オズマンが描く アイデンティティ、多様性、選択の自由をテーマにした傑作、待望の邦訳! フランシス・ジャンヴィエは、学年トップの成績で生徒会長を務める優等生。ケンブリッジ大学に入学するために人生の大部分を費やしてきた。クラスメイトにはガリ勉で退屈な子だと思われているけれど、自分でもそのとおりだと思っている。フランシスには勉強以外で心から楽しめることがひとつだけある。〈ユニバースシティ〉というポッドキャストのドラマを聴くことと、そのファンアートを描くことだ。 アレッド・ラストは、男子校に通う物静かな秀才でイギリス国内でトップクラスの名門大学への進学が決まっている。彼が〈ユニバースシティ〉のクリエイター、レディオ・サイレンスであることは誰にも気づかれていない。 偶然にもフランシスとアレッドは共に人に知られたくない秘密〈ユニバースシティ〉でつながった。友情を深めていく二人だったが、ある出来事がきっかけでその関係が歪みはじめる。そしてフランシスとアレッドには、それぞれに向き合わなければならないことがあったーー

スウープ!スウープ!

ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来(スウープ)! 同日同時刻に諸外国から侵攻されて、足の踏み場もなくなった絶体絶命のイギリス。 祖国の命運を賭けて、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスが反撃を挑むーー 〈ジーヴス〉シリーズのウッドハウスが戦争と世相を笑い飛ばす、幻の快作。本邦初訳! 【ストーリー】 ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来! 偶然にも、同日同時刻に(・・・前段参照!)そうしたなか、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスは仲間とともに祖国を救うべく奔走する。 徒党を組んでイギリス包囲網を作る各国の将官を、偽情報を用いたり、劇場で騒ぎを起こさせるなどして、彼らを仲たがいさせ、軍隊を同士討ちさせる。 そうしてまんまと侵略者たちをイギリスから追い出そうとするーー 戦争小説の一種なのに「人が死なない」という点でも本作は異色。 戦争が起きて、爆弾が落ちても街では誰も死なず(なぜならみな、夏のバカンスに出かけていたから!)、侵略軍の将軍に人気が集まる(なぜなら彼らはミュージック・ホールの舞台に立ち、拍手喝采を集める人気芸人になったから!)。 世界観も設定も、いつもの「ウッドハウス・ワールド」。ウッドハウス作品を読み慣れた読者には、安心安全桃源郷として楽しめる、今こそ読みたい戦争コメディ小説。 【目次】 まえがき   第一部 侵略 第一章 イギリス男児の家   第二章 侵入者   第三章 イギリスの危機   第四章 イギリスの考え   第五章 ドイツ軍、ロンドンに到着   第六章 ロンドンへの砲撃   第七章 侵攻軍の会議   第二部 救世主 第一章 ボーイスカウトのキャンプにて   第二章 重要な取り決め   第三章 この状況の全体像   第四章 重要な知らせ   第五章 不和の種   第六章 砲弾   第七章 声   第八章 スコッチ・バーでの会談   第九章 大決戦   第十章 イギリスの勝利   第十一章 クラレンス 最後の局面   付録 次の侵略   アメリカへの軍事侵攻   第一部 驚くべき侵攻    第二部 失敗した侵攻   訳註   訳者あとがき   まえがき   第一部 侵略 第一章 イギリス男児の家   第二章 侵入者   第三章 イギリスの危機   第四章 イギリスの考え   第五章 ドイツ軍、ロンドンに到着   第六章 ロンドンへの砲撃   第七章 侵攻軍の会議   第二部 救世主 第一章 ボーイスカウトのキャンプにて   第二章 重要な取り決め   第三章 この状況の全体像   第四章 重要な知らせ   第五章 不和の種   第六章 砲弾   第七章 声   第八章 スコッチ・バーでの会談   第九章 大決戦   第十章 イギリスの勝利   第十一章 クラレンス 最後の局面   付録 次の侵略   アメリカへの軍事侵攻   第一部 驚くべき侵攻    第二部 失敗した侵攻   訳註   訳者あとがき

その猫の名前は長いその猫の名前は長い

「何がしきりにわたしたちを臆病者にさせるのだろう。わたしたちを絶えず孤立させ、ああはなりたくないと人に思わせ、軽蔑されやすい顔に変貌させ、何かを証明しなければと常にみずからを追い立てる。この病の名は何だろう。」(本文より) 子育てと家事の合間を縫って育んだ中年女性の友情に入る亀裂を描く「今日やること」、妻の外見を愛し内面を見ない夫の視点で描く「夏風邪」、女の惨めな学生時代を美化して記憶し同級生の男が映画を撮る「水の中を歩く」、冴えない女性社員が先輩社員に抱く淡い恋心を描く「その猫の名前は長い」など、生活のリアリティが滲み出る繊細な物語9作品。 主婦をしながら英米文学の翻訳家となり、アドリエンヌ・リッチやエリザベス・ビショップらに影響を受け小説を書いた著者の初邦訳。牧野美加の美しい翻訳文、大阿久佳乃による英米文学作品と本書の関わりを解き明かす大充実の解説(20P)付。 海が隔てる隣同士の国に暮らすあなたはわたしじゃない、でも、あなたはわたしでもある。社会の常識や家父長制に押しつぶされる痛み、その中でだれかと視線を交わし手を取りあうことの心強さとありがたさ。確かな細部と繊細な記憶を積み重ね描かれる本書は、正気を保つのが難しい世界に生きるわたしたちのための1冊だと思う。 小山田浩子(小説家) 「わたしたち」は単純ではない。それどころか、差異を抑圧する危険性もはらむ。「わたしたち」にならなくては「あいだの差異」をなくすことはできないが、「内なる差異」を抑圧しないため、「内なる差異」を意識的に見つめることを怠ってはならない。リッチも、ビショップも、イ・ジュヘも私もそれぞれの「位置」をもつ。差異を探るため、そしてその上でなぜ「わたしたち」を「わたしたち」と呼べるのか、呼ばなければならないかを見極めるため、彼女たちを読まなくてはならず、知識以上のものに面と向かわなくてはならない。 大阿久佳乃(解説より) 「今日やること」 「誰もいない家」 「夏風邪」 「わたしたちが坡州に行くといつも天気が悪い」 「その猫の名前は長い」 「水の中を歩く人たち」 「花を描いておくれ」 「春のワルツ」 「その時計は夜のあいだに一度ウインクする」 作家のことば 訳者あとがき 解説「わたしたち」になることに関する覚え書き(大阿久佳乃)

ADHDですけど、なにか?ADHDですけど、なにか?

日韓累計3万部!ベストセラー 第8回ブランチブック出版プロジェクト(韓国の大手IT企業Kakao Corpのブログサービス、brunchが主催する公募展)で大賞をとった話題作! 「スティーブ・ジョブズやエジソンもADHDだったらしいけれど、慰めにはならなかった。 iPhoneや電球に匹敵するような世紀の発明でもしない限り、彼らと同じだと喜べるはずもない。 希望が薄れるたびに、自分を愛せない人々が書いた文章を読みたくなった。 できれば未婚の韓国人女性で、自己愛に向かってよちよち歩きをしている作者の。 だけど、そんな都合のいいものはなかった。 世の中にあふれているのは「あなたがどんな人間でも、大切で美しい」といった楽観的な言葉で、 そんなものに私の心は安らげなかった。 中略 他のADHDの人も、私と同じように真っ白な夜と真っ暗な昼を過ごしているのだろうか。 親しげに、そして丁重にうかがい知るべく、まずは自分のことを書いた。」(「プロローグ」より) <目次> プロローグ 互いの苦痛を削って丸くなれますように C h a p t e r 1  ADHDの診断を受ける C h a p t e r2 大人のADHDとして生きていく C h a p t e r3 病院に行く C h a p t e r4 私が出会った世界ーー家族、恋愛、ネコ、友人 C h a p t e r5 私と書くことと他人 エピローグ なすすべもなく軋んでいた日々もすべてダンスだった プロローグ 互いの苦痛を削って丸くなれますように C h a p t e r 1  ADHDの診断を受ける C h a p t e r2 大人のADHDとして生きていく C h a p t e r3 病院に行く C h a p t e r4 私が出会った世界ーー家族、恋愛、ネコ、友人 C h a p t e r5 私と書くことと他人 エピローグ なすすべもなく軋んでいた日々もすべてダンスだった

グールド魚類画帖[新装版]グールド魚類画帖[新装版]

英連邦作家賞受賞作品 「ブッカー賞」を受賞した『奥のほそ道』が日本でも大好評を得た、タスマニア出身の鬼才による、「英連邦作家賞」受賞作品。 時代は十九世紀、本書の主人公「ウィリアム・ビューロウ・グールド」はイギリスの救貧院で育ち、アメリカに渡ってから画家オーデュポンから絵を学ぶ。しかし偽造などの罪で、英植民地タスマニアのサラ島に流刑となる。 科学者として認められたい島の外科医ランプリエールは、グールドの画才に目をつけ、生物調査として、彼に魚類画を描かせる。ある日、外科医は無残な死を遂げる。 グールドは殺害の罪に問われ、海水が満ちてくる残虐な獄につながられる。絞首刑の日を待つグールド……その衝撃的な最期とは? 歴史、伝記、メタフィクション、マジックリアリズム、ポストコロニアルなどの趣向を凝らした、変幻自在の万華鏡。奇怪な夢想と驚きに満ちた世界が展開される。 「大傑作」(『タイムズ』)、「『白鯨』の魚版」(『ニューヨーク・タイムズ』)など、世界で絶賛の嵐を巻き起こした、作家の代表作。 色刷り魚類画十二点収録。

【POD】『ダーバヴィル家のテス』とヤヌスの神話ーー双極のドラマトゥルギーの謎を解く【POD】『ダーバヴィル家のテス』とヤヌスの神話ーー双極のドラマトゥルギーの謎を解く

発売日

2024年6月20日 発売

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[商品について] ー『テス』に隠された双面神ヤヌスー 19世紀のイギリス文学を代表する小説の一つトマス・ハーディ作『ダーバヴィル家のテスーーヒロイン・テスの悲劇的な一生を描いた本作は、なぜか「門」や「出入口」などへの言及が多い。テスの運命を翻弄する二人の男の名前、クレアとアレックは、よく見ると一字違いのアナグラム(字句の入れ替え)。--これらは何を意味するのか? 筆者はそこにローマ神話の双面の門神ヤヌスの隠れた存在を見抜き、ヤヌスを鍵にして物語を読み解いていく。ギリシア・ローマ神話や聖書や、シェイクスピアやミルトンなど、西欧文化史を彩る多様な成果を縦横に駆使しながら、入念に織り上げたテクスチュアから立ち現れてくる、秘められた花にも似たテスのドラマをご覧ください。 [目次] 『ダーバヴィル家のテス』梗概ーー未読の方々のために 序章 コードとしてのローマ建国伝説とヤヌスの神話 (1)『テス』と西欧文化史 (2)『縛られたプロメテウス』から『アエネイス』、『ルークリースの凌辱』へ (3)『金枝篇』とヤヌスの神話 第1章 名前の〈二重性〉とアイデンティティ (1)ヤヌスとしてのクレアとアレック (2)「自身(セルフ)」をめぐる関係性の劇とアイデンティティ 第2章 アレックによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影 (1)冥界の地獄タルタロスへ (2)冥界からの帰還を願って 第3章 クレアによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影 (1)冥界の楽園エリュシオンの野へ (2)ふたたびタルタロスへ 第4章 悲劇の構造としてのヤヌス (1)プルトの王国にて (2)〈青鷺〉の町アルデアにて 第5章 復讐の政治学と魂の救済 (1)〈命名〉によるアイデンティティの支配と復讐 (2)ヤヌスの神話と楽園喪失・回復神話による〈戯れ〉と〈救済〉 注 引用文献(参照文献を含む) あとがき 電子版に寄せて──ヤヌスは顕現する 著者紹介 [担当からのコメント] 大学院生だった頃に『ダーバヴィル家のテス』を読んだ著者は、それから30年以上が経ったある日、当時お世話になっていた先生が不意に呟いた言葉を思い出し、それをきっかけに『テス』の世界へもう一度踏み込んでいきます。そんな著者の魂の研究成果とも言える本書、ぜひご一読ください。 [著者紹介] 安達 秀夫(あだち ひでお) 1947(昭和22)年12月、東京都生まれ。 中央大学文学部文学科英文学専攻卒業、同大学院文学研究科修士課程英文学専攻修了。元立正大学文学部教授。 著書 『「ダーバヴィル家のテス」とヤヌスの神話』、文化書房博文社、二〇〇〇年(単著/本書)。(以下は「分担」もしくは「項目」執筆) 『英米文学と言語』、ビビュロス研究会編、ホメロス社、一九九〇年。『異文化の諸相』、日本英語文化学会編、朝日出版社、一九九九年。『読み解かれる異文化』、中央英米文学会編、松柏社、一九九九年。『都市論の現在』、立正大学人文科学研究所編、文化書房博文社、二〇〇六年。『村上春樹 作品研究事典(増補版)』、村上春樹研究会編、鼎書房、二〇〇七年。『トマス・ハーディ全貌ーー日本ハーディ協会創立五〇周年記念論集』、日本ハーディ協会編、音羽書房鶴見書店、二〇〇七年。『フォークナー事典』、日本ウィリアム・フォークナー協会編、松柏社、二〇〇八年。『新たな異文化解釈』、中央英米文学会編、松柏社、二〇一三年。『文化学の境域』、中央英米文学会編、七月堂、二〇二〇年。その他、フォークナー、ヘミングウェイ、サリンジャー関係論文。 翻訳 レナード・ファインバーグ著『ユーモアの秘密』、共訳、文化書房博文社、一九九六年。

泣いたって変わることは何もないだろうけれど泣いたって変わることは何もないだろうけれど

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クオン

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2024年6月20日 発売

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消えゆくものたちの言葉を受け取って 誰もが抱える胸のうちや心象風景を やさしく繊細なことばで描き、 読者の圧倒的共感を得る詩人、パク・ジュン。 旅と生活の中からつむがれた 哀悼と悲しみ、愛情と慰めに満ちた散文と詩。 はじめに 陰 一部 あの年 仁川/あの年 慶州/ふたつの顔/生きつづける言葉/夜明けにかかってきた電話ー詩人 李文宰/待つこと、記憶すること/手紙/あの年 麗水/朝ごはん/季節の変わり目/雨/あの年 挟才/白く、か細いひかり/碧蹄行/涙と息づかい/夢見の部屋/体と病/ふたたび今は/孤独と寂しさ/旅と生活 二部 自分を好きになるとき/あの年 画岩/あの年 墨湖/昼 間の酒/心の廃墟/記憶の野原/海南から届いた手紙/泣くこと/屋上へと上がる階段/小説家 キム先生/あの年 恵化洞/音/関係/返信/愛の時代 三部 春を迎えに/小さなこと 大きなこと/ふたたび去りゆく花/あの年 幸信/ふさわしい季節/日常の空間、旅の時間/広場のひととき/劇薬と劇毒/初恋/傘と雨/寺/趣向の誕生/あの年 三陟 四部 仕事と貧しさ/不親切な労働/大人になるということ/孤児/ 酢醬油/もう泣かないで、父さん/手を振りながら/祝! パク・ジュホン 一歳/中央医院/スンデと革命/死と遺書/僕の心の年齢/時 おわりに あの年 蓮花里 訳者あとがき 訳注

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