小説むすび | フェアリー・テイル 下

フェアリー・テイル 下

フェアリー・テイル 下

僕はこの旅を続ける、大事な友を救うために。
 二つの月の輝くこの世ならぬ王国へと。
 そしてあなたが最後に目にするのは
 もちろんお待ちかねのハッピーエンドだ。

 長い長い階段を下り、ぼくがたどりついた土地の名はエンピス。罌粟の花が咲き誇り、夜になれば天穹を双子の月がまばゆく照らす。目指すは王都リリマー。その王宮には、時間を逆行させる力のある巨大な日時計があるという。レイダーをそこまで連れてゆき、愛すべき老犬の命を救うのだーー

 だが今や王宮は〈飛翔殺手〉なる者に簒奪され、王族は呪いをかけられて宮殿から追放されていた。ぼくはレイダーのために擁壁を越え、〈夜影兵〉が警護し、北方の巨人が徘徊する王都の迷宮に踏み込んだのだがーー

 地上最強のストーリーテラーが、その奇想を奔放に解き放って描き出す異世界、怪人、怪物、そして愛すべき仲間たち! 怪奇と幻想の伝統にリスペクトを捧げ、作家生活五十年を迎えた巨匠が贈る渾身のフェアリー・テイル。

 物語を愛するすべての人に捧げる巨匠の新たなる名作誕生。

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巨匠、作家生活50年。  名作の開幕の時がきた。  暗い時代に自分が書ける楽しい物語とは何か?  帝王キングが出した答えが本書だ。  世界最強の想像力が生んだ、異世界の冒険がはじまる!  ぼくの住む町には〈サイコハウス〉と呼ばれる不気味な屋敷がある。そこに住むのは偏屈な老人がひとり、閉ざされた門を越えると猛犬が襲ってくるという。ある日、悲しげに鳴く犬の声に気づいたぼくは、屋敷の主が梯子から転落して苦しんでいるのを発見した。 これがぼくとミスター・ボウディッチ(と、犬のレイダー)の出会いだった。  怪我をした老人の世話をするため家の立ち入りを許されたぼくは、ボウディッチ氏やレイダーと心を通わせはじめる。噂とは裏腹に老人も犬も恐ろしくはなかった。だが、徐々にぼくは奇妙なことに気づきはじめる。家の裏手から妙な音がときどき聴こえてくるのだ。ボウディッチ氏が奇妙に裕福なのも謎だった。そしてある日ぼくは、氏が大量の黄金の粒を金庫に入れていることを知ったーーこれはいったい何か? どうやって老人はこれを手に入れたのだろう?  謎が謎を呼び、ぼくは徐々にボウディッチ氏の秘密に近づいてゆくが、この先で待っているのが、この世ならぬ異世界での大冒険だとは、思いもしなかったのだ!  絶望に閉ざされたコロナ禍に、巨匠は自身にこんな問いを投げたーー  What could you write that would make you happy?  自分が楽しくなる物語。あるいは暗く先の見えない時代にみんなを元気にする物語。  さあ、自分ならどんな物語を書く?  その答えが本書である。  だから最後に待つのはもちろんハッピーエンドなのだ。 2025/04/25 発売

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