出版社 : コスミック出版
夫のあまりの異常性愛癖に嫌悪感から恐怖すらを抱き始めた瑛子は、十数年ぶりに幼なじみの宮沢と偶然巡り合う。自衛隊のレインジャー部隊出身の彼と男女の関係になった瑛子は、現状生活から脱出するために、宮沢へ拳銃を手渡す。悪意の重さをまさに具現する凶器は、二人の殺意を凌駕し、その存在を取りまく人間たちを目に見えぬ狂気へと誘い、銃身に込められた冷たく無情の凶弾は運命の連環へと引きずり込む。
新宿派出所は、婦人警官ばかりで、そのソフトな雰囲気は人気があった。派出所には、英明玖美警部補以下5人の婦警がつめていたが、彼女たちには裏の顔があった…。交通事故で知った女性が、見知らぬ男性に自宅を乗っ取られたと訴えてくる。明玖美たちが裏で調べ始めると、金と欲に汚れた人間関係が露に。彼女たちが、鋭敏な頭脳と美貌で悪人を出し抜き、不動産を乗っ取り返して大金を手にする、華麗なる泥棒世界。
盛夏を感じる七月下旬、熊谷の荒川河川敷きで溺死体が発見。県警の捜査で、上流にある八高線鉄橋付近で列車から転落した可能性が推測された。その数日後、高崎市内でマンション住人が花火大会を観ていて墜落の通報があり、事故死と確認されたが、何故かその部屋は密室状態であった。何の関連も見られない二つの事故と思われた出来事が、調査の結果、保険金殺人事件と通底する事を突き止めた捜査陣だったが…。
都心へ向かう私鉄沿線の駅を降り、繁華街を抜け、ゆるやかな丘陵を十分ほど歩いて行くと、甘い花の香りに包まれて、その白いマンションはあった。都会近郊のどこにでもあるようなこの集合住宅に住む人々の生活を、もしあなたがなにかの拍子で垣間見たとしたら…。人間の深層に圧し隠された願望そして欲望の扉が解き放たれたとき、そこに見出すものは、存在したかもしれない、あなたのもう一つの別の人生…。
対戦車ロケットが、迫撃砲が、そしてガソリンを満載したセスナ機が迎賓館を襲う。西側要人を狙う国際テロ組織が、東京で開かれる先進国首脳会議にむけて動き出した。集まった首脳たちを一気に葬り去ろうというのだ。百万ドルでこの仕事を請け負った元海兵隊員の雑賀操は、緻密な計算と大胆な行動力で武器の調達から爆殺計画まで着実にこなしていくが…。世界一を誇る日本の警察力に挑む男の激闘。
日本の代表的商事会社『菱井商事』の社宅・星渓寮は、本社の課長以上部長クラスのみが入宅を許される最高級の施設だった。その社宅に支社からの転勤で一時的に入居した課長代理の早野は、妻から息子の辰夫が陰湿ないじめを受けていることを告げられる。会社の縦型職階制度が子供社会に影響したものと考えられた事件は、同じ社宅に住む部長夫婦の一人息子が行方不明になったことで思わぬ方向へ展開していった…。
休暇と家族サービスを兼ねて、林は秋盛りの日光中禅寺湖畔のホテルを訪ねた。彼は十年前の同じ季節に今の妻とは別の女とこの湖へやって来た。その旅は山湖の秋色を探るためではなく、許されぬ結婚を嘆いての心中が目的だった。結局は未遂に終わった、その熱烈な情愛の経緯をホロ苦く思い出しながら、ホテルのロビーでコーヒーを啜る林の隣りに座った女は。果たされぬ愛と殺意が名勝で繰り広げる傑作ミステリー。
「除夜の鐘を一緒に撞きませんか」の誘いに大晦日、警察庁直属の捜査官、宮之原昌幸は京都へ出かける。ところが、その鐘が何者かに盗まれてしまう。誰が何のために。深夜、とおくちかく除夜の鐘がひびくなか、寺の住職が殺される。真相を追う宮之原の前に現れる芸妓・染弥。そして、染弥のかつての恋人である有名な画家が死体で発見される。鐘に秘められた過去と連続殺人の謎に宮之原警部の推理が冴える。
ニューヨークのマンハッタンの一画が、謎のテロリストたちによって占拠された。即座に特別警察隊SWATが、人質の救出とテロ鎮圧に向かったが、スティンガーミサイルや対戦車ロケットなどで強力武装した敵によって全滅させられてしまった。事態を重くみた市当局は、日系三世ハリソン・国泰寺の率いる対破壊工作班を投入したが…。摩天楼が炎上するなか、生き残りを賭けた男たちの凄絶な闘いが始まった。
道原は、部下の伏見刑事の耳に口を近づけた。「テントの中で死んでいた男が、このナイフでザイルを切ったとしたら、どうだろう?」「殺人ですか?」伏見は屏風岩を振り仰いだ。北アルプスの屏風岩で二人の登山者が死亡した。しかし、その死因は不可解で謎に満ちていた。事故か、殺人か。現場に急行した刑事たちがそこに見たものは。(「白銀の暗黒」)など、道原伝吉の名推理が冴える六つの事件簿。
郷里の街で婦女暴行をやらかした中川は、流れ流れて都会の片隅でバーテンの職に就いた。たまたま店に遊びに来た人妻の和歌が、そんな中川に色目をつかう。亭主だけではもの足りない和歌は若い男の肉体に溺れ、中川も彼女の成熟した肢体と、そのつど渡してくれる小遣い目当てに爛れた関係を繰り返す。しかし些細な諍いから中川は殺意を覚え気がついた時は和歌の首を。犯罪小説の鬼才が放つオリジナル傑作。
百億円以上の金が動くと思われる、外資系会社の買収計画を進めていた矢倉啓造の恋人が、何者かによって惨殺された。警察の捜査では、矢倉が容疑者とされた。罠にはめられたと知った矢倉は、警察の厳しい目をくぐり抜けながら真相を突きとめたが、真犯人たちはパリへ飛ぶ寸前だった。日本での復讐は不可能だと察知した矢倉は、単身パリへ向かった。復讐、追跡、騙し、新境地を拓く著者渾身の国際冒険小説。
新興高級住宅街に住む新婚早々の若妻・長谷部由美は、買物を終え戻った新居の裏にある夫婦の秘密の洞窟から流れてくる異様な雰囲気に捕われた。足音を忍ばせ淫靡なすすり声が洩れてくる奥へと向った彼女の瞳に映ったのは、あろうことか出勤中のはずの夫が白い女体と縺れ合う姿であり、その女の顔を見た由美は驚愕に目を瞠った…。由美が犯され全裸で殺害された日から美女達を狙った連続猟奇殺人事件が起った。
札幌の陸上自衛隊北部方面総監部が、ソ連極東戦域軍の動きに北海道侵攻の意図ありとの情報を入手。首相官邸に呼び出された防衛研修所の柳瀬の元へ、時を同じくして石狩湾にF級ソ連潜水艦が強行突入し坐礁との報告が入る。いやが上にも緊張が増す中、柳瀬達はこれらが極東戦域軍によるクーデターの一連の動きと分析するが、米国はその動きを黙認する。これは脅しか、それとも最高度の政治的謀叛戦略なのか?