出版社 : クオン
誕生日をきっかけにダイエットをはじめた「僕」のもとへ、生き別れた父の入院の知らせが届く。「僕」は肥満児だった幼少期の自分と父との記憶をたどる。-「美しさが僕をさげすむ」。日々の暮らしに内包される悩み、悲しみをアイロニーとユーモアで彩り、人生を見据える6編。
ある日突然、人が死ぬ。自然死でも病死でもなく、暗殺によって。事件性のない死として処理されるよう、設計者が綿密に計画を練り、暗殺者が実行するのだ。32年前、修道院のゴミ箱に捨てられた赤ん坊は、暗殺組織に引き取られ、やがて一流の暗殺者となる。人を殺し、殺され続けた果てに、彼が見たものとは…。さまざまな矛盾を孕むことでしか生きられない人間存在の哀しみを描いた、韓国エンターテインメント小説の最高傑作。
本書に描かれているのは、大都会をさまよう現代人の孤独で悲しい姿である。テーマ自体は極めて内省的で、厭世的と言ってもよいのに、ユーモラスでスピード感のある文章が、作品を軽快に読ませてくれる。著者は登場人物たちの悩みを解決してやることはできない。
交通事故で九死に一生を得た僕は、“何者でもないまま死ぬなんて無念だ”という思いに衝き動かされ、アルバイト先の楽器店で、ひそかにあるプロジェクトをはじめるーNHKラジオ講座のテキストで話題の表題作「楽器たちの図書館」、第2回金裕貞文学賞受賞作「拍子っぱずれのD」など8つの短編を収録。
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)- 3人の目を通して語られる連作小説集。