ジャンル : 外国の小説
刑務所から出た18歳のエメットは、母が暮らしているはずのサンフランシスコに車で弟と向かうことに。だが、その車はエメットの悪友二人に奪われてしまう。車を取り戻すためエメットはNYに弟と向かうがーー。10日間の少年4人の旅と成長を描く傑作ロードノベル
「何が起こったのかまったく知られていなかった。宣教師たちの手紙はどれも寡黙だったし、それを否定できたかもしれない数少ない文書は削除され、あるいは失われてしまった。確実に知られていたのは、ヨーロッパ人が日本で茶の湯という不可解な儀式を発見したということだ」。 時は1579年(天正7年)。大航海時代のイエズス会宣教師アレッサンドロ・ヴァリニャーノと東方貿易商人のアルヴィーゼ・モーロ。戦国時代の日本にたどり着いた二人のイタリア人の思惑と行動が、西洋(キリスト教)と東洋(茶の湯、禅仏教)の最初の出会い、そしてその後の断絶をもたらした。大友宗麟や高山右近といったキリシタン大名をはじめ、織田信長、千利休、豊臣秀吉との息詰まる交渉も描く、壮大な歴史小説。 第一の壺 一五七九年ー一五八〇年 第二の壺 一五八〇年ー一五八二年 第三の壺 一五八二年ー一五八八年 第四の壺 一五九一年ー一五九二年 小説について 訳者あとがき
アメリカ南部の小さな町に、突然現れた“ピュウ”。見かけからは人種も年齢も性別もわからず、名前や過去についても一切語ろうとしない“ピュウ”の存在は、町に静かな波紋を広げる。執拗に“ピュウ”の正体を探ろうとする者、口もきかない“ピュウ”に長年の苦しみや秘密を打ち明ける者ー。沈黙を守る一方で、鋭い観察者である“ピュウ”の目には、親切で信心深い人々の欺瞞、怯え、残忍さが容赦なく映し出されていく。やがて町の恐ろしい一面が明らかになり…。気鋭の作家が謎めいた語り手を通じて描く、奇妙で恐ろしい現代の寓話。
三世代の女性の日常を繊細な筆致で描いた名作「プレリュード」。生前には出版されなかったそのロング・ヴァージョン、初の邦訳。 アロエ ケザイアとトゥイ パットのこと 遠い場所、遠い声ー『アロエ』解題
魔法は破られるようにできているの。 でも、約束はそうじゃない。 世界幻想文学大賞に7回、 シャーリイ・ジャクスン賞に4回、 MWA賞、ネビュラ賞など数多の賞に輝く 現代幻想文学の巨人による 郷愁と畏怖と偏愛に満ちた14篇 アコースティックギターの調べは、ぼくの目の前に金色の雨として現われる。指で絹をなでたときには、レモンメレンゲの風味とねっとりした感触を舌に感じる。ぼくは「共感覚」と呼ばれるものの持ち主だったーーコーヒー味を通してのみ互いを認識できる少年と少女の交流を描くネビュラ賞受賞作「アイスクリーム帝国」、エミリー・ディキンスンが死神の依頼を受けて詩を書くべく奮闘する「恐怖譚」、マッドサイエンティストが瓶の中につくりあげたメトロポリスの物語「ダルサリー」、町に残される奇妙なしるしに潜む魔術的陰謀を孤独な男女が追う表題作ほか、繊細な技巧と大胆な奇想に彩られた全十四篇を収録する。 ■目次 「アイスクリーム帝国」 「マルシュージアンのゾンビ」 「トレンティーノさんの息子」 「タイムマニア」 「恐怖譚」 「本棚遠征隊」 「最後の三角形」 「ナイト・ウィスキー」 「星椋鳥(ほしむくどり)の群翔」 「ダルサリー」 「エクソスケルトン・タウン」 「ロボット将軍の第七の表情」 「ばらばらになった運命機械」 「イーリン=オク年代記」 編訳者あとがき
かつて彼は稲妻のように現れて消えた。 16歳だった私に小さな命を授けて。 ヘリコプターが着陸し、アリシアは必死に仕事用の顔を作った。 彼女を待っていたのはスペイン富豪グラシアーノーー 10年前に純潔を捧げて以来、一度も会っていなかった男性だ。 機体から降りようとしたアリシアは緊張のあまりぶざまに転び、 グラシアーノに抱きあげられて彼の家へ運ばれた。 手当てをされる間、アリシアは10年前に戻った気分だった。 相変わらずグラシアーノは自信と気品にあふれている。 でも以前、この人は私に「二度と電話をするな」と言った。 だからグラシアーノは知らない。一度だけ結ばれたあの夜、 私が妊娠したことも。彼には今、9歳になる娘がいることも。 妊娠を知った父親に捨てられてから、ヒロインはシングルマザーとして必死に我が子を育ててきました。再会後、なにも知らないヒーローに娘がいると伝えようとしますが、親権を奪われるのが怖くて……。C・コネリーが描き出す愛憎渦巻く激情ロマンスをどうぞ。
王子が望むのは、おなかの世継ぎだけ。 私の愛が届く日は絶対に来ない! イギリスから逃げるようにリネア王国へ移り住んで7年、 クララは遠からず国王となるアラリックに仕えているーー ひそかな想いをずっと押しころしながら。 だが、彼が資産家令嬢との政略的な婚約を破棄した夜、 クララはほとばしる情熱を抑えきれず、身を捧げてしまう。 5週間後、妊娠が明白になると、彼は非情な結婚を申し出た。 「きみを愛せないが、子どもには王位を継がせたい」 彼女は冷徹な言葉に傷ついたが、我が子のため求婚を受け入れた。 ハネムーン先で恐るべき試練が待ち受けているとも知らず。 確かな描写力と抜群の構成力で人気急上昇中のエミー・グレイソン。暗い過去を引きずるイギリス人ヒロインと王族としての義務を最優先する傲慢ヒーローの、契約結婚ロマンスをご堪能ください。
「あなたの身代わりで見知らぬ人と結婚しろというの?」双子の妹からの懇願に、アリッサは仰天した。大富豪セルゲイ・アントーノヴィッチ。彼が期限付きの花嫁を募集していると知った妹は、姉の経歴を詐称して応募したらしい。審査を通り、すでに受け取った多額の契約金は母のために使い、恋人の子を妊娠した妹は追いつめられ、泣きついてきたのだった。これは家族を守るためよ。アリッサは覚悟を決めたー契約には、子づくり必須の条項があるとも知らぬまま。夫セルゲイに魅了され、思いがけず身ごもった彼女は、出産後は用済みで契約終了だと聞き、ショックで家を出るが…。
子どものためだけの期限付き結婚に、 身も心も結ばれる可能性はない……。 ラーナはヴァレンテ社重役のボスーーマットに夢中だった。 その端整な容貌と自信に満ちた態度は、全女性の憧れの的だから。 ある夜、マットに誘惑され、夢のような一夜を過ごしたものの、 妊娠に気づくと、彼に何も言わず会社を去って赤ん坊を産んだ。 1年半後、突然マットが家に現れ、ラーナは驚きに言葉を失った。 名うてのプレイボーイであるマットは、 結婚するつもりも父親になるつもりもないはずなのに! ところがマットは赤ん坊に自分の誇り高き姓を与えるため、 1年限りの結婚をラーナに提案し、拒むなら法に訴えると脅した。 寄る辺のないラーナは式場で誓いのキスを交わすしかなく……。 マクシーン・サリバンの持ち味は、巧みな心理描写と起伏に富んだストーリー、そして、とびきりセクシーな愛の表現です。形だけの結婚をしたヒーローとヒロインに訪れるのは、はたしてどんな結末でしょうか? 最後まで一気読みしてしまう名作をお見逃しなく!
言えない。絶対に言えない。 彼の知らない、小さな宝物のことは。 アイリスは幼くして親に捨てられ、子供のいない夫婦の養女となるも、 養父母に悲願の実子が生まれると厄介者扱いされるようになった。 愛のある家庭に人一倍憧れたアイリスは、23歳でラクランと結婚した。 しかし子供ができず、養子を迎えようという夫の提案も、 不遇な養女だった自らの過去を告げられぬまま拒み、離婚したのだった。 あれから8年。今、アイリスが働く病院に、 3カ月の短期契約で新しくやってきた医師に、彼女は驚いた。 離婚以来ずっと音信不通だった元夫、ラクランが現れたのだ! アイリスの胸はちくりと痛んだーー彼と家族になれなかった過去に。 そして、今は独りで7歳の愛娘を育てているという秘密に。 心の機微を巧みに描き、最後には読み手をほろりとさせる物語で大人気のS・ウィルソンの感動作をお贈りします。8年前と変わらずハンサムで誠実なラクランと再会し、二人の時間を過ごすうち、アイリスは彼を愛している、いや、ずっと愛していたことに気づき……。
彼のあの甘美な仕打ちを 忘れたことは一度もない……。 故郷ジェイコブズビルに戻ってきた小学校教師のサリーは、 事故で失明したおばとその幼い息子の面倒をみている。 ある日、二度と会いたくなかった相手、エビニーザと再会した。 6年前の春、10代だったサリーは憧れていた彼に、 ドライブデートに連れていってほしいとお願いした。 意外にもエビニーザはすんなり聞き入れてくれたが、 30分後、サリーは彼の車の助手席から逃げ出すはめになったーー 年上の彼の強烈すぎる男性的魅力と強引さに恐れをなして。 無垢な彼女にとって、あのことはいまだに深い心の傷となっていた。 それなのに、エビニーザは何事もなかったかのように接近してきて……。 HQイマージュ〜至福の名作選〜より、巨匠ダイアナ・パーマーの不朽の名作をお贈りします。表向きは牧場主、本当の姿は百戦錬磨の傭兵ーーそんな男の中の男、エビニーザが本作のヒーロー。6年前、若くて純真なサリーをあえて怖がらせて遠ざけた彼の本心は?
愛する人の愛人にはなりたくない。 でも、せめてつかの間だけでも愛されたい。 両親に家を追い出されて以来、イギリス中をさまよったケイトは、 半年前にとうとう無一文になってしまった。 運よく、湖水地方にある主人不在の伯爵邸で家政婦の仕事を得て、 ほかの使用人と屋敷の切り盛りをしながら平和に暮らしていた。 だがある日、主人である伯爵ヘンダーソン卿が突然イタリアから帰国。 2人の妻を妊娠と出産で亡くした過去を持つ彼は、 不幸な思い出の残る屋敷を売り払うために帰ってきたのだ。 ケイトは思いとどまらせるため、伯爵を楽しませようと心を砕くうち、 いつしか密かな恋心を抱くようになっていった。 そうとも知らず、彼はケイトにひとときの愛人契約を持ちかけて……。 伯爵に想いを寄せるケイトは、愛人になるのを一度は断りながら、彼が滞在している間だけでも愛されたいと思い直して応じることにしますが……。それぞれ悲しい過去を背負うヒーローとヒロインの心情を繊細に丁寧に描いた、ローラ・マーティンの日本デビュー作!
恋の喜びが一転して、 愛の苦しみになるなんて……。 外科医の娘カサンドラは馬車に乗っていたある朝、不穏な銃声を聞いた。 見ると、整った鼻筋と官能的な唇を持つ優美な男性が倒れていた。 痛みに顔を歪めながらカーロウ伯爵と名乗った彼に、応急処置を施す。 カーロウ伯爵といえば、傲慢で、ロンドン中の美女との噂がある男性だ。 とても魅力的だけれど、私とは住む世界の違う人だわ……。 しかしその後、カサンドラの妹がカーロウ伯爵のいとこと駆け落ちし、 彼女は伯爵と一緒に、いなくなった二人を追いかけることになった。 しだいに惹かれ合い、カサンドラは生まれて初めての恋をしたーー 伯爵が彼女を誘惑できるか友人と賭けをしていると、 偶然立ち聞きしてしまうことになるとも知らずに……。 明るく華やかな英国摂政期を舞台に繰り広げられる恋を描くリージェンシー・ロマンス。なかでも実力派ヘレン・ディクソンが生むヒロインはとてもけなげで好感度が高くて人気です。本作のヒロイン、カサンドラも正義感が強くて賢く、好きになること請け合いです!
友人の結婚式と仕事のため、異国の地を訪れたキーラ。豪華ホテルでの式が終わり、中庭で披露宴が始まる前のこと。穏やかな低い声がして振り向くと、長身で黒髪の美男が立っていた。これほどの色気を放つ男性に会うのは初めてだわ…。言葉を交わすうち、抗いがたい魅力に惹きつけられ、気づけば彼に唇を奪われていた。ああ、なんということを!娼婦の娘と蔑まれてきた生い立ちから、男性とは関わらないと誓っていた。破滅の予感に怯え、キーラは彼の腕を振り払ってその場を逃げ出した。ところが翌日、仕事の依頼でさる宮殿に足を運んだ彼女を迎えたのは、なんとキスの相手ー現代のマハラジャと名高い実業家ジェイだった!
私を人生から追い出した傲慢富豪との再会。 私の息子の父親はあなた、なんて言えない! エンリコの恐ろしい形相に、フレイアは2歳の息子の手を強く握った。 3年前まで彼女はイタリア大富豪エンリコのもとで秘書として働き、 彼の自宅に住み、彼のベッドで眠る関係だった。 だがある日、エンリコのいとこがフレイアのいるベッドに入り込み、 その瞬間を、出張から戻ってきたエンリコに目撃されてしまった。 むりやり迫られただけだったのに、エンリコは話を聞こうともせず、 無情にもフレイアを家から、そして人生から追い払ったのだった! 今、彼女の小さな息子を見たエンリコが言った。「この子は僕の子だ」 フレイアが弱々しくも否定すると、彼は無慈悲な悪魔のように告げた。 「嘘をつくな、冷酷な女め。この報いは必ず受けてもらうからな」 フレイアの勤め先の会社を最近買収したばかりのエンリコ。会社のロビーで偶然再会したかつての秘書兼恋人が小さな男の子を連れているのを見て、我が子だと直観します。けれども、いとこと彼女が浮気したと思い込んでいるため、いとこの子の可能性も考えて……。
【内容紹介】 「ミス上海の死」を描いた、中国文学の記念碑的作品、待望の邦訳! 茅盾文学賞受賞 上海の街を舞台に、美しき主人公・王キ瑶(ワン・チーヤオ)の青春から死に至る四十年を描く長編小説。1940年代の虚栄の繁華、50〜60年代の困窮と苦難、そして80 年代のロマン的悲劇まで、恋多き主人公の人生を通して、上海という街の繁栄と虚栄が描かれる傑作。 【作者の言葉】 『長恨歌』は、とてもとても写実的な作品です。 その中で私は、一人の女性の運命を描きましたが、 事実上、この女性は都市の代弁者にすぎません。 私が描いたのは、実のところ、 「上海」という都市の物語なのです。 ーーー 王 安憶 【推薦文】 ずっと読みたかった傑作小説の邦訳がついに! 王安憶のカメラアイが弄堂(ロンタン)を、路地を、旧フランス租界のアパートをくまなく旋回し、 わたしたちは「上海の淑女」の生きた四十年の虜(とりこ)になる ーーー 中島京子(小説家) 〔目次〕 第一部 第二部 第三部 二十八年を振り返って --- 日本語版後記 王 安憶 『長恨歌』と王安憶について 飯塚 容
「不幸を呼ぶ子」と忌み嫌われる少女が、揺るがぬ友情を手にしたとき、いかなる力を発揮するのか。ファシズムが台頭するイタリアで、境遇も性格も正反対の二人の少女が出会い、社会の理不尽に立ち向かう様子を描いた傑作。
迷宮のような路地で見つけた写真集、不死の老人、ショアの記憶、聖書物語など、イスラエル文学紹介の第一人者による日本語版オリジナル・アンソロジー。ウーリー・オルレブ(国際アンデルセン賞受賞)、シャイ・アグノン(ノーベル文学賞受賞)など、世界が高く評価する作家の傑作を精選。
本書は、生誕250周年を迎えるドイツ・ロマン主義の作家ティークが1798年に出版した代表作。同じロマン派の作家E.T.A.ホフマンや画家ルンゲらに大きな影響を与えた歴史的古典であり、本邦初訳となる。 1520年頃と思われるドイツ・ネーデルラント・イタリアを舞台として、ニュルンベルクに住む高名な画家デューラーの架空の弟子フランツ・シュテルンバルトが、画業の腕を磨くため遍歴の旅に出る。画家や詩人をはじめさまざまな人物から刺激を受け、若き芸術家として成長していく。 芸術家としての自意識を持つ主人公が様々な出来事を経験し、その職業についての考えを深めるという「芸術家小説」の”元祖”であり、芸術観や芸術家像などをめぐり、あらゆる時代の芸術家志望の若者の心を打つ。 主な登場人物 まえがき 第一部 第一巻 第一部 第二巻 第二部 第一巻 第二部 第二巻 訳注 訳者解説