出版社 : サンリオ
パルナソスの王女ゾリーナは、父亡きあと、ハンプトン・コート・パレスの一画に母に暮らしている。そんなある日、ビクトリア女王からゾリーナに縁談が言い渡された。60近いリオシア国王と結婚ですって!驚きよりも憤りをおぼえるゾリーナは晩餐の席で二重の衝撃を味わうことになった。使者としてやってきたリオシア国王の子息こそ偶然の出会いから、ゾリーナの胸深く刻みつけられた男性、ルドルフその人だったのだ。
緑豊かなジョージア。ネッドはウェデイング姿で川面を見つめる女を見て、わが目を疑った。淡い金髪に琥白色の瞳の女、名はジョリー。それ以外はわからない。このままでは一族の集まるディナーに遅れてしまう。しかし、わけありげな女を、このまま置いていくわけにもいくまい。ネッドは花嫁姿の彼女を、父や母の待つわが家へ伴った。ジョージアの名家、フォンテイン家へ…
リサは目の前の男の経歴を聞いて頭を振った。男の名はジョン、職業はスパイ。しかし、スパイから足を洗って明るい表の人生を歩みたいという。人材銀行のマネジャーとしては、いったいどこにスパイの就職を斡旋すればよいのだろう。それに映画じゃあるまいし、スパイだなんて…途方にくれるリサだったが、彼女の答えを待つこのコニャックの瞳の男に手をさしのべてやりたくなった。
1867年、メキシコは動乱の時を迎えていた。21歳になるアメリカの上院議員の娘ジニイは、夫スティーヴに従いメキシコに攻めこむディアス将軍の軍勢に加わった。スティーヴが任務で出かけたあと、ひとり残されたジニイは、かつての父の秘書カールと再会する。彼女に思いを寄せていたカールは、ジニイにロシアの公爵サルカノフの通訳になるよう命令が下されていると伝える。スティーヴに事情も告げられないまま公爵のもとへ赴いたジニイは、そこで思いがけぬ話を聞いた。彼女は実はロシア皇帝の娘で、しかもスティーヴとの結婚は無効だと。
中傷に惑わされ行方もわからなかった夫、スティーヴとの突然の再会。しかし、ジニイの心にあるのは喜びにまさる後悔と怯えだった。カールからうけた辱めと暴力、そこから救ったとみせかけて、ジニイとの結婚をせまったサルカノフ公爵。今は、公爵夫人となったジニイは、責めようともしないスティーヴに、かえって深く傷つくのだった。そのあくる日、二人きりで森へ出かける。もう、愛されていないと思っていたジニイを激しく求めるスティーヴ。しかし、かれに、ふっとよぎる冷たさにジニイは愛を確信することができなかった。
はじめに、ほんの少し彼にやきもちを焼かせたかっただけなのに-。カリフォルニアの実業家スティーヴと電撃的な結婚をしたジニイは、夫との些細ないさかいから、思いもかけない方向に波紋が広がっていくことに激しく動揺していた。スティーヴを残し、独りパリに来てしまったのも、本当は、彼に迎えに来て欲しかったからだ。そんな女心を踏みにじるかのように、スティーヴが、イタリアの妖艶なオペラ歌手、フランチェスカと恋仲になっているなんて。お腹には彼の子がすでに宿っている。激しい気性の男、スティーヴに翻弄されるジニイだった。
熱病から記憶喪失になったスティーヴは、その看護をしてくれた女、テレシータと結ばれる。遠いテキサスまで、はるばる探しにやって来たジニイとの再会にも、まるで見知らぬ他人に会っているかのようなスティーヴ。愛と情熱に彩られた二人の思い出が、すべて無になってしまうのだろうか…。ジニイは苦しみを振り払うかのようにパーティーの踊りの輪に加わる。すると、いつの間にかスティーヴが近づき、強引にジニイの唇を奮う。「はじめて会った女なのに、昔から知っているような気がする」-彼はジニイのことが忘れられなくなるのだった。
飛行機事故から九死に一生を得たカトリーナは久しぶりにニューヨークに戻ってきた。そこに突然、別れた夫のデイヴィッドが現われた。なぜあなたが…?そういえば墜落するときデイヴィーに会いたいと書いた覚えがある。でも、あれは初恋の人のこと。この横暴な前夫のことではないわ。売れない役者から、今やお昼のメロドラマの主人公として全米の恋人となったデイヴィッドはセクシーに眉を上げてみせた。
「こいつをしつけてほしいんだ」息子からプレゼントされた犬を連れケンネルを訪れたマットは、いたずらっぽく微笑んだ。ブロンドの髪にブルーの瞳のケンネルの経営者マージョは、不思議と彼に惹かれてゆく。しかし何度となく夫に裏切られ、やっと嬢と2人静かに暮らしていけるようになった彼女は、自分の心の揺らめきに戸惑うのだった。
父の勧める縁談は逃れようもない。一計を案じたヴイータは父に旅行をねだった。イタリア旅行と見せかけて、いとこのジェーンが住むシリアに向かうつもりなのだ。アラビアのシークと5度目の結婚生活をおくる恋多き女性ジェーンなら、きっと相談にのってくれるにちがいない…。もうすぐベイルート-そのとき、埠頭の群集の中でひときわ背の高い男性の姿が、ヴイータの目に飛び込んできた。
時はフランス革命のさなか、スペイン人の父とフランス人の母をもつ貴族の娘、マリサは身を守るために、スペインの修道院に身を寄せる。断頭台に消えた母を思い静かな祈りの日を送る彼女のもとに、突如、一通の手紙が舞い込む。マドリッドの父からだ。マリサには思いもよらなかった結婚の勧めだった。自分の選ぶべき道は…。惑うマリサの耳に、あろうことか、その婚約者ペドロの下品な声が聞こえてくる。マリサにとって、運命にただ身を委ねる生き方は耐え難かった。「フランスに帰ろう」マリサはジプシーに姿を変え、修道院を逃げ出すのだった。
フランスに帰り、叔母エドマに保護され何不自由ない生活に明け暮れるマリサは、フランスの社交界でもその美しさで注目の的となった。命を助けてくれた貴公子フイリップに恋心をつのらせるマリサだったが、スペインから逃げる旅の途中で強引に体を奪った男ドミニックと再開し、無理やり結婚させられてしまう。そのドミニックも今は、マリサを独り残し航海に出かけている。孤独に追い打ちをかけるように辛い流産をしてしまうマリサは、警察長官フーシェの懇願に負け、ロンドンへと旅立つ。反ナポレオン派の情報をつかむために…。
亡き父の農園を訪ねて、ニューオリンズまできたマリサは、ドミニックと再会する。しかも、その傍には、美しい恋人までいる。仲睦まじいふたりの姿に、マリサは、しつこく言い寄るペドロの求婚を、つい受け入れてしまう。さらにマリサの心を傷つけたのは、かつて死んだと告げられていたドミニックとの子が生きているという事実だった。ドミニックは、子供に会いたいというマリサの願いを聞き入れ彼女をつれ出すと、責めたてるようにマリサを激しく抱き寄せる。フランス、イギリス、アメリカを舞台に革命の嵐に翻弄されるマリサの愛は-。
「なんですって?ちょっと待ってよ。『売春婦が経済に及ぼす影響』を研究しているあなたがどうして私にインタビューに来たの?」ひょんなことから、ダーシーは売春婦と間違われ、とんだ会社調査の対象にされてしまった。しかし、彼女はこの突然の訪問者に頭にきながらも、心は惹かれてゆくのだった。黒い髪にがっちりした体、社会学の教授だというフィリップ・マニング。奇妙な出逢いが2人のハートに火をつけた。
アマンダは父の遺産のゲストハウスを売り払うために、ウィスコンシンのジュネーブ湖を訪れた。田舎なんか大嫌い。早いところ売り払ってワシントンに戻りたい。彼女は「売り家」の立て礼をにらみながらゲストハウスの扉を開けた。しかし出迎えたのは、管理人でも掃除婦でもなく、洗いざらしのジーンズに白いニットシャツを着た肩幅の広いセクシーな男だった。男の名はリチャード。アーティストにして詩人、そして恋の達人と本人は言うけれど…。
極秘の任務を終えてコーザンに着いたドロゴはロープをつたって家を抜け出そうとしている娘、セクラを手助けすることになった。そして一緒に町に出かけるが、暴動に巻き込まれ、ドロゴはセクラを家に連れ帰った。一夜明け、革命が起きたことを知ったセクラは絶対に家に帰れないと言う。セクラはコーザンの王女だったのだ。
田舎とは聞いていたけれどこれほどとは!夜道はレスリーの心をうつすかのように暗く淋しかった。息子の親権を確保するための便宜上の結婚。しかも相手は手紙のみで一度も会ったことのない男。これから行くオクラホマの牧場ではいったいどんな生活が待っているのだろう。ああ、もし…。
彼女があのシェリーなのか?豊かな赤毛、キュートな女性に成長したシェリー。十余年ぶりに帰ってきた故郷の田舎町での思わぬ再会にタイラーは驚く。いっぽう彼女の方も、野性的な魅力をもつタイラーに惹かれ、かつての憧れの気持ちは恋の炎となって燃えあがる。だが彼はシェリーの土地に工業団地をつくろうとしているのだ。この土地は私のもの、絶対に渡せないわ!でも彼は素敵…困ってしまうシェリーだった。
シアは夢見る18歳のプリンセス。いつかきっとハンサムな王子が現れて恋をするのだと、ロマンチックな憧れを抱いていた。ところが、父王から言い渡されたのは隣国の年取った王との縁組だった。このままでは、父の思いどおりにさせられてします。そこで、シアは愛馬マーキュリーに乗り、自由な大地を目指して城を逃げ出すが、森の中で一心に絵筆を走らせる男性に出くわした。