出版社 : かもがわ出版
私は66歳。孫の世話に明け暮れているある日、幼なじみの中谷クンがボリビアに移住するというニュースが飛び込んできた。中谷クンは、2000年に自著を贈ってくれていた。もしや幻の名作かも。「かゆみ」に着目して、被爆者と子どもたちの出会いを描くというアプローチは、なかなか新鮮だった。私は初めて被爆者の人生を意識できたのかもしれない。
英米文学研究者・吉田新一の横顔をご紹介するとともに、次世代へ手渡したい「本の楽しさ」について綴ります。エッセイ第3弾。英文学者で翻訳家の百々佑利子さんとの対談も収録。 はじめに 魔法をかけられたときのこと 一吉田新ーさんとの出会い一 物語るイラストレーションってどんなもの? -コールデコッ卜の絵本の楽しみ方ー ピーターラビットと私 読めば読むほど・知れば知るほど 自分好みの読み方を見つけよう! 本が好き、でも本だけが特別じゃない ときには寄り道したくなる 一思春期のこと一 すてきな人におすすめされると、本はもっとおもしろくなる 非日常と日常が交差するとき 本を読むことってなにかの役 にたちますか? ただいま奮闘中 一新聞連載のこと一 本をこどもに手渡すということ 対談: 百々佑利子(翻訳家) x 越高綾乃 おわりに
「幼年童話に慣れ親しんだことが、長い読み物を読むためのステップになっていた」という著者が、当時の気持ちを丁寧に振り返ります。 ひとりの子どもが「物語」と出会うとき、その内面でなにが生まれるのか。子どもと本をつなぐためのヒントが詰まった、ブックガイドにもなるエッセイ集です。 はじめに 冒険のはじまりはぬかりなくーーエルマーのぼうけん みんなのあおぞらようちえんーーおおきな おおきな おいも いつでも遊びに行ける場所ーーおひさま はらっぱ 「悪い子」だからこそ愛おしいーーきかんぼのちいちゃいいもうと 見守られている安心感ーーこぐまのくまくん 大切なものはずっとそばにあるーージェインのもうふ モヤモヤした感情の心強い代弁者ーーちいさいモモちゃん にんまり余韻に浸るーーどろんここぶた 「わたし、ちゃんと最後まで読めたよ」--はじめてのキャンプ 紙とクレヨンがあったら、なにつくる?--ももいろのきりん のんびり、ぽわぽわ へなそうるワールドーーもりのへなそうる ごっこ遊びの天才ーーロージーちゃんのひみつ いつだって「これが私!」--ロッタちゃんのひっこし こんなのあり? 型やぶりなヒーローーーロボット・カミイ 姉妹っていいな!--雪の森のリサベット 「いまの自分」を映す存在ーー百まいのドレス *コラム* 読んでもらう楽しさ、自分で読む楽しみ みんなと一緒に読んでもらうこと 本とごっこ遊びの関係 もう手に入らない本のこと *対談* どんな本が好きだった? ななちゃん×越高綾乃
実在する版元を舞台にした実験的ユーモア小説。『君たちはどう生きるか』の吉野源三郎の志を受け継ぎ、理想の職場をめざした人々の夢と葛藤とーーーー。新人の女性コンサルタントがその軌跡を探索する中で名著も次々登場し、戦後の日本を映し出します。
信州から満州、明治から今日までを舞台に、戦争と激動の時を越え、愛と不屈の精神が織りなす人間讃歌。そして今、若者たちの「武器よさらば!」の歌声が響く。元特攻志願少年、米寿を迎える著者渾身の「遺言書」。
読み直し文学講座 プロレタリア文学者・小林多喜二の『蟹工船』『不在地主』を読み直す。階級的対立を取り扱った内容面と共に、文学的表現でも当時の最先端の試みが伺える。 《小林多喜二『蟹工船』》 第1章映画的手法を取り入れた多喜二の筆力 第2章今の時代に生きる作品として読み継がれる魅力 《小林多喜二『不在地主』》 第1章前駆作『防雪林』から『不在地主』への進化とは 第2章集団を記号化して資本主義社会の本質を描く前衛的な試み
気楽な気分で読める海外児童文学案内 パディントンやピッピにローラ、マーニー、アントンなどなど、子どもの頃から現在に至るまでずっと読んできた海外の児童文学作品について愛情深く語るエッセイ集。 ーお話の世界にすっかり入り込んでいた幼少期はもちろんのこと、思春期のつらいときも、大人になってからも、著者の傍らにはいつも魅力的な彼らがいました。 同じように子ども時代から親しんでいる方へはもちろんのこと、子どもたちに手渡ししたいと考えている方にもぜひおすすめしたい。 エッセイ22本、コラム4本、 翻訳者の石井登志子さんとリンドグレーン作品やスウェーデンの児童文学について語り合った対談も収録。
明治を代表する女性作家樋口一葉の時代に翻弄される男女を描いた『にごりえ』、幸田露伴の日本近代小説初の芸術家小説『五重塔』を読み直す。
日本の近代小説の先駆けとも言える、二葉亭四迷の『浮雲』と森鴎外の『舞姫』を読み返す。それは、明治の立身出世主義時代の失業と恋愛をめぐる物語として始まった。江戸戯作的小説から世界的な近代的小説への進化を探る。
漱石は「感染症の時代」に生き、自らも痘痕によるあばたを持つ。高校の教科書で読んだ『こころ』を、コロナ禍の今と重ねて読み直す。日本が帝国主義的国家になる過程と感染症の流行は重なっており、そこから何が見えてくるのか!? 第1章 海水浴場と雑司ケ谷霊園 第2章 明治天皇の病死 第3章 先生の両親と腸チフス 第4章 精神的向上という病