出版社 : サンリオ
フランシスの独身さよならパーティ。独身最後の夜を男たちだけで楽しもうというわけだ。フランシスの婚約者ジョージーと姉のヘンリエッタは、はりぼてのケーキの中から飛び出して会場を驚かせようと息をひそめていた。1,2,3!ケーキの中から出た2人。ジョージーはフランシスの腕の中に、そしてヘンリエッタは、見たこともないほど青い目をした男のたくましい胸に抱かれ、熱いキスを受けていた-。
12年ぶりの故郷、カーメル。燦々と輝く太陽に心が安まる。その陽射しを浴びる長い脚…。見とれるケイトに、脚の持ち主が微笑みかけた。「ニック!」なつかしさに、ケイトは彼に抱きついた。幼なじみのニック。いつも私を優しく見守ってくれた人。しかし、目の前のニックは以前のやせた少年ではない。たくましい大人の体躯に、ケイトの胸はときめいた。
19世紀のイギリス。暗闇から聞こえてくる男たちの声に、ミルボーン卿の娘サルリーナは耳を澄ました。ジョージ皇太子の暗殺-。暗殺の舞台となるのはカールトン・ハウス。イギリスの最大の敵であるフランス皇帝、ナポレオン・ボナパルトの策略に違いない。いったいどうすれば…。気がつくと、サルリーナは、豪奢なフリートウッド伯爵の館の前に立っていた。
マイケルとナンシーは、ハーヴァード大学でいちばんハッピーな恋人たち。マイケルは建築家をめざし、ナンシーは暗い過去をのりこえて絵にめぐりあい、それぞれの勉強に励んでいた。ふたりの未来はなんの曇りもなく、愛の約束は永遠につづくように思えた。そして、結婚式の日…あの事故がおきた。ふたりを分かつ死よりも恐ろしい事故が。その日からすべてが変わり、ふたりはまったく別の人生を歩きはじめた。そして…。人を愛したことのある人すべてに、ダニエル・スティールが贈るラブ・ストーリィ。
ケイティーは目の前の新聞にため息をついた。ケイティーの離婚1周年記念パーティ。友だちからのプレゼントは新聞に「恋人募集」の広告を出すことだった。そんなことをしたって無駄よ。だって、私の気持ちはもう決まっているのだから。ロス・チャンドラー。ケイティーのボス。たくましい体にシトラスの香りが麗しい。しかし二度と結婚しないと宣言した男。ロスは、この広告を見たらどう思うだろう。その時、オフィスのドアが開き、ロスが入ってきた。
吹雪のメソー谷。雪で動けなくなってしまったエミリーは車中で途方に暮れていた。「おい、大丈夫か?」男の声にエミリーはほっとした。だがその声には聞き覚えがある。カル・マクドナルド。わたしが19の時に思いをつのらせた男。しかし、その恋は苦い思い出となってしまった。エメラルドグリーンの瞳は、以前にも増して輝いていたが-。
「すべての財産を美しい妻クリサに遺す」結婚式の興奮も醒めやらぬ間に急死した夫サイラスの遺言は、クリサにとって青天の霹靂だった。男爵の父の借金の肩がわりを条件に、アメリカの大富豪サイラスと結婚したクリサだったが、父も死んだいま、クリサにとって巨万の富は無用の長物だった。故郷に帰りたい-。すべてを捨て、傷心で、イギリスに向かう船トレーヌ号に乗りこんだクリサに、思いもかけない事件が待ち構えていた。
修道院学校に通う16歳の娘トリスタは、ものごころついたときから、実は義兄のフェルナンドにひかれていた。しかし、そんなトリスタの気持ちを見透かすように、多感な友人、マリー=クレアはかれと婚約してしまう。ふたりの挙式も間近になったある日のこと、伯母の家で、トリスタは突然フェルナンドに襲われる。トリスタの母に恋していたかれは、その恨みを義妹のトリスタではらそうというのだ。ウォントン-多情な女。母はそうだった。しかし、わたしは-激しい拒絶に、かれは引き下がるが、その様子を見つめるひとりの男がいた。
フランスで外科医となったトリスタは、カリフォルニアに向けて船上の人となった。それも女性客を嫌う船長の目をくらますために男装をして-。ある夜、男装をといて甲板に出たトリスタは、忘れられない人、ブレイズと再会する。思いを振り切るかのようにしたたかに酔い、自ら女性であることを明らかにしてしまったトリスタ。ブレイズはそんな彼女を責めながらも、トリスタは自分の妻だと船長に偽り、男装は浮気のあてつけだったとかばうのだった。その証しのために、ついにふたりは結婚式をする。それが悪夢の始まりだとも知らずに-。
ロッキー山脈に抱かれた町バスティッド・フラッド。カントリーミュージックのスーパースターだったエンジェルは、いまは、酒場の女主人だった。さて、店を閉めることにしよう。そう思いドアの方を見ると、そこには見慣れない男が立っていた。豊かな髪。野性的な体つき。惹かれる心を押さえ、無視しようとすると、「仕方がないな…」男はつぶやくと同時にエンジェルを肩に担ぎ上げ-。
新聞に載っている写真に、ジャズは驚いた。イーサン・ワイルディング。ボストンの名門出身の銀行家。私を泥棒とまちがえた男-。非行少年カウンセラーをしているジャズは、腹を立てていた。まったく言いがかりもはなはだしい。車のホイールキャップを盗んだ少年をさとし、それを元の場所に戻してあげただけ。それなのに、車の持ち主に泥棒と思われてしまうなんて。後日、こんな相手に再び会うことになるとは夢にも思わなかった。
オスカー伯爵の従兄弟と名乗るジャーヴィス。実は彼は、伯爵の財産や爵位をねらっているらしい。伯爵に呪いをかける秘密の儀式を偶然見かけ、ドリナの胸は締めつけられた。ジャーヴィスの策略によって愛する伯爵を見殺しにすることはできない。「愛は奇跡を起こすの」と言った亡き母の声に勇気を得て、ドリナは伯爵のもとに急いだ。
フロリダ-輝く太陽と青い海。ベス・ファラデーは潮風に顔を撫でられながら朝の日差しを浴びていた。「やあ、ベス」近づいてくるヨットから声をかけられて、ベスは一瞬息をのんだ。ギブ・マクラーレン!黒髪にエメラルド色の瞳、たくましい体躯。5年前、苦悩の底で、手を差しのべてくれたのは、まさしく、彼ギブだった。ベスの心に、苦しい想い出とともに懐しさがよみがえり…。
「地方検事候補のフランクリン・ウェイドです。どうぞよろしくお願いします」動物愛護運動をすすめるアリーは、その深みのある声に振り返った。豊かな金髪に、あふれんばかりの笑顔。この人なら、私たちの運動に協力してくれるにちがいないわ。アリーの目は輝いた。