小説むすび | ジャンル : 外国の小説

ジャンル : 外国の小説

白雪の英国物語白雪の英国物語

小さな宿を独りで切り盛りするアマベルが突然の嵐に心細い思いをしていた夜、オリヴァーという医師が部屋を求めてやってきた。彼の気さくで温かい人柄に安心感を覚えた彼女は、人生で初めて男性に憧れを抱いた。ある日、孤独に苛まれたアマベルが将来への不安に人知れず涙していると、そこへ偶然オリヴァーがやってきて…。(『聖夜に祈りを』)。薄暗い地下の使用人部屋で暮らす執事の娘アンジーは、屋敷の主の跡継ぎレオが妻子を亡くしたとき、慰めたい一心で彼に寄り添い、情熱を交わした。だが妊娠がわかると、出自不詳の子を孕んだ女呼ばわりされて追い出されてしまう。レオも、実の父も、かばってはくれず…。2年後、幼子を育てる彼女の前に、レオが現れた!(『永遠のイブ』)。イアンだわ!クリスマスの集まりで、ジュリアはずっと想いつづけてきた美しい貴公子を見つけて思わず声をあげた。4年ぶりの再会。彼は事故で瀕死の傷を負って以来、社交界から姿を消していた。ジュリアは喜び勇んで駆け寄ったが、彼の手には杖が握られ、顔も堅苦しいまま。まぶしかったあの笑顔はどこへ行ってしまったの?(『秘めつづけた初恋』)。

ナニーと聖夜の贈り物ナニーと聖夜の贈り物

私にはもう、限られた時間しかない。 だから、最後で最高のクリスマスを。 「ここで子供たちのお世話をするのが本当に楽しみです」 青白い顔のエマがほほえむと、医師のアダムは冷ややかにうなずいた。 3年前の12月に妻に先立たれて以来、この時季はいつも不機嫌らしい。 おかげで幼い双子は家族でクリスマスを祝ったことがないという。 そんな彼らの屋敷に住み込みのナニーとして雇われたエマは、 実は難病の治療が一段落したところで、密かに死を覚悟していた。 全力で双子を愛し、懸命に楽しいクリスマスを贈ろうとするエマに 怒りを見せるアダムだったが、やがて彼女の優しさに癒やされていく。 これが私の人生最後のクリスマスなら、最高のものにしたい。 そう強く心に願ったエマは、彼に無私の愛を捧げるが……。 心を閉ざしたアダムにもう一度生きる喜びを感じてほしいというエマの思いが実り、一家は幸せに包まれます。しかしほどなくエマの病気の治療結果が明らかになり……。クリスマスの小さな奇跡を集めて美しい光を灯したような、可憐なシンデレラストーリーです。

数学者の朝数学者の朝

出版社

クオン

発売日

2023年11月10日 発売

ジャンル

見えない場所、聞こえない声、いまだない言葉 語りえない物語のために 詩が広く愛されている韓国において 文学性と社会性を兼ね備え、深く心に刻まれる詩を紡ぐ キム・ソヨンの単著詩集を初邦訳。 韓進自動車の労働者の闘争に寄り添って書かれた「主導者」、 映画「詩人の恋」で朗読された「だから」など、49編を収録。 第八回日本翻訳大賞受賞作『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』の監訳者 姜信子による翻訳でお届けします。 「詩は読み解くものではなく、生きるもの。  埋めるべきものがあるとすれば、  それは、詩を生き、旅を生きる自分自身の空白なのですから。  この詩集を手に取って旅人となったあなたも、それは同じ。  今さら気づいても、もう引き返せない。  (ああ、なんてこと、キム・ソヨン!)」 ーー姜信子(訳者あとがきより) ーーーーーー 「セレクション韓・詩」は、 韓国語で紡がれた同時代の詩のことばを贈るシリーズです ーーーーーー 第一部 遺書なき皮膚を軽蔑します 陰/ああ、バートルビー/主導者/数学者の朝/だから/おもちゃの世界/平澤/そういうこと/定食/愛と希望の街/オキナワ、チュニジア、フランシス・ジャム 第二部 痛みは若葉の色に 旅人/ひとり/反対語/激戦地/痛みは若葉の色に/ワンルーム/一味ども/夜明け 第三部 便りが必要 熱帯魚は冷たい/重なりあう椅子/望遠洞/外に生きる人/郵便受け/噓/ほこりの見える朝/誕生日/風船人間 /坑/別れる者のように/内面の内情/誰かが隣でしきりに問いかける/ふたり/秘密の花園/傾きについてーシン・ヘオクに 第四部 河と私 異邦人になる時間/河と私 第五部 遠い場所になりたい 未来が降りそそぐなら/失敗の場所/ふとんの不眠症/広場の見える部屋/幸いなること/メタファーの質量/終バスの時間/在ること、成ること/二十回の二十歳/ほんとにほんとに楽しかった/ガリバー/玄関 解説 凛々しく悲しくーーファン・ヒョンサン 訳者あとがき ああ、なんてこと、キム・ソヨン!

朝鮮の抵抗詩人朝鮮の抵抗詩人

著者

金正勲

出版社

明石書店

発売日

2023年11月9日 発売

ジャンル

苛酷な日本の植民地支配に抵抗した詩人たち。学生運動のなかから生まれた若き詩人、「満洲」地域で生を受け、二重のディアスポラとして朝鮮語の叙情性を極めた詩人……。その文学の軌跡と現代への影響を韓国・北朝鮮・中国・日本の文学者・研究者たちが描く。  まえがき 第1部 学生運動と抵抗詩人 朝鮮南部の抵抗作家、李石城を読むーー発掘の意味をこめて[金正勲]  はじめに  1 李石城は何者か  2 発掘された詩から映し出されるもの  3 日本の思想家から朝鮮の思想家へ  4 『堤防工事』のテーマと意義  おわりに 『堤防工事』[李石城(金正勲 訳)] 朝鮮植民地期のアナキズム独立運動[亀田博] 鄭瑀采の活動と詩篇に表れる抵抗精神[金正勲]  はじめに  1 鄭瑀采の成長過程と文壇デビュー  2 「醒進會」活動と投獄  3 凄絶な生きざまの現場と自我省察の歌  4 詩文にみられる抵抗精神  おわりに 歴史的人物、朴準埰の書き残した詩篇に関する考察ーー早稲田大学留学時代の作品を中心に[金正勲]  はじめに  1 詩ノートの実物  2 家族愛と故郷愛を描いた詩  3 早稲田大学留学時代の詩  4 抗日的抵抗詩  おわりに 朴準埰の発掘詩紹介[金正勲 訳] 第2部 抵抗から独立へ 尹東柱ーー詩による抵抗の充実と苦悩[愛沢革]  1 尹東柱の詩を新しい眼で読みなおすことが問われている  2 尹東柱は情感偏重の抒情詩人ではないーー金時鐘による尹東柱批評の意味  3 尹東柱と宋夢奎 李相和ーー抵抗と復活の世界性[佐川亜紀]  1 代表作「奪われた野にも春は来るのか」の生命表現ーー女性表象をめぐって  2 世界的な問い  3 虐げられた人々への共感  4 作品「詩人に」--創造への呼びかけ 植民地時代の朝鮮における『国民文学』[渡邊澄子] 二重のディアスポラ、尹東柱[崔一]  1 尹東柱の発見  2 「満州」という空間と韓民族アイデンティティ  3 「満州」の不在と抽象的な故郷  4 「二重ディアスポラ」の漂流する故郷  5 「国民」という記標を持つ者と持っていない者 尹東柱の児童詩とその文学史的意義[金萬石]  1 尹東柱の児童詩学習と創作  2 尹東柱の追求した児童詩の形態  3 尹東柱児童詩の思想・美学的価値  4 結論 李陸史の文筆活動と詩[ハン・ジュンモ] 歴史における詩的参与[文炳蘭]  1 詩の機能  2 歴史と詩人  3 真実の詩と虚偽の詩 第3部 付録・関連短文  李石城の新発見日本語詩稿に出会ってーーその驚きと感動の言葉[金正勲]  雪の降る凍土にも花は咲くかーー出来損ない息子の想父曲[李明翰]  李石城ーー抵抗詩から抵抗小説へ[金正勲]  朴準埰の発掘詩ーー「KBSラジオインタビュー(光州放送局)」[金正勲]  鄭瑀采の生涯と文学[金正勲]  朝鮮近代文学のパイオニア、趙明熙[金正勲]  あとがき

森のロマンス森のロマンス

都パリを逐電したラ・モット夫妻は、荒野の一軒家で保護した美しき娘アドリーヌとともに、鬱蒼たる森の僧院に身を隠す。彼らを待ち受けるのは恐るべき悪謀ーー 今なお世界中で読み継がれる名著『ユドルフォ城の怪奇』に先駆けて執筆され、著者の出世作となったゴシック小説の傑作。刊行から二三二年を経て本邦初訳!  袖口にスリットが入ったグレーのキャムレットの衣装は、彼女の容姿を引き立てこそすれ、飾り立てるものではなかった。開いた胸元には乱れた髪が覆いかぶさり、慌てて纏った軽いベールは、混乱していたためか、上げられたままになっていた。(…)この荒涼とした家、そしてそこに巣くう粗暴な輩たちとはあまりに対照的な、優雅で洗練されたその様相を見るにつけ、彼は、これは実人生での出来事というよりは、想像力が生み出したロマンスなのではないか、という気がしてくるのであった。彼は何とか彼女を慰めようと努めたが、その誠意あふれる同情心に疑いを差し挟む余地はなかった。娘の恐怖心は徐々に収まってゆき、悲しみと同時に感謝の念も湧き上がってきた。 「ああ、ありがたや……」彼女は言った、「わたしをお救いくださるために、天が貴方様を遣わしてくださったのですね……どうか貴方様に神の報いがございますよう……わたしには貴方様以外、この世に一人の味方もないのです……」(本書より)

人間の彼方人間の彼方

わたしたちには人間である勇気があるか?  2020年春のロックダウン下のドイツを舞台に、自分とは異なる境遇の相容れない人間との一風変わった交流と友愛を、ウイットに富んだリズミカルな文体で描くウィズコロナ小説。 ベルリンの広告代理店でコピーライターとして働く36歳のドーラは、愛犬を連れて田舎の小さな村ブラッケンに逃げてきた。表向きはロックダウンした都会から人の少ない田舎に避難したようにみえるが、本当の理由は別にある。環境問題にのめりこむパートナーとの間にはしばらく前から隔たりができていて、コロナを機に過激の度合いを増す彼の態度に辟易したドーラは、彼と距離を置くことにしたのだ。のどかな田園生活を夢見ていたドーラだが、隣人のゴートはスキンヘッドのマッチョなネオナチで、もとは空き家だったドーラの家の鍵をまだ持っていて、勝手に出入りするなど、ひと筋縄ではいかない村人たちに振りまわされることになる。ゴートは無愛想ながらドーラにベッドを作ってくれたりといろいろ親切にしてくれるが、ドーラは心情的に受け入れることができない。しかしある事をきっかけにドーラの心は変わりはじめる。 ドイツ100万部超のベストセラー! ドイツ最大の人気作家のひとりユーリ・ツェーが描くウィズコロナ小説。 初の本格コロナ小説。2020年春のロックダウンの最中を描く。パンデミックが及ぼした影響を社会のレベルと個人のレベルで克明に描き切っている。 ーー「南ドイツ新聞」イェルク・マーゲナウ評 この小説を心の底からすべての人に薦める。さまざまな集団のあいだに存在する数々の壁を壊すために。 ーーベルリン=ブランデンブルク放送、フランク・ディーチュライト評

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