出版社 : サンリオ
なに不自由なく育つたシェイラ・ロジャーズは、ある日突然、すべてを失うことになった。新婚旅行の最中、メキシコ山中で山賊の一団に襲われて夫を殺され、彼らの隠れ家に連れ去られた。一団を統率するラファーガ〈風〉と呼ばれる男は、自分に女がありながらも、シェイラに野性的な情熱を抱く。けんめいに拒みつつ、シエイラはいつしかこの荒々しく力強い男に身も心もゆだねたいと願うようになっていた。しかし、それもつかのま、捜査の手は刻々と迫っており、シェイラにもついに決断のときが来た。
平凡な人生を歩んできたランナ・マーシャル。彼女の運命はひとりの老人に出逢った日から、思いがけない方向にむこうことになった。彼の息子チャドとナバホ・インデイアンとの混血の私生児ホーク。まったく違う世界で生きてきたふたりの男に、同時に惹かれていくランナは、財産をめぐる家族同士の争いとうらぎりの罠にはまっていく。ランナの愛は?運命は…?広大なアリゾナの自然を背景に、ジャネット・デイリーが情熱を込めて書きあげた感動のロマンス長編。
モンタナの大牧場主の息子チェースと貧しい娘マギーとの恋はかなうはずのない夢でしかなかった。ましてマギーの父が、大牧場の牛を盗む泥棒とわかってからは…。警告にもかかわらず盗みをやめなかった父は、ある日マギーの見ている前で処刑されたが、そこには黙って見守るチェースの姿もあった。マギーの愛は一転して、激しい憎しみに変わる。カルダー大牧場への復讐を心に誓うマギーだったが、皮肉な運命の女神は、16歳の彼女にチエースとの愛の結晶を授けていた。絶大な権力を誇るカルダー家の愛と憎しみの歴史を描く、待望の大河ロマンス、カルダーシリーズ第一弾!
「見はてぬ夢」につつぐカルダーシリーズ第2弾、前編!舞台は100年前のテキサス。開拓に夢をはせるベンティーン・カルダーは、17歳になったばかりのローナを妻にむかえ、遠い未知の土地モンタナへ旅立つ。はてしない荒地とインディアンへの恐怖、そしてカルダーを陥れようとする男たちの策略のなかで、ふたりの愛は、ともすれば傷つけあい、まどい、反発しあう。レディたるもの、性の悦びを感じてはならないという道徳感がまかりとおっていた時代。ローナは、あまりにも強い愛の衝動に、恥じらい戸惑うのだが…。
「見はてぬ夢」につづくカルダーシリーズ第2弾、後編!大牧場主として成功をおさめたベンティーン・カルダー。息子も生まれ、一家は幸福そのものに見えたが、ローナは寂しかった。夫が外の出来事をなにひとつ話しくてれないのだ。彼女は、優しいことばをかけてくれるブル・ジャイルズに惹かれていく。そんな危なっかしい関係を、ベンティーンが黙って見過すはずはなかった。しかし、ある出来事をきっかけに、ふたりの愛はゆるぎないものとなったのだが…。
パルナソスの王女ゾリーナは、父亡きあと、ハンプトン・コート・パレスの一画に母に暮らしている。そんなある日、ビクトリア女王からゾリーナに縁談が言い渡された。60近いリオシア国王と結婚ですって!驚きよりも憤りをおぼえるゾリーナは晩餐の席で二重の衝撃を味わうことになった。使者としてやってきたリオシア国王の子息こそ偶然の出会いから、ゾリーナの胸深く刻みつけられた男性、ルドルフその人だったのだ。
緑豊かなジョージア。ネッドはウェデイング姿で川面を見つめる女を見て、わが目を疑った。淡い金髪に琥白色の瞳の女、名はジョリー。それ以外はわからない。このままでは一族の集まるディナーに遅れてしまう。しかし、わけありげな女を、このまま置いていくわけにもいくまい。ネッドは花嫁姿の彼女を、父や母の待つわが家へ伴った。ジョージアの名家、フォンテイン家へ…
リサは目の前の男の経歴を聞いて頭を振った。男の名はジョン、職業はスパイ。しかし、スパイから足を洗って明るい表の人生を歩みたいという。人材銀行のマネジャーとしては、いったいどこにスパイの就職を斡旋すればよいのだろう。それに映画じゃあるまいし、スパイだなんて…途方にくれるリサだったが、彼女の答えを待つこのコニャックの瞳の男に手をさしのべてやりたくなった。
1867年、メキシコは動乱の時を迎えていた。21歳になるアメリカの上院議員の娘ジニイは、夫スティーヴに従いメキシコに攻めこむディアス将軍の軍勢に加わった。スティーヴが任務で出かけたあと、ひとり残されたジニイは、かつての父の秘書カールと再会する。彼女に思いを寄せていたカールは、ジニイにロシアの公爵サルカノフの通訳になるよう命令が下されていると伝える。スティーヴに事情も告げられないまま公爵のもとへ赴いたジニイは、そこで思いがけぬ話を聞いた。彼女は実はロシア皇帝の娘で、しかもスティーヴとの結婚は無効だと。
中傷に惑わされ行方もわからなかった夫、スティーヴとの突然の再会。しかし、ジニイの心にあるのは喜びにまさる後悔と怯えだった。カールからうけた辱めと暴力、そこから救ったとみせかけて、ジニイとの結婚をせまったサルカノフ公爵。今は、公爵夫人となったジニイは、責めようともしないスティーヴに、かえって深く傷つくのだった。そのあくる日、二人きりで森へ出かける。もう、愛されていないと思っていたジニイを激しく求めるスティーヴ。しかし、かれに、ふっとよぎる冷たさにジニイは愛を確信することができなかった。
はじめに、ほんの少し彼にやきもちを焼かせたかっただけなのに-。カリフォルニアの実業家スティーヴと電撃的な結婚をしたジニイは、夫との些細ないさかいから、思いもかけない方向に波紋が広がっていくことに激しく動揺していた。スティーヴを残し、独りパリに来てしまったのも、本当は、彼に迎えに来て欲しかったからだ。そんな女心を踏みにじるかのように、スティーヴが、イタリアの妖艶なオペラ歌手、フランチェスカと恋仲になっているなんて。お腹には彼の子がすでに宿っている。激しい気性の男、スティーヴに翻弄されるジニイだった。
熱病から記憶喪失になったスティーヴは、その看護をしてくれた女、テレシータと結ばれる。遠いテキサスまで、はるばる探しにやって来たジニイとの再会にも、まるで見知らぬ他人に会っているかのようなスティーヴ。愛と情熱に彩られた二人の思い出が、すべて無になってしまうのだろうか…。ジニイは苦しみを振り払うかのようにパーティーの踊りの輪に加わる。すると、いつの間にかスティーヴが近づき、強引にジニイの唇を奮う。「はじめて会った女なのに、昔から知っているような気がする」-彼はジニイのことが忘れられなくなるのだった。
飛行機事故から九死に一生を得たカトリーナは久しぶりにニューヨークに戻ってきた。そこに突然、別れた夫のデイヴィッドが現われた。なぜあなたが…?そういえば墜落するときデイヴィーに会いたいと書いた覚えがある。でも、あれは初恋の人のこと。この横暴な前夫のことではないわ。売れない役者から、今やお昼のメロドラマの主人公として全米の恋人となったデイヴィッドはセクシーに眉を上げてみせた。
「こいつをしつけてほしいんだ」息子からプレゼントされた犬を連れケンネルを訪れたマットは、いたずらっぽく微笑んだ。ブロンドの髪にブルーの瞳のケンネルの経営者マージョは、不思議と彼に惹かれてゆく。しかし何度となく夫に裏切られ、やっと嬢と2人静かに暮らしていけるようになった彼女は、自分の心の揺らめきに戸惑うのだった。
父の勧める縁談は逃れようもない。一計を案じたヴイータは父に旅行をねだった。イタリア旅行と見せかけて、いとこのジェーンが住むシリアに向かうつもりなのだ。アラビアのシークと5度目の結婚生活をおくる恋多き女性ジェーンなら、きっと相談にのってくれるにちがいない…。もうすぐベイルート-そのとき、埠頭の群集の中でひときわ背の高い男性の姿が、ヴイータの目に飛び込んできた。
時はフランス革命のさなか、スペイン人の父とフランス人の母をもつ貴族の娘、マリサは身を守るために、スペインの修道院に身を寄せる。断頭台に消えた母を思い静かな祈りの日を送る彼女のもとに、突如、一通の手紙が舞い込む。マドリッドの父からだ。マリサには思いもよらなかった結婚の勧めだった。自分の選ぶべき道は…。惑うマリサの耳に、あろうことか、その婚約者ペドロの下品な声が聞こえてくる。マリサにとって、運命にただ身を委ねる生き方は耐え難かった。「フランスに帰ろう」マリサはジプシーに姿を変え、修道院を逃げ出すのだった。
フランスに帰り、叔母エドマに保護され何不自由ない生活に明け暮れるマリサは、フランスの社交界でもその美しさで注目の的となった。命を助けてくれた貴公子フイリップに恋心をつのらせるマリサだったが、スペインから逃げる旅の途中で強引に体を奪った男ドミニックと再開し、無理やり結婚させられてしまう。そのドミニックも今は、マリサを独り残し航海に出かけている。孤独に追い打ちをかけるように辛い流産をしてしまうマリサは、警察長官フーシェの懇願に負け、ロンドンへと旅立つ。反ナポレオン派の情報をつかむために…。
亡き父の農園を訪ねて、ニューオリンズまできたマリサは、ドミニックと再会する。しかも、その傍には、美しい恋人までいる。仲睦まじいふたりの姿に、マリサは、しつこく言い寄るペドロの求婚を、つい受け入れてしまう。さらにマリサの心を傷つけたのは、かつて死んだと告げられていたドミニックとの子が生きているという事実だった。ドミニックは、子供に会いたいというマリサの願いを聞き入れ彼女をつれ出すと、責めたてるようにマリサを激しく抱き寄せる。フランス、イギリス、アメリカを舞台に革命の嵐に翻弄されるマリサの愛は-。